隣恋Ⅲ~ひねもす~ 38話


※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ ひねもす 38 ~

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 中指をかけた突起を再び、くるりと撫でた。

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「ココ、ぎゅってされて、びっくりした、だけ?」

 最後を特に強調してみせると、愛羽さんの眉がヒクと震えた。
 ああもう、分かりやすすぎて、可愛い。

「そこ、じゃない、し」

 視線を斜め下に逃がしたまま、愛羽さんはまた、強がる。
 どうしてもなかなか素直になれないのは、もしかして私のせいだろうか。
 中途半端に理性が残っている段階で、こんな辱めを受けさせるから愛羽さんが強情になってしまうのかもしれない。

 ――だけど、この強情さを崩していくのがまた、愉しいとか言ったら殴られそうだけど。

「あぁ、確かに。こうだったけど」

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 確かに彼女が「そこじゃないし」と言ったように、私が昂りに任せて乱暴に握ったのは、膨らみだ。尖りじゃあない。

 彼女の言葉の正しさを認めながら、本来そうしたように手のひらを膨らみに押し付け、全ての指でぎゅっと強めに握ってみせた。

「ひぁ、ぁっ……」

 さっきのほうが、イイ声だった。なんて感想を抱きつつ、それでも腰にキた甘い波を、握る指から力を抜きながら、やり過ごす。
 低く息を吐いた私は、自分の口に左手をやって恥じらう彼女を見下ろして、その姿に再び、じわりと支配欲を滾らせるのだ。

「もしかして、わざと言ってるの?」

 こうされたくて? と再び握る。
 今度は嬌声はあがらなかった。なにせ、彼女は左手で口を封じたのだ。きっと喉を強く締めて、息すら止めているのだろう。
 私が胸を握る手を緩めれば、その口から「ちが、う」と震える息が吐き出された。

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 あまりやり過ぎても、痛いだろう。胸を握れば出る彼女の嬌声も可愛いけれど、そろそろ別の方法にしなければ、白い肌に赤い筋が五つ出来てしまう。
 私は手のひらを押し当てたまま円を描くようゆったり動かしつつ、口を封じている彼女の手の甲にキスをした。

「ごめん、ちょっと意地悪だったね」

 指やその付け根、浮き出た筋に唇を触れさせ、軽く啄みながら謝る。
 この向こうにある唇に口付けたいのだけど、この手が、それを遮っているから……。

 どうやってこのバリケードを退けてもらおうかなと次の手を考えている最中、ぽそり、と耳に届いた震える声。

「…き…も、ちよかった……」

 ドク、と心臓が跳ねたけれど、彼女の言葉をなんでもない事のように受け止めた風に、見せなければいけない。
 過剰な反応は、愛羽さんの羞恥心に火をつけてしまうから。

「気持ちよかったんだ?」

 手首から、手の甲までを尖らせた舌先で舐め上げて、その手の向こう側で小さく頷く彼女の、胸の頂きに、そっと中指をあてがった。

「じゃあ、こうしたらもっと気持ち良くなるかな?」

 指を立て、爪の先を軽くひっかけるようにして、ごわつく布越しに尖った頂きを何度か弾いてみせると、愛羽さんはその口から細く甘く悲鳴をあげて、荒く息を吐いた。

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 その色気たるや、こちらに残っている理性など小さなものだけど、それをすべて吹き飛ばしてくれそうだった。
 もう部屋を暗くするから声を我慢しないとかの約束はとうに忘れ去られて、彼女は与えられた強い快感に悶え、少しでも嬌声を堪えようと自らの指を噛んでいる。

 愛羽さんのぎゅっと閉じられた目元は赤く色づいて、額には汗で前髪が少し張り付いている。その光景に、私はこくと生唾を飲み込んだ。

「指、噛んだら駄目だよ」
「で…も…っ」

 ふうふうと荒い息を自らの手のひらに押し付けながら、愛羽さんはいやいやをするみたいに首を振った。
 恥ずかしくて声は出せない。だけど出さざるを得ない。……だけど、できれば我慢したい。

 そんな心境が見てとれる姿に、やはり胸が熱くなる。

「なら……」

 胸の頂きを擽る手をとめ、歯型のついてしまいそうなその手をやんわりと退けさせ、ベッドに押し付けた。

「口、塞いでてあげるから。噛まないで」

 彼女の嬌声を聞きたいはずなのに、どうしてこんな親切を。
 頭の隅に居る冷静な自分がやれやれと肩を竦めているけれど、セックスの時は脳のリミッターが外れやすい。大して噛んでいないと本人は思っていても、意外と力が入ってしまうものだ。
 赤く腫れあがったり、血が出た指を後から見てしまえば、私は自己嫌悪の嵐だ。
 愛羽さんに痛い思いをさせたい訳ではなく、”どろどろでぐちゃぐちゃ”になるまで可愛がってあげたい。

 その為ならば自分の意に副わないことだってする。

 なにせ、大好きなひとの為なのだから、労を惜しむ訳がなかった。

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