隣恋Ⅲ~ひねもす~ 36話


※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ ひねもす 36 ~

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 何を思って、愛羽さんが「可愛くない」といつも言う否定の台詞を口にしなかったのか。

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 その理由をとろとろと考えつつ、彼女の唇を軽く啄む。
 はふ、と吐息をこぼしつつ、私のキスに応えてくれようとする様がなんとも胸にクる。

 ――自惚れ、かもしれないけれど。

 愛羽さんが否定を口にしなかったのは、先程の台詞から明らかだ。そして、その理由として浮かんだ憶測は……。

 ――私の為、だったりするのかな……。

 希望的観測だ。それはよく理解している。
 ただの気まぐれかもしれない。
 もしくは、”否定的な言葉は自分にとって悪影響を及ぼす”なんてポジティブシンキングになるための本とかには記されているのだから、何かでそれを読んだのかもしれない。愛羽さんが、自分自身の為にそうしたのかもしれない。

 だけど、どこかで私が可愛いって言う度に否定するのは申し訳ないなと考えていて、こういう特別な機会だからと我慢してくれたのかもしれない。
 彼女がどうしていつも頑なに「自分は可愛くない」と言い張るのかは謎のままだけど、それをしないように心掛けてくれた事実は、今ここにある。

 自分の都合良く考えているだけなのだが、事実と違ったとしてもそれで彼女への愛しさが増すならばそれでいいじゃないか。
 そう自身を納得させて、私は啄んだ上下の唇の間へと舌を伸ばした。

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 私の舌が唇に触れると、愛羽さんはびくりとした。
 それまで力が抜けかけていた手に再びクッと握力が戻る。襟が引っ張られる感覚が復活して、彼女の敏感さに苦笑する。

 まぁ、そういう所も可愛いんだけど、と内心で胸を熱くしながら、私は左腕に自身の体重を支える役割を任せ、右手で彼女の左肘あたりをそっと掴んだ。
 襟を掴んでいたその手の肘を上へと持ち上げて、首に回すように促したのだ。
 いつまでも、まるでカツアゲみたいな恰好させていられない。それに、もっと、密着してしまいたいのだ。

 私の誘導に従って、両腕を首に回して愛羽さんが抱き着いたのを確認したところで、ちろちろと唇の間あたりで停滞していた舌を、さらに奥へと伸ばした。

「んっ」

 今日初めて入る愛羽さんの口内は、温かく、とろりとしている。
 いつもよりも潤っているその感覚に興奮を覚えつつ、浴衣越しに彼女の肘から二の腕、脇を通り、胸へと手を這わせた。少し厚めの布なのだろうか、ごわごわした感触がまず手のひらに伝わり、その向こうに、女性らしい柔らかさの極みを感じる。

 その中心には触れないようにしながら、やわやわと揉みしだけば、愛羽さんの呼吸がすこし、乱れる。

 たったこれだけで? と首を傾げたくもなるが、彼女も私によって昨日から”お預け”を強いられていたのだ。それに加えて、深いキスと同時に胸を愛撫されては、息のひとつも乱れるか。そう思い直して、彼女の舌に、自分のそれをぬるりと絡めた。

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 下から掬うように舌を絡めてみれば、愛羽さんはたまらないように首に回した腕で、私をより一層、抱き締めた。……いや、抱き締めるというよりは縋りついたと表現した方が随分とそれらしい。
 傾けた顔でも、鼻先は彼女に触れてしまうほどに深まるキスに、背中がゾクとする。

 さらに、追い打ちをかけるかのような、愛羽さんのくぐもった甘い声と、私の下でくねる身体。
 忘れ去られた存在と化しているが、私の右膝は彼女の脚の間、秘所のすぐ下にあり、愛羽さんがその気になれば、私の膝上部分にアソコを擦り付けることなど、造作もないのだ。

 あえてこちらから秘所へ押し付けはしないが、存在を主張できるだけの位置には控えていると言えるだろう。

 ごわつく浴衣の腰紐を解きたい欲求を堪えつつ、私は手のひらの位置を膨らみの中心へと移した。
 丁度、人差し指と中指の付け根の下あたり。感情線の端くらいだ。
 ぷくりと立ち上がった突起が、布越しでも確かにわかる。

「ふ、……ッァ……」

 そこを強めに擦るように膨らみを揉めば、怯んだように、彼女はキスを一方的に解く。だけど私がそれを許さずに、逃げた唇を一瞬の後また塞ぐと、愛羽さんは堪え切れない何かに、腰をくねらせ、苦しそうに震える息を零した。

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