※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
===============
~ ひねもす 31 ~
===============
私があられもなく声を上げると、どうやら彼女は満足したようで、噛んでいた下唇を解放し、噛み痕のついたそこをご丁寧にも艶めかしく舐めて、達成感に満ちた笑みをその口元へと浮かべた。
===============
背中が、ゾクソク……する……。
どうにも堪らなくなって、私はついに、彼女の上に倒れ込んだ。
体重を支えていた両腕から、まるで骨が、筋肉が、無くなったみたいに力が入らない。頭も体も、燃えるように熱い私が下敷きにした華奢な体は、ほぼ私の全体重を受け止めている。
退けなければと思うものの、崩れ落ちた膝も、腕も、再び立ち上げるまでには時間が必要だった。
===============
丁度私の頬が、彼女の右肩近くの鎖骨に触れている。
目の前には細い首筋と、乱れてもいない彼女の柔らかな髪の一房が見える。肌の白さもあって一点のアクセントになっているのは、先日私が咲かせた紅華。もう色も随分と薄れてしまっていて、アクセントと言うには少し、物足りない。
乱れた呼吸を正そうとしながら、場違いにも目に映るその光景が綺麗だなんて感想を抱く私はずいぶんと頭をやられてしまったらしい。
頭上から、名前を呼ばれたことでやっと、口内に溜まっていた唾液を嚥下して、なんとか上半身だけでも、腕を支えに起き上がらせることに成功した。
===============
「ほらね?」
何が、ほらね、なのか。全くわからない。
潤んでいるなと自覚できるくらいに潤んだ視界の中心に彼女を据えると、愛羽さんは小さく笑って、私の首元に手をやった。
「雀ちゃん、こんなに熱くなってる」
言われて、初めて気付くが、確かに愛羽さんの手がひやりとしている。
どうやら彼女は、興奮によって私の体温が簡単に上昇することを証明しようと、煽りに煽ってくれていたらしい。
「わたしが冷たい体してるんじゃなくて、貴女が、あったかすぎるだけ」
だから心配しないでいいのよ? と愛羽さんはにっこりしているけれど、私はそれどころじゃない。
ここ数日間で散々、溜めに溜め込んだ性欲を、さらにここで、煽るだなんて。
さっきから血が沸騰しているんじゃないかと思うくらい体は熱いし、頭も朦朧としそうなくらい、熱が篭っている。
背中に触れる布団が熱の発散を許さず、蓄え続ける自分の熱気。
それに引き換え、私の下の体は、ひやりとして、ほとんど興奮というものを見当たらせない。
――理不尽だ。こんなの。
===============
胸中で呟いた私は、どこかで何かがプツンと切れた音を聴いた。
それが何かの糸だったのか、緒だったのかは、今となってはもう分からないけれど、とりあえず、私の首元にあった彼女の手を握り、ベッドに押さえつけた。
「え」
短く驚きの声をあげる愛羽さんを無視して、先程目に映り綺麗だと感想を抱いたその細い首筋に顔を埋める。
私が右手で押さえつけている愛羽さんの左手がヒクンと跳ねた。
軽く絡めていた指を解き、下へずらして手首を掴むと、改めて、動きを封じるように細腕をベッドに縫い付けた。
「ちょ、っと……っ?」
1分前まで余裕に満ちて、むしろ私を煽っていた彼女に焦りが生じる。
だって、左手の動きを封じられた上に、強引に彼女の脚を割った私の膝が、彼女の秘所のすぐ下に着いたのだから。
===============
「薄くなってますね」
白い肌に浮き出ている色の薄れた紅華に口付けると、どうやらその場所で、何を指して言っているのか察したらしい。彼女は「そ、そうね」と多少焦りを押し隠せない様子で私に応えた。
きっと今、彼女の脳内には、警鐘が鳴り響いているのだろうけれど、もう、知らない。
彼女が、私から理性を、奪ったのだから。
===============
※本サイトの掲載内容の全てについて、事前の許諾なく無断で複製、複写、転載、転用、編集、改変、販売、送信、放送、配布、貸与、翻訳、変造などの二次利用を固く禁じます※
コメント