※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ ひねもす 23 ~
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触れている頬は思わずむに、と揉んでしまいたくなる程に柔らかい。
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だけど、そんなことをしては、この絶好のチャンスを逃すことになるので、手は添えるだけ。
覗き見がバレていたのだと知ってバツの悪そうな顔をする彼女は、少し唇を尖らせているものの、無理に顔を逸らそうとはしなかった。
――このままキスで……。
胸中で呟き、口付けで雰囲気を作って雪崩れ込んでしまおうと、顔を寄せかけた時。
「だって。見たかったんだもの」
と、子供のような言い訳を、可愛らしい口振りで溢した彼女。
ぴたりと止まる私の動きに乗じて、愛羽さんはなぜだか、こちらを軽く睨んだ。
「ていうか、見たら、雀ちゃん、ウエスト細いし。普段からウエスト細いなとは思ってたんだけど括れてるし!」
「な、なんでウエストが細いと怒られるんですか私が」
あまりの剣幕に顔を引くと、愛羽さんは私の腰を両手でガシリと掴んだ。
「ほら! 細い!」
「だ、だからなんで私が怒られてるんですか」
「怒ってないよ! 羨ましがってるだけ! こんな括れたウエストどうやって作ったのか白状しなさい」
「ええ……?」
な、なんなんだこの剣幕は。
怒ってないとか言いつつ鼻息荒いし。白状しなさいときたもんだ。
女の人はダイエットに目が無いというしなぁ。だけど、別に普通に生活してるだけで、私は特に何も気にしてない。食べたいものを食べてるし、たまにジョギングはするけど毎日ではない。
ということは……。
「学生時代のバスケの名残りじゃないですか? ほら、結構腰使うし」
ほら、とか言ってもバスケ経験者じゃない彼女は解らないんだろうなぁ。
だけど愛羽さんはその解答で少し納得したようで、「バスケか……」と呟いて私から手を退けた。
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「なんなら毎日私とバスケしますか?」
「ボール回しとかでいいの?」
「あれは腕しか使わないですよ」
「……そうかぁ……」
残念そうに溜め息を吐いた愛羽さんは、時間的な問題で毎日バスケが出来る訳がない。それこそ家でヨガとかすればいいんじゃないか? と案は浮かんだものの、今は黙っておく。
「それより、愛羽さん?」
「ん?」
「逆ギレで誤魔化そうとしてますけど、駄目ですからね?」
「あ、ばれた?」
ぺろ、と舌を出した彼女は「ごめんなさい」と意外と素直に謝った。
その意外さに軽く目を見張った私にちょっと笑った彼女は、さらに意外なことに、すり、とこちらに体を寄せた。
「荷物をね? ずっとソファに置いておくのもどうかなと思って、和室に持っていこうとしたの。ガラス張りってこと忘れてて。で、障子開いた瞬間、しまったと思って閉めかけたんだけど……」
「だけど?」
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「雀ちゃんがモデルさんみたいに恰好良くて、頭からシャワー浴びてるのがあんまりにも綺麗で見惚れちゃって」
「……」
「こんな恰好良い子とわたし、付き合ってるんだーって思ってたらなかなか、障子閉められなくて覗き見しちゃってたの」
ごめんね? と上目遣いで、ちょっと照れくさそうに、申し訳なさそうに言われたら……そんなの、もう。
怒れないじゃないか。
むしろ。
「……」
「雀ちゃん、照れてる?」
わざわざ、指摘しなくていいのに。
私の熱をもった頬をぷにぷにと指で突いてくる愛羽さんのその指を、捕まえる。
「一つ訂正させてもらうと、モデルさんの方が遥かにいい体型ですから」
「照れてる」
「うるさいです」
「あー照れてる。かわいい」
うりうり、と揶揄うように肩を摺り寄せて、ぶつけてくる彼女。
照れる。そりゃ照れるよ突然あんな……惚気なのか褒めてるのかよく解らないけどすごく好きだ、みたいなコト言われたら。
かわいい、かわいい。と繰り返す貴女の方が何万倍も可愛いのだ。と胸の内で断定してから、私は指で彼女の顎を掬いあげた。
「かわ、い……い」
上向かされた瞳が、大きく揺らぐ。途切れ途切れになった台詞から、彼女の動揺が伝わってきた。
「そろそろ、黙って」
「……」
”い”の形で固まっていた口が、”ま”と言いそうな形に変わる。
待って、とその口から零れるのは、予想できたから、先回りして、言ってやる。
「もう、待てないから」
自分の中の照れを無理矢理に捻じ伏せて、彼女の瞳を覗き込みつつ、手をゆっくりとずらして、親指を顎に、残りの指を首筋に添えた。
「目、閉じてください」
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