隣恋Ⅲ~ひねもす~ 7話


※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ ひねもす 7 ~

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「ここ、みたいですね」

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 ガコン、と少しの段差を乗り越えて、重厚な塀と塀の間の門の中に車を進ませる。
 門のすぐ横には、料金表があって、宿泊は7000円からという文字が目に飛び込んだときには内心「高い!」と叫んでしまった。

 さすが、友達が「ラブホはいいけど高いんだよなぁ……」とぼやいていただけはある。
 一晩が7000円。一人ならディナーに行けるレベルだ。

 どうやら建物の1階部分が駐車場なようで、どこに停めても構わないみたいだ。
 入り口に近すぎず遠すぎずな場所へ車を停めると、愛羽さんが腕の時計を見下ろして、駐車場に入っている車の台数の少なさに目を移して呟いた。

「さすがに金曜日でも、この時間から来てる人は少ないみたいね」

 だってまだ、19時っていうお食事時だから。

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 マンションの駐車場から車を出した直後、そういえば食事はどうするのかと尋ねたのだ。
 どこかに寄ってからそのラブホテルに行くのかもしれないと予想していた私に、愛羽さんはにこやかな笑顔を見せた。

「ホテルの中でもご飯食べれるみたいだし、メニューもたくさんあったから、ホテルで食べよう?」

 なんでも、そのラブホテルのサイトを見たらしく、美味しそうだったよ、とはしゃいでいた。

 という訳で、ラブホテルに直行した私達の他に車は4台しか見当たらなかった。優に20台くらいは停められそうな広い駐車場なのに、寂しいものだ。

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 車から降りた私はきょろきょろと周りを見渡す。
 建物の一階部分が駐車場で、何かの搬入口なのかエレベータの扉らしき物も見えるけれどエレベータを呼ぶボタンが見当たらないので、内側からしか操作できない仕組みのようだ。
 だから、建物の入り口は一ヶ所のみ。明るく照明で照らされた自動ドアの横には、門の所にあった料金表よりも詳細なものが掲げられている。

 愛羽さんが車から降りたのを確認してロックを掛けると、「いこ?」という彼女の後ろにくっついて歩く。
 自動ドアに近付いてやっと細かい表示が見えてきたが、やっぱり高い。一番高い部屋で一泊2万円だ。
 ちなみに、安い部屋が7000円。

 料金に目を丸くする私を他所に、彼女は慣れた様子で、ドアを抜けて階段をのぼる。
 その階段の脇にはディスプレイがあって、コスメだったりトートバックだったり、大人の玩具だったり遊園地のチケットだったりが飾ってある。
 商品の脇には、「1000ポイント」「2500ポイント」などの札が立てられているので、きっとこのホテルを利用する度にポイントがもらえて、それを貯めて商品と交換するのだと思う。

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 いろんな商品に目を奪われつつのぼりきった階段から見えたのは、正面に、エレベータ。左側の壁いっぱいのパネル。右側に小さなカウンター付の窓口。

 窓口に至っては、店員さんの顔が見えないくらいにカーテンが下ろされていて、お客さんが顔を見られたら恥ずかしいだろうからと考慮されてのことだろう。

 そして左側にたくさん並んだパネルには、部屋の内装と……多分、その部屋の設備説明だろうか。マッサージ機。ジャグジー。マット。露天風呂。などが書かれている。
 15枚のパネル1枚1枚に、15部屋それぞれの説明が描かれていた。

 初めて目にするその光景に口をぽかんと空けて呆然としている間に、愛羽さんは窓口に薄いピンクの封筒を差し出していた。
 何かを店員さんとお話しているみたいだけど、私は『拷問部屋』という部屋のパネルにぎょっとして、会話を聞き逃した。

 ――木馬がある……。

 部屋の写真に、座ったら絶対痛そうな木馬が映っていて、あれでどうやって楽しむんだろうかと真剣に眉間に皺を寄せた。

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