※ 隣恋Ⅲ~ブラジャーの日 後日談~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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貴女の言葉の意味を、初めて体感した。
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~ ブラジャーの日・後日談(2019年加筆修正版) 8 ~
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「アゲル」
気付けば、そう呟いて、彼女を再び引き寄せて唇を奪っていた。
体勢的には、奪う、なんて言葉はおかしいのだけれど、わたしの台詞に驚いたよう目を見開いた彼女からのキスではない風体だったのは確か。
だって。「もっと、愛羽さんが欲しいです」なんて言われたらどう返せばいいのか。
雀ちゃんに求められて、どんな返答にするか考えながら彼女の目を見つめていたら……そこにあった炎に魅入られて、気付いた時には先程の台詞を呟いて、彼女を引き寄せていたのだ。
わたしが奪った形で始まったキスだけど、本当の所は雀ちゃんにさせられたキスと言ってもいいのかもしれない。
そんな考えを巡らせながら交わす口付けは、どうも、雀ちゃんの方が夢中になっている。
肩の横へ着いていた手も、いつの間にか肘に交代しているし、覆い被さる雀ちゃんの重みも増している。
それに合わせるようわたしも、彼女の首に両腕を回してもっと深くキスを、と求めているから、ひとのことは言えないんだけど。
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「……は、……雀、ちゃん」
どのくらいお互いの唇を求め合っていたのだろう。
時計など元々確認していないし、こういう時の体感時間はアテにならない。
だから時間に関しては不明だったが、お互いに、お互いの唾液でてらりと光る唇で荒い息を繰り返し、溶けた瞳で相手を映す。
わたしが名前を呼ぶと、蕩けた瞳の中にある炎が先刻よりも大きくなっている。
どうしてこの炎はこんなにも魅せてくるのだろうとぼんやり考えていると、
「……どうしよう。愛羽さん」
雀ちゃんがぽつと呟いた。
「え?」
快感に痺れていた脳が彼女の言葉で少し覚醒する。
どうしようって、どういう事?
彼女が何を言わんとしているのか分からなくて、眉を少しあげて先を促す。
「……ぁ、の……」
言い難そうに瞳が泳いで、申し訳なさそうに開きかけた口が閉じる。
「なぁに?」
「いや……あの、もっと……キス……したいです……」
途切れ途切れに言った雀ちゃんは、もう目を合わせてもいられなくて、ベッドに顔面を押し付けるようにしてわたしの肩上に顔を埋めた。
ふしゅう、と雀ちゃんからは湯気が出ていそうな雰囲気。
こちらからは見えない位置に行ってしまった顔はたぶん、茹蛸。
……ていうか……。
なに。
可愛いすぎるでしょ、この子。
照れながら、そんな事言われて、きゅんと来ない訳がない。
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珍しく、ムラッとしたわたしのS心。
このまま……食べてしまうのも、いいかもしれない。
濡れている自分の唇を舐める舌を仕舞い、僅かに唇の端を上げた。
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ベッドに顔を埋めた彼女の方へ首を回せば、眼前には形の良い耳。それも、熟れた林檎のように真っ赤だ。
恋人ともっとキスしたいって言うのが、そんなに恥ずかしいのかしら?
そんな疑問が湧くけれど、多分、逆の立場だとその感情が実感できるのだろう。
それまでソファで沢山キスをして、次の行為に移るためにベッドに来たのに。
でもまだ、キスしたい、だなんて。
お姫様抱っこまでして、わたしをここに連れてきた雀ちゃんにしてみれば、結構な恥ずかしさがあったのだろう。
わたしは小さく笑って、あやすように彼女の頭を、左手でぽんぽんと撫でた。そして、そのまま後頭部に乗せておく。
そう、まるでさっき、わたしの後頭部を抱えて逃げ場を奪いキスをした雀ちゃんのように。
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雀ちゃんの後ろ頭に左手を置くと、やっぱり大きさが足りなくて、彼女が逃れようとしたら簡単に出来そうで心許ない。
ならば、と、自分の右腕を雀ちゃんの脇の下から通して背中を抱いて服を掴む。
これで準備は出来たとばかりににんまりする口で、わたしは彼女の耳朶へ、ふぅと息を吹きかけた。
「ぅ」
小さく、唸るような声をあげた彼女。これがいい反応だという事はもう理解した。
昔は、「う」と唸るときは嫌がっているのかと思ったけれど、そうじゃあない。
雀ちゃんはどきっとしたりすると、「う」って言う子なのだ。
声をあげた彼女の頭がこちらを向こうとしたので、後頭部の左手でガシリと抑え込む。
「え、ちょ、愛」
「しーーー」
突然頭の動きを制御されて焦った声を出す雀ちゃんを、遮る。
黙るように促すと、大人しく言う通りにする彼女は、いい子で可愛い。
が。
口は噤んだものの、こちらを窺うべく首を巡らせようとする雀ちゃん。
「じっとしてて」
告げた直後、彼女の耳へと噛みつく。
はぐと咥えた耳は、思っていた通り、とても熱かった。
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びっくと体を跳ねさせ、小さく声を上げた彼女の耳を一旦解放すると、ほっとしたように息を吐いた雀ちゃん。
ああもう、おばかなんだから。
素直な反応すぎて可愛い。
わたしは愛しさを込めた声で、目の前の耳の奥にある鼓膜へと囁いてみせる。
「今ので、終わると思ったの?」
たぶん、だけれど。
雀ちゃんは驚きで、目もパッと開いたんじゃないかしら?
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そんな予想を立てながら、宣言通りに再び彼女の耳へと口を近付け、今度は耳たぶを伸ばした舌で掬うようにちろちろと舐めあげる。
ぷるぷる動く耳たぶは、なんだか舌触りも良くて、何度も舐めてしまいたくなる感触だ。
病み付きになりそうな感触を唇でも感じてみたくて、はむ、と唇で挟んでみると、つるりとしていて気持ちいい。
白玉団子を作るときの固さの例でよく用いられる耳たぶだけど、固さだけじゃなくて食感も似ているかもしれない。
遥か昔の調理実習で習ったことを思い出しながら、息を投げ出すように短く吐く彼女の反応に気を良くしてチゥと吸ってみる。
「っあ」
驚いたような、上擦った声。
顕著な反応に、わたしはそれを一旦口から離しながらにやぁと笑った。
「気持ちいいの?」
わたしの問いかけに、言葉を詰まらせる彼女がかわいくてたまらない。
そして同時に、もっと苛めたくなる。
その欲求に抵抗などする必要もなくて、わたしは思いのまま素直に行動する。
「じゃあもっとしてあげる」
「っ」
喉の奥でクッと声を抑えた音が彼女から伝わってきて、わたしは唇を笑みの形に吊り上げながら彼女の耳の縁に舌を辿らせた。
下から上までねっとりと辿ったそこには、わたしの唾液が付着して光る。
そんな様もわたしの興奮に火をつけて、時折歯を立てながら、何度も彼女の耳朶に舌を這わせていく。
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パリッと頭の傍で弾けるような音が立って、雀ちゃんの耳に舌を伸ばしたまま何かと考えて、彼女の手がシーツを握り、爪がひっかかって外れた音だと理解する。
……あぁ……どうしよ。
そんな仕草されてると思うと……もっと苛めたくなっちゃう……。
胸と腹の間辺りから狂暴な心が湧き上がってきて、それをぶつけるように強めに彼女の耳朶へと噛みつく。
「ッい、……はぁっ……」
予想通り、痛がる声。
予想外に、快感を示す声混じりの荒い息。
それを聞いた瞬間、わたしの下腹部がきゅんと締まった。
わたしが雀ちゃんのこと……可愛がってるのに……?
――なんで自分が気持ちいいの?
疑問の答えを探していると、過去、雀ちゃんからもらった言葉が脳裏に甦った。
『愛羽さんが気持ちいいと、私も気持ちいいんです』
聞かされた時は意味が分からなかったその言葉の意味を、わたしは初めて、実感と共に、理解した。
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