※ 隣恋Ⅲ~ブラジャーの日 後日談~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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……貴女に……夢中になる……。
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~ ブラジャーの日・後日談(2019年加筆修正版) 6 ~
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どのくらい、そうして抱き合っていただろう。
雀ちゃんがすこし身動いだので、ふと、体を離す。
いつもの通り、間近にあるシャープな顎のラインに奪われた視線をするりと脱出させて、頬を通り、茶色の瞳を見上げる。ほとんどそれと同時に、背中に回っていた腕が解けて、わたしの頬に手が添えられた。
それから、おずおずといったように雀ちゃんは口を開く。
「……いますごく、愛羽さんとキスがしたいんですけど……したら……駄目ですか?」
直球。
けれど速度は60キロくらいかしら。
その純朴さとかわいらしさに微笑む。
多分、色々話をした甲斐があったのだろう。
遠慮ばかりする雀ちゃんが、先程の事があった後にこういう発言ができるのは明らかな成長。
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こちらが笑顔を作れば、それだけで雀ちゃんの瞳は僅かに緩む。
僅かに混じっていた緊張をおさめ、代わりにほっとした気配を広げた目元は、かわいい。
わたしの頬を親指が撫でていて、そういう小さな仕草から相手の気持ちは伝わってくる。
”あぁ……大事にされてる”と、実感する瞬間。その実感はわたしの胸をきゅっと掴んで、ときめきも、与えてくる。
「ん。して? わたしもしたい」
彼女の素直さにあてられたのか、するりと口から滑り出た言葉。
いつもなら、すこしの気恥ずかしさで前半だけの言葉に留めるか、または仕草だけで要求するというのに。
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優しく、柔らかく、触れるだけ軽く重なった唇。
羽が触れるようなキスは数秒で終わり、離れてしまった温もりにさみしさが湧く。
それを掻き消したくて、雀ちゃんの唇を追いかけて重ね、驚きに見張る目とチラと視線絡ませたあと、わたしは静かに瞼を伏せた。
ただのキス。
されど、キス。
何故だか数秒で終わったキスに感じた寂しさがじわりと胸に滲みを作ったまま、追いかけて口付けを再開させた今も、わたしを支配している。
どうして、と自身に問いかけながら、彼女の服の襟首に手をかけて握り、引き寄せるように力を込めた。
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やめたくない。
もっとしていたい。
「……は……」
雀ちゃんが、僅かに洩らした声。
吐息ともとれるような微かなそれはわたしの耳をくすぐって消えていく。
「すき」
彼女を引き寄せて、何度も口付けて、その合間に囁くよう告白した。
自分が発した言葉なのに、何故だか、焚きつけられるようにキスが深くなる。
でも、いつもと違うのは、雀ちゃんが少し、控えめだということ。
わたしがここまで求めれば、いつもなら彼女の舌はわたしのそれを絡めとるように動いてくるのに、今日は撫でるように先端でちろりと触るだけ。
……それがまた、わたしを煽っているとも、彼女は判っていない。
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襟を握る手でもう一度彼女を引き寄せると、ヒクと彼女の舌が跳ねた。
――……なんだ雀ちゃん。ちゃんと反応はするじゃない。
内心、ほくそ笑みながらも、襟を引き寄せた手のひらで、彼女の首を撫でてみる。
指の先端はうなじへと回り込み、髪の生え際と、ツルリとした肌との境目を引っ掻くように指の腹で擦る。爪で引っ掻くのはすこし、刺激が強すぎるかもしれないから、指の腹であまく肌を掻き抱く。
「すき」
「……っ……」
どこか我慢するような息遣いと、動きの弱い舌。
だけどこちらの睦言は耳に届いているようだし、キスだって、嫌な訳ではなさそう。
どうやらこの遠慮は名残りらいぞとわたしは確信した。
完全に吹っ切れた訳ではなくて遠慮がちだけれど、それなりに反応をしてしまう辺り、雀ちゃんらしいと言えば、らしい。
素直な性格を可愛らしく思いながら、あとはわたしの仕事ね、と胸中でクスリと笑う。
終わり良ければ総て良し、ってね。
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さっきの事や色々な話を無かった事にしようなんて思っていない。
ただ、色をつけて彼女の中に嫌な記憶として残さないようにするだけ。
そうと決まれば……。
わたしは彼女との口付けを一旦解いて、彼女の顔を覗き込んだ。
キスで僅かに乱れた呼吸を漏らす唇は濡れていて、すこし伏せられた目はとろりとしている。そんな表情に掛かる伸びた前髪が色気を醸し出していて、不覚にも、ときめく。
魂胆など一瞬頭から抜け落ち、惹かれたひとと再度唇を重ねてから、自分が役目を一瞬で忘れていた事に気が付いた。
「……」
こういう時は……好き過ぎて……困るのよ……。
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惚れているからこそ、思うように動けない時があって、今までしてきた恋愛のように自分の思い通りの駆け引きや計画遂行が出来ないことがある。
雀ちゃんとの恋愛は、そういう事態が多々、あるのだ。
それは付き合いがまだまだ浅いからだ、という理由もあるかもしれないが、それだけではない。
確実に、わたしの方が強く惚れているから。……だと思う。
まぁ……彼女の気持ちを数値化して測る事は出来ないから、多分としか言えないけれど。
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彼女の色気に心臓を掴まれた時からドキドキと存在を主張し続けているわたしの心臓。
こんなに抱き着いて悟られないかと心配になるけれど、それはもう、仕方がない。そう諦めを前に建てて、わたしは何度も彼女の柔らかい唇を食む。
自分の唇よりも薄めのそれは、男性とは違って柔らかい。
女の子とキスするのはこの子が初めてだけど、これは病みつきになる。
男性とのキスで、唇を引っ張られるようなものが多いと思っていたけれど、そうしたくなる気持ちは雀ちゃんとお付き合いをしてから理解した。
けど、ああいうキスは……実は苦手。口の周りがベトベトになるんだもん。多少はそりゃぁ……仕方ないと思えるけど、あまりにも、は……ねぇ……。
自分がされて嫌なことは人にはあまりしない主義。
柔らかく自身の唇を押し付けて、角度を変えてまた押し付けて。たまに少しだけ、啄んで。
お互いに吐息が洩れて唇が開けば、示し合わせたように舌が相手へと伸びていく。
――……あぁ……だめ……、夢中になりそう。
魂胆も、計画も、駆け引きも、また抜け落ちそうになる。
それを必死に繋ぎ留めるように舌を引きがちにして理性と冷静を構築し直していると、雀ちゃんの手が後頭部に回ってきた。
わたしの頭を手で支えている。と言えば聞こえはいいけれど要は、逃げ道を塞ぐ行為だ。
「……ふ」
顔を後ろへ引けなくなった瞬間、雀ちゃんがキスの合間に少し首を傾けた。途端、すぐさまこちらへ侵入してくる舌は深く、クチ、と僅かに水音が立ち、わたしを煽る。
「ぁ……ん」
わたしが引っこめていた舌に、絡んでくる彼女の舌。
柔らかくて、熱くて。くにゅりと絡まるそれ。
――さっきまで、えんりょしてたくせに。
ひらがなでしか思考を編めなくなるくらいに、うなじが痺れて、呼吸が……乱れた。
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待って。
いろいろ、段取りってものが、あるのに。
「ン……ん」
声が、息継ぎの合間を縫って、零れる。
上擦ったそれはどうしようもなく惹かれているのだと、雀ちゃんにも、自分自身にも知らしめてきて、頭が痺れてくる。
そんなつもりはないのに、雀ちゃんの首に回した腕が、縋るわたしの重みを彼女へと伝える。
絡める舌の間を縫って、粘着質な水音が立つ。
後頭部にまわった手はくしゃりとわたしの髪を握るように指が曲げられては再び広がる。
撫でられるようなその仕草にまた、わたしの胸はきゅうとときめきを覚えて、痺れるのだ。
……だめ。
キスが……気持ちよすぎる。
腕を解いて、唇を離さなければ。
そう思うのに、出来ない。
絡まる舌が蕩けそうな程に心地良くて。何か媚薬でも盛られているのではないかという程に、雀ちゃんとのキスを止めたくない。
ヌル、と雀ちゃんの舌がわたしの舌を舐めて、唾液を飲み込む。
喉の動きと自分の体液の行き先を察知してはゾクリとするわたしの精神はどうも、快感を求めて止まないようだった。
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