隣恋Ⅲ~ブラジャーの日 後日談~ 17話


※ 隣恋Ⅲ~ブラジャーの日 後日談~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 自分の経験と体験と、貴女の体感は同じだろうか。

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~ ブラジャーの日・後日談(2019年加筆修正版) 17 ~

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 元来、わたしの彼女は丁寧語で話をするひと。
 出会った当初からしばらくは苗字で呼ばれていたし、こちらが名前で呼ぶように要求しても恥ずかしいのかなんなのか、なかなか「愛羽」と呼んでくれなかった。

 そんな彼女だけれど、今となっては普段から「愛羽さん」と呼んでくれるようになり、普段の会話の丁寧語も柔らかく変化してきていた。

 そして、いま、この状況である。

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 乱れた肢体をさらけ出して、乱れた呼吸を繰り返しながら、潤んだ瞳でわたしを見上げて彼女は言った。

「……抜……いちゃ、い、やです……っ」

 と。

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 普段の口調と同じだ。丁寧語。そう、です、ます、と語尾につくその口調。
 だけれど、ベッドの上で、この雰囲気の中で、その口調は少し……いや、かなり、ものすごく、クる。
 なにかこう……部下もしくは生徒もしくは執事辺りのひとにイケナイことをしている背徳感に似たものを匂わせる。

 わたしが男ならもうナニがアレしてしまうレベルで、欲情を強制的にさせるくらいの効果はある。
 でも。
 こちらの心境も知らずに彼女は更に。

「……ッ、あい、はさ……お願い、し……す……っ」

 顔や耳、首、鎖骨あたりまでその肌を紅く染めて、わたしを見上げて縋るよう、そう言った。

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 ……あぁ……。

 マズイ。

 コントロールできないわ、これ。

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 今までお付き合いしてきた人はいる。
 もちろん、こういう身体の関係を持った人も。

 けど、ここまで、思考が乱されて、自制の効かなくなるくらい昂らされてしまった人は、初めてだった。

「雀ちゃん……」

 抜かないでくれとお願いされているのにも関わらず、わたしは大好きな彼女の名前を口にしながら、ずるりと愛液で光る指をナカから引き抜いた。
 それに合わせて彼女の唇からは嬌声があがり、瞳には責めるような色が浮かびこちらを見ている。

「なら入れてあげるけど……もっと、その可愛い声聞かせてくれるわよね?」

 濡れた二本指にもう一本添えて、わたしはゆっくりと蜜壺へとあてがう。
 すると彼女の顔には、何をされるのかを理解した気配。そして、三本なんて無理だ、なんて頭の隅で思っているに違いない。

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 読み取りやすい彼女の心情と表情にクスリと笑みをこぼして、ゆっくりと指を埋め込んでいく。
 普段のえっちで彼女がそうしてくれるように、入口を反対の手で広げるようにして、痛みを少しでも除いてあげる。
 それでも女性の身体というのは、入口の方が狭くて痛みを感じやすい。
 わたしの指が進むにつれて雀ちゃんの表情が耐えるように変化してしまえば、先程までの加虐心はどこへやら、一度動きを止めて彼女の様子を窺った。

「いたい……?」

 興奮して調子に乗り過ぎた。急すぎたか。
 そんな後悔をちらりと頭に過ぎらせていると、雀ちゃんの中がヒクついた。

「……ゆ、っくりなら……大丈夫です」

 そうは言ってくれるけれど、言葉と違い、入口は本当に痛むのかもしれない。
 けれどそれ以上に、ナカがヒクついて、わたしの指を奥へ運ぶようにうねり、熱く脈打っている。

 その相反する感覚が、身を捩るくらいに、どうしようもなく恥ずかしくて、快感を増強させるものだと経験で知っているわたしはどう動くべきなのか、迷う。
 経験則から導きだした、今の雀ちゃんの心境は。

 どちらでもいいのだ。される側としては。

 身体を気遣うよう優しく穏やかにされるのも良し。
 痛みを圧して大きな快感を与え続けられるのも良し。

 どちらでも嬉しいし、気持ちいい。
 と、そこまで考えて……、人それぞれ、という言葉も浮かび上がってきて、自身の頬が僅かに染まる。

 い、今は雀ちゃんがされる側だから、自分と同じ考えや感じ方とは限らないのだ。
 そ、そうよ。Mっ気のあるわたしと、この子は違うんだから……っ。

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 心中でふるふると頭を振り、自分と重ねるような考えを打ち消す。
 今は、雀ちゃんがされているのだ。
 自分の経験や、自分の考えをそのまま引っ張ってくるのは、よくない。
 参考程度にしておかないと。

「いたかったら、すぐ教えて?」

 こくんと頷いた彼女に微笑んで見せてから、わたしは指の動きに集中した。

 少しずつ指を進めては戻りを繰り返す。そうすることによって、入り口が指の大きさに馴染んでくると痛みも減る。
 痛みが減れば、逆に増えるものは快感。

 暫く緩やかなピストン運動を繰り返しているうちに、雀ちゃんの口から快感の吐息が漏れ始めた。

 可愛い。
 ずっと眺めていたいわ。

 なんて思いながら、わたしは時折鳴る粘着質な水音とあまく漏れてきた吐息に耳を傾け、指の抽送を繰り返すのだった。

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 そろそろ、頃合いかしら。

 第二関節中ほどまでしか入れていなかった指を、ぐぐぐと根元まで埋め込みながら雀ちゃんの顔を窺えば、彼女は下唇を噛んで耐えていた。
 耐えている表情に違いはないけれど、その対象が痛みではなく、快感と分かるその表情。

 あぁ。
 たまらない。
 可愛い。
 もっと。
 もっと、その表情を見ていたいし、快感に耐える声も欲しい。

 そして、いじめたい。

「雀ちゃん、あんまり可愛い顔見せてると、わたし、我慢できなくなっちゃうわよ?」

 焦ったような反応をする彼女も、可愛らしくて、わたしの胸を鷲掴みにするのだ。
 ああ、もう。ほんとうに、可愛い。

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