※ 隣恋Ⅲ~媚薬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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揺れる腰を目聡く捉える貴女の瞳。
奥にある炎はより大きく燃えて。
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~ 媚薬 5 ~
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差し出した舌を何度も舐り、わたしに快感を与える雀ちゃんの行為はわたしの快感欲求を容易く増幅させていく。
押さえつけ、自由を奪われるこの体勢も、その要因のひとつではある。
だって、動きたいのに、動けない。
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情事の際、される側っていうのは、基本的には快感を身体に蓄積させていく。
けど、情事をスタートさせた時から常に蓄積し続けるのではなくて、程々に快感を逃がしながらそうしていく。
快感を逃がす方法は人それぞれだと思うけれど、例えばわたしは喘ぐことだったり、身体を捩ることだったり、シーツや枕、なにかに縋ることだったりする。
でも雀ちゃんに両手首をがっしりと掴まれ、ベッドに押さえつけられ自由の効かない今、それが殆ど、できない。
だから、身体に快感が蓄積されるスピードはいつもより速い。
そのうえ、媚薬を盛られているそうで、それはそれはわたしの身体は大変なことになっている。
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思考に霞が掛かったような状態で、なんとか現状把握と分析をしたものの、雀ちゃんは相変わらずいやらしくわたしの舌を舐めるし、吸うし、もう……たまらない。
じれったいくらいにゆっくりと動く彼女の舌が、気持ち良くて、もっと欲しくて。
まだ指一本触れられてもないのに、下腹部が疼く。
「……あぁ、……は……」
唯一の快感を逃がす喘ぎ声も、舌を長く突き出している状態だと上手くできない。
何かに縋りたくて、でも出来なくて、わたしはきゅうと手を握り拳を作った。
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そしてどうにか自由の効く下半身で、燻る下腹部の疼きをなんとか消化しようと腰がゆらゆらと揺れる。
もの欲しそうに、ゆらゆら、ゆらゆら。
それを見逃してくれるほど、わたしの恋人は甘くない。
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絡みつくように舐められる舌がやっと解放されたと思えば、降ってきた言葉は意地悪なもの。
「なんでそんなに腰、くねらせてるの?」
なんで……なんて。
理由は決まっている。
もう、じれったさなんて感じないくらいに攻め立てるか、じれったさに狂ってもいいからこの両腕を解放して、わたしに快感を逃がす術を与えてくれるか、どちらかにして欲しい。
頭ではそう答えがハッキリと出ているのだけど、それを正直に言えるほど、羞恥心が麻痺している訳でもないこの現状。
舌への長い愛撫で乱れた呼吸を整えながら、この想いを汲み取ってもらえないものかと彼女を縋る目で見上げた。
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わたしの予想でしかないけれど、雀ちゃんは、わたしの考えを察している。
それでも分かっている癖に、意地悪な問いかけをしてくる彼女を睨むと、彼女は唇の端を吊り上げるようにして笑う。
そのドS全開の表情ったらない。
かなり本気で、今日はS属性になってしまったようだ。
その証拠に、ホラ。
「どうして欲しいのかちゃんと言ってくれないと、出来ない」
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「な……っ」
こ、の……ドS……!!
胸中でそう叫びながら、睨み上げる。
そんなわたしを楽しそうに、それはそれは愉快そうに見下ろす彼女の瞳が語っている。
『ちゃんと言わないと、気持ちいい事の続き、してあげないよ?』
と。
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分かってる。分かってるわよ。言わなきゃこの先をしてくれないってことくらい。
彼女がドSな目をし始めた時から分かってた。
でも、なんかこう、あるじゃない。
恥ずかしくて言えない気持ちと、言ってもっと気持ちいいことして欲しい気持ちっていう葛藤。
質が悪いのは、その葛藤がわたしに在るのを分かっていながら、雀ちゃんがわたしに強要してくることだ。
「ねぇ。愛羽?」
ホラ、こうして、わたしが打開策を考える暇も与えてくれない。
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「~~~っ、意地悪……!」
手のひらで転がされているのが気に食わなくて、それだけなんとか言い返すと、わたしを見下ろしている目がすぅ……と細められた。
「優しくしてあげようと思ったのに、残念」
愛羽がそういうコト言うなら、こっちは構わないけど。と続けて言った彼女はゆっくりとわたしの両腕を解く。
せき止められていた血流が末端へ向けて流れはじめ、じわぁと掌が熱くなった。
けど、そんな事が気にならないくらいに、雀ちゃんの目から視線を外せない。
「嫌ってくらいに、気持ちいい事してあげる」
見下ろす瞳の中の炎が、目に見えて大きく燃え上がった。
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