隣恋Ⅲ~媚薬~ 4話


※ 隣恋Ⅲ~媚薬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 わたしの身体を熱くするのは媚薬……?
 それとも、貴女?

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~ 媚薬 4 ~

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「……や、ぁ」

 舌を伸ばし続けていた行為もなかなか疲れるもので「やだ」と言ったつもりが、上手くいかなかった。
 一度自分の口内に舌を収めて、改めて彼女に苦情を申し立てる。

「もっと、気持ち良く……なりたい、もん」

 蕩けた頭の隅で、「どうしてこんなにも快感欲求が今日は強いの?」なんて考えるけど、それを雀ちゃんに問い掛ける余裕がない。

 わたしの台詞に笑った雀ちゃんが、「すごい」と言う。

「すごい効きよう」

 少しの驚きと、愉しそうな感情の混ざる彼女の呟きに、僅かに残った思考能力をわたしは総動員させた。

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「効くって……なに……?」

 問うだけで精一杯。自分で考えられない。
 まるで、強めの痛み止めの薬を飲んだ後に襲い来る眠気のように、思考が上手く働かない。

 そんなわたしを雀ちゃんの観察するような瞳が見下ろしてくる。

「媚薬が、ね」

 だいぶ、回ってきたみたい。と彼女は続けて言った。

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 媚薬……?

 蕩けた思考で、雀ちゃんの言葉を追いかけて、数十秒。

「びやく……!?」

 ハッとしてオウム返しに口にした。

 び、びやくってあの媚薬?
 いつのまに盛られたのか分からなかったけど、その媚薬の存在があれば、この強すぎる快感欲求も、使い物になりそうにない思考能力の弱さも、理由がつくし、納得できる。

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「ご飯食べてる間に……?」
「真犯人は私ではないけど」

 クスリと笑う彼女は、暗に真紀が媚薬を仕込んだ犯人だと告げていて、チラと彼女の悪戯顔が頭に浮かぶ。
 まったく……いつもいつも、どうしてああも悪さばかりを思いつくのだろう。

「愛羽」

 慣れない。
 その呼び捨てでわたしを呼ぶ貴女も、冷ややかでいて熱い瞳で見下ろしてくる貴女の目も。

「ベッドでほかの人の事考えるの禁止」

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 ゾク……。
 視界と思考が一瞬揺らぐ程に、悪寒にも似たような感覚が背筋を走る。

 見下ろしてくる彼女の瞳は冷ややかだけど、その奥に燃え上がっている炎はわたしを火照らせるには十分すぎる光を放つ。
 そして、両手首を押さえつける彼女の掌も、温かいというよりは熱いと感じて、雀ちゃんの興奮も伝わってくる。

 どうやら……媚薬の効果は摂取した本人だけでなく、その相手にもこうして伝わってしまうものらしい。

「もっと舐めたいから、舌だして」

 ほら、普段からは想像できない程えっちで過激な事を、彼女はこうして口にする。

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 クスリを盛った事に対する謝罪も反省もないのかと咎める気持ちが一瞬浮かんだものの、媚薬に犯されたわたしの身体は正直だった。

 雀ちゃんの「もっと舐めたい」という言葉を聞いただけで、ジンと下腹部が痺れて、脳裏には先程の続きを思い描く自分が居る。

 やっぱり……はしたない。

 一欠片残った理性がそう呟くけれど、相反して、わたしはゆっくりと唇を開き、そこから真っ赤な舌を彼女に差し出すのだ。

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「いい子」

 低く、囁くように雀ちゃんが言う。
 そのカオは満足気で、わたしが思う通りに動いたことが嬉しいのだろう。
 手が空いていればそれこそわたしの頭を撫でてきそうな程の優しさを見せながら、ゆっくりと近づいてくる雀ちゃんの顔。

 それに期待が膨らむのは……やっぱり、媚薬のせいだ。

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 生暖かい口内に含まれた舌は、彼女の舌でねっとりと舐め上げられる。

「あ、……ぁ……」 

 気持ち、いい。ゾクゾク……する。

 媚薬の存在を知らされていない先程までは、自分をはしたないと思う気持ちが大きかった。
 でも、その存在を知った今……どこかで、自分だけのせいではないのだと気持ちが楽になっている。
 媚薬のせいだ、と思うことで罪悪感が薄くなって、わたしの行動も大胆になっていく。

 疼く下腹部を主張させるように、ゆらゆらと腰が揺れ始めた。

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