隣恋Ⅲ~媚薬~ 21話


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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 相手の体温と自分の体温を比べるように頬を押し付けた。

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~ 媚薬 21 ~

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 随分おさまってきたけれど、まだドキドキしている心臓の音を聞きながら、彼女の頬と自分の頬をくっつける。
 すると、わたしよりも雀ちゃんの方が熱い気がして、彼女の顔色を窺うように少し、体を離してみる。

「ん?」

 不思議そうに首を傾げる雀ちゃんの顔色は別に悪くない。だから、熱があるとかではなさそう。
 むしろ、頬が上気していて血色はいいくらいだ。
 行為の後だし、攻める側の雀ちゃんも体温が上がっててもおかしくないかと納得して、わたしは横に首を振ってみせた。

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 しばらく抱き着かせてもらったおかげで、体も心も落ち着いた。
 「指を抜いて」と言うのもどうかと思って、自ら後ろへ体ごと引いてみる。ずる、と指がナカから抜ける感覚に生じる快感。
 スカートの向こうでは、たぶん、わたしの愛液に塗れた指が引き出されるイヤラシイ光景が繰り広げられているんだろう。

「やらしい。まだ、シたいの?」
「ち、がう。けど……仕方ないでしょ……ばか」

 キラン、と彼女の瞳の炎がまた燃え上がりかけたので慌てて否定する。だって、これ以上したら本当、腰が立たなくなる。砕ける。
 それでも、雀ちゃんがゆっくりと指を引き抜いてゆくその動きだけでも身体に走る快感は嘘にはできない。

「ん、……ふ……」

 下唇を噛んで声を抑え、なんとかナカから彼女の指を完全に抜き切った。
 眉を寄せ、またヒクつきそうになるそこの感覚に耐えるよう顔を伏せると、雀ちゃんの笑う気配。

「誘ってるの?」
「だ、から違うってば……っ」

 頭はもうシャワーを浴びて眠ろうと言っているのだけど、何故だか身体が……一歩間違えばまた、欲しがり始めてしまいそうだった。

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 なんとかその衝動を抑えて、雀ちゃんの膝から降りる。
 雀ちゃんも胡坐を解いて、指を拭う為のティッシュに手を伸ばす。彼女がわたしの愛液を拭う光景を見ていられなくて、照れくささに視線を逸らし、ギョッとする。

 雀ちゃんが座っていたそこ……正しくはわたしが座っていたその場所。本来は枕が在る場所に、大きな染みが。
 何の染みかはもう、決まりきっていて、カアァッと頬が一気に熱くなった。

 いつの間にか指を拭い終えてティッシュをゴミ箱へ放った雀ちゃんがそんな状態のわたしを発見し、視線を辿って小さく笑った。

「シーツ、変えとくからシャワー浴びてきなよ」
「いっ、いい! 自分でやるっ」
「照れなくても」
「恥ずかしいのっ、雀ちゃんこそ汗かいたでしょ、シャワー行って……!」

 ど、どこの世界に自分の愛液で汚れたシーツ交換を恋人にさせる人がいるのよ……っ。
 恥ずかしがる様子が面白いのかクスクス笑い声を立てる彼女をお風呂場に追い立てた。

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 バスルームへ彼女を送り出してすぐにベッドのシーツを剥ぎ取る。一応、下には滲みていないみたいだったけれどタオルをあててあるかどうかも分からない水気を取り、消臭スプレーを吹きかけた。
 自宅で気軽にえっちが始められるけれど、ラブホテルとは違ってこういう後片付けが伴うところが不便。だが、仕方ない。

 消臭スプレーの湿気がとれるまでは新しいシーツはかけないでおこうと、サイドボードに畳んだままのベッドシーツを置いて、脱がされた下着を拾い上げ風呂場へ向かう。

 不透明なガラス戸の向こうではシャワーの音が響いていて、ちらつく人影。どうやら体を洗っているみたい。
 わたしも早く入らなくちゃと、服に手を掛けて脱ぎ始めるけれど……汗で張り付いて脱ぎにくい。
 四苦八苦しながらなんとか脱いで、一応ガラス戸をノックしてから扉をあけた。

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「いらっしゃい」

 体についた泡を流しながら彼女が振り返る。水しぶきに片目を瞑りながら、濡れた髪をオールバックみたいにかき上げている仕草は爽やかセクシー。
 ちょっと、どきっとする。
 もう付き合って結構経つのに跳ねた心臓を誤魔化すよう、話題を探す。

「もうあがっちゃうの?」

 雀ちゃんは、髪、体、顔の順番で洗っていく人だからもう後は顔を洗うだけだ。
 そんなわたしの言葉に、洗顔フォームを手にとりながら、唇の端をあげる雀ちゃん。

「寂しいですか?」
「んー、そんな事も無いけど」

 サバサバしたわたしの返答に吹き出した彼女は、泡立てたそれで洗顔を済ませてわたしに場所をあけてくれる。
 そんなに広くもないバスルーム。わたしの背後に立つ形になった雀ちゃんが、耳元へ唇を寄せた。

「じゃあ、お先に。愛羽さんの裸見たら、また襲っちゃいそうですから」

 悪戯にそう告げると、首筋にキスをひとつ。
 わたしの顔が赤らむのもそのままに、ガラス戸の向こうに姿を消した。

 ……ばか。

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