隣恋Ⅲ~媚薬~ 17話


※ 隣恋Ⅲ~媚薬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ……まだ放さない……って……?

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 ~ 媚薬 17 ~

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「えっと……?」

 この後はしばらくまったりピロートークでもして、シャワー浴びて、寝るのかなって思ったんだけ……ど……も……?
 雀ちゃんの言い方だと、なんだかまだ2ラウンド目を迎えそうな感じ。
 なんとはなしに、察しながらも、窺うように彼女を見上げる。

「忘れたなんて言わないよね? 約束」

 満面の笑みで見下ろされて、わたしは記憶を物凄い勢いで手繰り寄せ始める。
 約束? 約束っていつ? なんの?

「ええ? まさか、忘れたなんて言わないよね?」
「え、ちょ、ちょっと待って」
「約束反故にするなんてことしたら、どうなるか分かるよねぇ?」

 だ、だから待ってってば!
 わたしが思い出せないでいるのを楽しむように、追い込むように雀ちゃんはくすくす笑い声を零しながらわたしを眺めている。

 数分前にイったばかりなのに、なんでこんな猛スピードで頭脳労働しなきゃいけないのか。
 そんな文句も浮かぶけれど、約束を思い出せずに罰を受けることのほうが怖くて、わたしは必死に現時点から時を遡る。

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 約束、約束、約束……。
 ズルズルと記憶の糸を手繰っていくと引っかかったそれ。

「あ、言う事聞く!」

 そう、そうだった。なかなか指を入れてくれない彼女が交換条件的な感じで約束を取り付けたんだ。

「ていうかあれって、すごく卑怯な約束の仕方じゃない?」
「約束反故にしかけた人が何か?」
「…………なんでもない」

 鼻に皺を寄せる表情を返すと、笑われた。
 いやでもこの約束の仕方は卑怯でしょ。ほんと。人の弱みに付け込むというか。
 次は絶対、こんな約束の仕方しないんだから。

 心に誓っていると、雀ちゃんはわたしの額にもう一度キスを落としてくる。

 ……それ、されると何でだか、好かれてるなぁって気がして、ほだされてしまう。
 まぁ……ひとつくらい、言う事聞いてあげてもいいかな、なんて、思ってしまう。

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「好きだよ、愛羽」

 目を真っ直ぐ見られて、微笑すら浮かべて、ベッドの上だけで聞く事の出来るいつもと違う口調で、名を呼び捨てにされて。

 ……あぅ……まずい……。

 …………ドキドキする。

 今度は唇へと口付けられ、悔しいけれど、陥落する。
 目を閉じ、柔らかな口付けに応じるよう啄み返せば、雀ちゃんは髪まで撫でてくれる。

「……すき、雀ちゃん……」

 これで、落ちない女なんか、いない。

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 繰り返される甘い口付けに溶けていく思考。
 体力的に2ラウンド目はきついかなと思っていたけれど、いつの間にか受け入れ態勢な気分になっていて、雀ちゃんの手技にしてやられた感はある。

 でも、それでもいいかと思ってしまうのは、惚れた弱み。

「ね、起きて、愛羽」
「んぅ?」

 蕩けていると、体を起こすように腕を引かれた。
 疑問を抱きつつも起き上がると、雀ちゃんは枕を退けてヘッドボードへ背を預ける形で座った。

「?」

 彼女の行為が謎すぎて、首を傾げてみせると、デジャヴが。
 先程までの甘い顔はどこへやら。
 ニィと笑うその表情は意地悪そのもの。

 そのカオと出会うのは今日、何度目か。

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「こっち向いて、ここ、座って」

 ここ、と言いながら自分の胡坐をかいた脚を叩く雀ちゃん。
 彼女の意図することを察して、わたしは渋く唸る。

 ……そこに正座したら、怒るわよね。やっぱり。

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 動かないわたしを、意地悪な顔で雀ちゃんが催促する。

「約束」

 と。

 ……こういう魂胆があったのか。と、やはり渋く唸る。

 だって、彼女が胡坐をかいている膝へ座るということは、自分が脚を開いて座るということだ。
 それはつまり……アソコを晒すということ。

 雀ちゃんはわたしが渋ることを最初から予想していて、それで「約束」を強引にとりつけたのだ。
 この体勢で、えっちがしたくて。

「変態」
「どうとでも」

 恥ずかしがりながら言っても、あまり攻撃力はないらしい。
 余裕の顔をした雀ちゃんはもう一度、ポンと自分の膝を叩いた。

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 しぶしぶ。
 本当、渋々、膝立ちになって、彼女の胡坐の上へ。

「はい、座って」
「変態」
「約束」
「うう……」

 単語すぎて、会話になっていないようで、なっている。
 恥ずかしさに口を一文字に引き結びながら、雀ちゃんの肩へ手をかけ、支えにしながらゆっくりと腰を下ろしていく。

 顔が、熱い。
 気を紛らわそうと、わたしは口を開いた。

「……最初からコレがしたくて、服、脱がせてないんでしょ」
「初回から裸でこの体勢は、恥ずかしいかと思っての優しさだよ」
「ばか。へんたい」
「好きだよ、愛羽」

 安定しない体勢のわたしの腰を抱いて支えながら、微笑む彼女。

 卑怯。
 変態。

 でも。

「…………すき」

 そんな優しい顔で微笑まれたら、負ける。
 だって、惚れてるもん。

 わたしは脚を開いて、彼女の胡坐に向かい合わせに腰を落ち着けた。

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