※ 隣恋Ⅲ~湯冷めた頃に~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 湯冷めた頃に 3 ~
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苦肉の策だ。
わたしが自ら本心で、雀ちゃんに体を洗ってもらうなんていう、恥ずかしさの極みを要求するとでも思っているのだろうか。この、嬉しそうにニコニコし始めた酔っ払いは。
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だって、こうでも言わなきゃ絶対このまま雪崩れ込む。
やる気満々の相手をお風呂場に移動させるには、相手にとってのメリットを用意しなくてはならない。
雀ちゃんにとってのメリットとは、この場合……わたしの恥ずかしがる姿を見られる事だったりもする。その証拠に、わたしの”お願い”を聞いた直後から、雀ちゃんの笑顔が止まらない。
早くも、言わなきゃ良かった、なんて思いが湧きあがりそうになるけれど、どうしようもない。口から出た言葉は、取り戻せないのだから。
両手でわたしの頬を包んで、唇を重ねた雀ちゃんは間近で視線を合わせたまま、囁いた。
「ここで、脱がせていい?」
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「っな、んでここ」
リビングで、ソファの上で、なんで。お風呂に行くのに。
常識的とは言い難い雀ちゃんの要求に、言葉を詰まらせながら返す。
「んー。愛羽さんが可愛すぎて脱衣場まで持たないから?」
「やだ。ここで脱いだら襲われそう」
「襲わない襲わない。ちゃんとお風呂で襲うから」
ちゃんと、ではない、それは。
わたしは体を洗ってとお願いしたのに。
へらりと酔っ払い特有のふにゃけた笑顔をみせながらも、雀ちゃんはわたしのシャツのボタンを上から外していく。
酔っ払いはひとの言う事を聞きやしない。
「愛羽さんのスーツ姿って、萌える。こんな格好のお姉さんが職場に居たら物凄く仕事捗るだろうな」
突然、なにを言い出すのだろうか。
この子は、萌え、とか言う子だったかしら。もしや隠れオタク? 確かにゲームはするみたいだけど、以前、ゲームをするオタクと美少女を愛でるオタクは違うものだと渋い顔で言われた記憶がある。
酔っているせいか、通常よりもボタンを外すのに時間がかかっている雀ちゃんの赤らんだ顔を眺めつつ、服を脱がされる恥ずかしさも忘れて、突如始まった好み解説に耳を傾けた。
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「シャツってそれだけでなんかエロいし、着てるだけで大人っぽいし。それに透けて見える下着の線とかもエロい」
「キャミソール着てるけど?」
そりゃあ、シャツ一枚でその下が下着なら透けて見えるだろうけど、わたしはそんなのご免だからちゃんとキャミソール着用。社員の中の若い子はたまに、ブラジャーの色が透けて見える状態でいるけど、恥ずかしくないのかしら?
いやでも見せブラとかもある時代だし? そういうのは見せてこその価値があるのかもしれない。……わたしにはその価値は理解できないけれども。
「キャミソール着てても、肩紐の所は隠しようがないし、ブラジャーの背中のラインとかは前屈みになると見えるから」
「……変態。いつもバイト先でスーツの女の人に目がいってたりしない?」
着目する点が、コアすぎるんじゃないかしら。
胸の谷間が、とか言われたらそりゃまぁ納得するけれど、浮き出た下着の線がエロいとか言うこの子は大丈夫かしら。
「愛羽さんが来たときは見てるけど、他は見ても興味が湧かないかな」
しれっと、嬉しい事を言ってくれる。
酔っているだけにそれが本当に、本心なんだろうと察する。
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「こういうのもエロいはエロいけど」
シャツのボタンを全て外さずに、下から2つほど留めたままの物凄く着替え途中な状態を作り出して、雀ちゃんはジロジロとわたしを眺める。
その目付きがやらしくて、思わず、右手でシャツの前をまとめて掴んでインナーとそこから僅かに覗くブラを隠した。
「あぁ、そういうのもいい」
隠されると、逆に興奮する。
口元に薄く笑みを浮かべた雀ちゃんが、そう付け加えるように言って、言葉通り興奮を覚えたのか、顔を寄せてくる。
そうされると、嫌ではないし、好きな恋人が相手だから咄嗟に目を閉じてキスを受け入れてしまう性がくやしい。
場の流れというか空気というか、全てを掌握されている感じ。
柔らかく啄まれて、彼女の唇の感触と、キスの甘さに酔いしれそうになる。
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――だっ、だめだめ。お風呂お風呂。
ちぅ、と雀ちゃんが音を立ててわたしの下唇を吸って、軽く引っ張るみたいにして離れた。それに合わせて、こちらを意図的に身を引いて唇同士を離すと、わたしは彼女を見上げた。
「お風呂、いこ」
いつまでもこのソファの上でいちゃついていると、雀ちゃんがいつ覆いかぶさってくるか分からない。それに。
わたしだって、抱かれたくない訳じゃない。
だから、こちらの我慢と理性も、雀ちゃんの愛撫に誘われてノックアウトされる前に、わたしはお風呂に向かう必要がある。
――こんな甘いキスばっかりするんだもん。…………疼く。
腰にくる甘い痺れを、なんとか堪えようと、わたしは目を伏せた。
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