※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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和みと愛情。
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~ 湯にのぼせて 18 ~
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あの意地悪な瞳に見上げられてから、もうどれくらい時間が経っているんだろう。
5分? 10分? もしかして30分くらい?
時間感覚もなくなるくらいに甘い痺れに犯されていた。
すでにわたしの手は緩み、雀ちゃんがひょいと手で除こうと思えば退けられる程度。ただ、秘部の前に置いてあるだけの覆いと化していた。
砦だなんて間違っても言えない。
最初は両手だった二枚扉の片方も、あまりの舌遣いに負けて、後ろへ避難させてしまって、今は崩れ落ちそうな身体を支える棒となっている。
ただ手を舐められているだけなのに、腰は疼くし、身体は甘く痺れる。伴うように息は乱れるし、喘ぐ声は漏れる。
でも。
「感じちゃだめですよ」
悪魔がそう、下から注意してくる。
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明らかに、感じさせようとしている悪魔は、わたしが喘ぐと「駄目ですよ」と嗤う。
さっきから何度その注意を受けていることか。これがサッカーならばもうとっくに退場だけれど、この悪魔は退場なんてさせてくれないし、わたしが彼女に従って、快感を堪えようと必死になればなるほどに、嬉しそうにするのだ。
悪魔、としか言いようのないその行為。
わたしはついに、彼女に白旗をあげた。
「っ、雀ちゃん、も…むりっ」
思った以上に、自分の声が、切羽詰まった声音で部屋に広がった。
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「無理?」
クスクスと愉しそうにする彼女は、また上目遣いをわたしに投げかける。
「むりっ」
だって、もう、無理だもん。
手だけでなんでこんな感じるのって思うくらいに気持ちいいし、その快感が身体に蓄積されすぎて、どうにかなりそうなくらいアソコがひくついている。
それに上半身を起こしていることも辛くて、体重を預け過ぎて片腕は棒になりそうだし、腹筋は攣りそうだった。
「じゃあなんて言わなきゃいけないんですか?」
小さい子どもに言いきかせるみたいに、雀ちゃんが柔らかい声を出す。視線の高さからすれば、わたしが大人、彼女が子どもなんだけど、立場はその真逆。
――なんて言えばいいのか……って……。
「……痛い事してゴメンナサイ」
「はい。よく言えました」
よいしょ、と言いながら体を起こした雀ちゃんが、微笑みを向けながらわたしを抱き締めた。
「最初から言ったら、こんなに苛めたりしないのに」
「……だって雀ちゃんがあんな変態みたいな事言わなかったらわたしあんな事しないもん」
わたしだけ悪者にしようったってそうはいかないわよ、とツンとそっぽを向いて見せると、雀ちゃんは小さな声で「確かにそうか」と独りごちた。
「気持ち悪い事言ってごめんなさい」
頬にちゅ、とキスをされて、その素直さに驚きよりも感服が勝る。なんだろう、このスレてない若くて純粋な感じ。
ほんと、こんな歳までまっすぐいい子に育ってる。
「気持ち悪くはないけど、思った事をなんでも口にしないように」
「はぁい」
…………んー……なんだろう。このほっこりする空間。いま、えっちの最中なのに。
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ゆっくりと雀ちゃんに押し倒されながら、なんとなく考える。
彼女のえっちは、緩急がある。キスしたり気持ちいい所を攻められたりする”えっち中!”みたいな時間と、なんていうか今みたいなほっこりする”中間ピロートーク”みたいな時間を織り交ぜて、総じて「えっち」なのだ。
そんな行為をする人とお付き合いしたのは生まれて初めてで、こういう感じの「えっち」をされると、ただ体や行為目的ではないのだと感じる。
好かれてるなぁ、と感じると言った方が正しいかもしれない。
――……好きだなぁ……。
わたしを組み敷いた雀ちゃんを見上げていると、不思議そうに彼女が首を傾げた。
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「なぁに?」
「いや、なんで笑ってるのかなと思って。私の顔に何かついてます?」
異物を確認するように顔を手で撫でる雀ちゃんに笑って首をふる。
「何にもついてない。ただ、雀ちゃんの事好きだなぁと思ってただけ」
わたしの言葉が不意を突いたようで、雀ちゃんはちょっと顔を赤くしながら、「あ、ありがとうございます…」だなんてモゴモゴ言う。
そして気を取り直すように咳払いして、足元から掛布団をひきあげ、ふたりの体にかけた。
「あんまり苛め過ぎたから、愛羽さんの体、冷えちゃいましたね」
苦笑を浮かべたその顔は申し訳ないと言っていて、わたしは微笑みながら頭を浮かせて彼女にキスをした。
ぽふ、と重力に従って頭を枕に戻して、布団の中で探り当てた彼女の腰紐をシュルと引き、浴衣の前を開く。
わたしの体の上に四つん這いになっている彼女の浴衣はいとも簡単に解けて、綺麗な身体があらわれた。その身体を抱き寄せると、素直に密着してくれる雀ちゃんの体温はあたたかい。
自分では興奮で体の冷えなんて感じていなかったけれど、実際は大分、冷えていたのだろう。
温かなその体温に心地良く目を細めながら、わたしは彼女の耳元に囁いた。
「冷やしたからには、わたしの体、熱くしてくれるわよね?」
その、指で。
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