※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 113 完 ~
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微睡みの中で、ぼんやりと思考が動く。
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眠い。ねむい。
さすがに、仕事をした日に2軒ハシゴしてお酒を飲んで、その後えっちをしたらねむい。
今にも、睡魔にノックアウトされそうな中で、わたしはぼんやりと考えていた。
いや、考えるといってもゆるいもので、完全覚醒している時の十分の一くらいの思考能力くらいしかない。
まるで、ぬるま湯に肩まで浸かって、体から力を抜いたときみたいだった。
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閉じた瞼の裏で、思い出したのは彼女の身体に散りばめた紅華。
お風呂場で、明るい場所で見た身体はなんとも扇情的だった。しかも、あれがわたしの仕業だという所がまたいい。
わたしとしては、キスマークを付け過ぎたなと思ったのに、雀ちゃんときたらまだ足りないと言うし。
ほんとうに可愛い子だ。
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可愛いといえば……あれはよかった。
えっちの最中、彼女がわたしの言うことを聞いてくれる瞬間。
例えば大人しく両手を縛られて、拘束されたまま攻められている姿なんかもう、たまらなくこっちは興奮したものだ。
意地悪しないでおこう、と思っても、意地悪してしまう程の魅力に、今晩だけで何度、自分を見失ったことか。
冷静さや自制心には結構自信があったのに、雀ちゃんの魅力の前には脆く崩れ去ってしまったのだから、世話がない。
どうして雀ちゃんがいつもえっちの時に、意地悪をするのか、その気持ちがよく解った。
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そう。そうだ。
雀ちゃんの気持ちが解ったと言えば、自分の変化についても思うところがあったのだ。
さっきも言ったように、雀ちゃんはえっちの時に、よく意地悪なことを言うし、わたしに恥ずかしい事を要求する。
わたしは最初は渋々やる。だけど徐々に、ノッてくると恥ずかしい事で羞恥心を煽られて気持ち良くなってしまったりするのだ。
それについて、以前はそんな自分じゃなかったのに……と最近悩んで、蓉子さんの所に行って相談をするくらいだった。
だけど、今晩、雀ちゃんを抱く立場になってみて、よぅく、分かった。
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雀ちゃんが意地悪をするのは、好き過ぎるから。
好きの気持ちが昂り過ぎると、支配欲や征服欲がかき立てられて、普段なら要求しないようなことまで、要求してしまう。
そして、その要求に応えてもらえた時、湧きあがる充足感と高揚感は、中毒性がある。
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その事が分かった今だったら、自分が雀ちゃんの好みに変化していくのも「まぁいいか」なんて思えてくるのだから、現金なものだ。
――や。……むしろ……。
目を閉じたままでも分かる。自分の眉間に皺が寄って、笑いそうになる口元がヘンに歪むのが。
――雀ちゃんにあんな興奮と満足を与えられるなら、もっと彼女好みに変わってもいいかも、なんて……。
許されるなら。
例えば雀ちゃんがすぐ隣ですぅすぅと寝息を立てていなければ、枕に顔を埋めて奇声をあげながら脚をバタバタさせているところだ。おまけに枕を胸に抱いて、ベッドの上をゴロゴロと転がってもいい。
そのくらい、自分の心境の変化は現金だと思うし、変化を受け入れる事も恥ずかしい。
けれどそれでも、雀ちゃんの喜ぶ顔が見られるなら、と思ってしまう。
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由香理さんが言った言葉を思い出す。
『相手の望む形に近付けるからです』
相手の望む形に近付けば、相手は喜ぶ。
そのことで自分も嬉しい。
さらに、雀ちゃんがどういう心境だったのかということも知ってしまった今。
変化を嫌がる理由なんて、どこにも無いのだった。
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目を閉じたまま、雀ちゃんが居る方へコロリと寝返りをうつ。
うっすらと瞼を押し上げれば、気持ちよさそうに眠っている彼女。
上下する肩に、わたしは額を押し当てた。
「すき」
呟きながら、額から伝わってくる彼女の体温に、全身があたたかくなってゆく。
それは気持ちの問題で、気のせいだったかもしれないけれど、彼女に触れているだけでわたしは安らぐのだ。
「雀ちゃん、好きよ」
眠る彼女の記憶には残らないけれど、もう一度伝えて、わたしはそっと目を閉じた。
今夜はたぶん、いい夢をみる。
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