※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
==============
~ 過去現在未来。嫉妬 108 ~
===============
「愛羽さんが言いたい事はなんとなくわかりましたけど……」
と、賛同的な口振りに安心して、わたしは手にしたストローを咥えた。
===============
「あ」
「?」
ちう、と吸い上げるミネラルウォーターはまだ冷たくておいしい。
雀ちゃんの言葉が途中で止まってしまったので、わたしは反対に首を傾けて、どうしたのという視線を送ってみせた。
「ぃや、あの」
たじろぐ様子の彼女に、ピンときた。
「さっきまであんなコトしてたんだから、間接キスくらいで照れなくても」
頬を人差し指でかく雀ちゃんは図星だったみたいで、ひとつ咳払いをして、ストローをチラ見した後、さっきの言葉の続きをはじめた。
===============
「そこまで愛羽さんが私の事を嫌わないって言ってくれた後に言うのもなんですけど、愛羽さんが私の性格全部知ってるわけじゃないでしょう? なのに、そんなに言い切っていいんですか? あとからやっぱり嫌いになったとか、我慢させ続けてた方が楽だったのにとか、そんなのはナシですよ?」
あ。意外。そう切り返してくるか。
言われるままに説得されるほど、馬鹿じゃないのよね、この子。そういう所も、賢さの片鱗が見えて大好きなんだけど。
「あら。わたしに隠し事があるの?」
「え? あ。いやそういうんじゃ、ないですけど……。あとからやっぱり……っていうのはキツイなぁと……」
もじもじした口調でだけど、雀ちゃんはしっかりと、わたしに何を考えているのか、教えようとしてくれている。
===============
「例えば私が秘密だと思って意図的に隠している事じゃなくても、愛羽さんにとっては秘密だと感じる事がある。後から知って、”どうして隠していたの?”ってなるじゃないですか」
うん、と頷く。
「その意図的ではない隠し事が、愛羽さんにとって許せないことだったとしたら……?」
やっぱり……キライになるでしょう……?
と、雀ちゃんは上目遣いをわたしに送った。
===============
その顔の可愛さに目元を緩めながら、彼女の髪を手櫛で梳く。半乾きの髪は、絡まりやすいから、ゆっくり、ゆっくりと。
「きらいになるとかの前に、その意図的ではない隠し事について、とことん、話をすると思うわ」
「話?」
「そう。どうしてそれをしているのか、雀ちゃんにとって絶対的に必要な物なのか。わたしにとってそれがどういうふうに嫌で許せないのか。お互いの妥協点はどこなのか。どういう改善策があるのか。とか、いろいろ。お互い納得するまで、何日でも何週間でもかけて、時間をみつけて話をすると思うわ」
髪が短いから、ほとんど乾いてきた雀ちゃんから手を退けて、微笑む。
「どうでもいい相手じゃないし、そこまでしてでも一緒に居たいって思うひとだから、どんな努力もする。例えばそれを、許せるように、自分の考え方を改めるとかも、ひとつの努力よね」
手を伸ばして、ペットボトルをローテーブルに置いて、彼女の両頬に両手をあてがう。
「その努力をする約束なら、わたしは破らない自信あるけど、それじゃだめ?」
尋ねたあとに、わたしは愛しさを込めて、彼女の額にキスを贈った。
===============
※本サイトの掲載内容の全てについて、事前の許諾なく無断で複製、複写、転載、転用、編集、改変、販売、送信、放送、配布、貸与、翻訳、変造などの二次利用を固く禁じます※
コメント