※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 59 ~
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愛とは見返りを求めないもの。
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そう思っていた。
よく若い子が言葉遊びで言うのは「恋は下心。愛は真心」ていう、漢字の中のどこに「心」があるか、っていうもの。
若い頃はただの言葉遊びかと思っていたけれど、大人になってからこれは、意外と真理なのではないかと考えを改めた。
だって、恋してるときってフワフワして、地に足がついていない感じがするじゃない?
けれど、恋から愛に気持ちが変化していくにつれて、徐々に落ち着いてきて、相手の事を優先的に考えてあげられたりする。
愛は、見返りを求めず、相手のことを思って、行動することなんじゃないかと思っている。
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だけど、今のわたしを見たら溜め息しかでない。
雀ちゃんを好き、という気持ちを表すキスマーク。それをいくつも彼女に残し、わたしの気持ちの証拠として、わかってもらおうという作戦。……だったのに。
それだけで終わらせる気だったのに、愛撫を受けて蕩けた雀ちゃんを見ていると、どうしようもなく湧き上がってきた熱に、負けてしまった。
愛に、己の欲望を加えてしまっては、純粋な気持ちではなくなるのに。
わたしが、雀ちゃんを純粋に、大好きだという証拠にならなくなってしまった。
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自分では結構大人で、理性がある方と思っていたのに、現実はまったく違う。
情けなさに頭を抱えたくなっていると、雀ちゃんの不思議そうな声が、わたしの耳に届いた。
「なんであやまるんですか?」
すこしだけ呂律が怪しい雀ちゃんは、こちらをまっすぐに、蕩けたままの瞳で見つめてくれる。
そんなふうに可愛い所をみせつけられると、またわたしの理性が崩れていっちゃうんだけどな。
「なんで、って……」
ええと……、なんと説明したものか。
言葉に詰まっていると彼女は軽く傾げていた首をもとに直して、優しい笑みを浮かべた。
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「相手のことすきだったら、そうなっちゃうのはわかります」
雀ちゃんの言う”そう”とは、多分、わたしが理性の崩壊と我慢の限界を迎えたことを指しているんだろう。
……優しい雀ちゃんが、わたしのフォローをする為にそう言っているのかと勘ぐる。
だって、彼女は誰にだって優しくて、そしてさらに、自分の恋人にはいっそう、甘いひとだから。
彼女のフォローを真に受けてはいけない。
わたしが純粋な愛を捧げる行為を出来なくなったのは、未熟さゆえだと自分を叱咤する心を奮い立たせていると、わたしの下に居る彼女が、照れたようにへらぁと目元と口元を緩めた。
「私がいつも、そうでしょう?」
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……え……?
雀ちゃんがいつも、そう……?
わたしが彼女の言葉の意味を理解しかねて、ぽかんとしていると、雀ちゃんは照れた笑みを少しだけ緩めた。
「愛羽さんに、大好きだよーって伝えたくて最初は抱き締めたり、キスしたりしてるんですけど、そのうち、我慢できなくなっちゃうんですよね」
先程よりも理性を少し戻した声色で説明してくれる彼女は、両腕が自由ならば、後ろ頭へ回してがしがしと髪をかきそうな顔付きで、こちらを見上げた。
「一緒ですね」
また、照れたようにへらりと笑う彼女に、わたしの心臓は鷲掴みにされた。
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