隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ 23話


※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 急ぐ鼠は雨にあう 23 ~

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「ん、ンッ……や、ぁっ」
「嫌? 挿れてみなきゃ分からないって言ったのは、誰?」

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 私からしてみれば、愛羽さんの苦し紛れの発言は、随分と挑戦的な台詞だった。
 たとえ苦し紛れで吐き出されたから本心ではない言葉であっても、挿れてみなきゃ分かんないと言われると、じゃあ挿れてみて確認してみましょうか、って思う。

 早速、ずっと待ち侘びるようにヒクついていた入り口に指をあてがい、ゆっくりと埋め込んでゆく。もちろん、挿れる指は三本だ。
 体内に私の指が侵入し始めると、愛羽さんはより強く私を抱き締めてきて、まるで、しがみ付くと言っても過言ではないくらいだった。

 彼女に覆いかぶさったまま、枕に顔を埋めるようにしているせいで、愛羽さんの喘ぎ声がダイレクトに耳へ飛び込んでくる。

 これは正直、ぞくぞくして仕方ない。
 耳に直接甘声を注ぎ込まれて、脳みそを溶かされるような感覚。

 溶けるといえば、愛羽さんのナカに挿れ始めた三本指は彼女の熱で溶けそうだ。

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 散々焦らして、イメトレまでさせてしまったせいで、ナカは随分と愛液で満たされている。
 そして、それほどまでになったナカはやはり敏感で、侵入してきた異物である指をきゅうと捕らえるように締まってくる。

「待っ…んぁッ」

 切羽詰まった声がまた可愛い。
 でも、待ってあげない。

「さっきは凄く、欲しそうにしてたのに?」

 ちゃんとして、とまで言って、欲しがっていた指なのに。
 それがいざ入ってくると、身体を強張らせるみたいにして、私にしがみついて、口では嫌だの、待ってだの言う。

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「だって……っ」

 上擦る声が、彼女の感じている快感の強さを教えてくれる。

「だって、何? 挿れてみなきゃどうして欲しいか分からないって言ったのは?」

 口で攻めつつ、下では指をじりじりと奥へと進めてゆく。たとえこれだけ濡れているからといって、気遣いもせずに一気に奥まで突き上げては、流石に痛みが伴うだろう。
 苛めたい気持ちはあるけれど、別に彼女を痛めつけたい訳ではない。

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「ン、ぅ…ぁ…っ、言ったけど……っ」
「けど、どうして欲しいか、まだ分からない?」

 快感に気が行きすぎているのか、愛羽さんがさっきから私の言葉を繰り返すばかりだ。
 いつも理知的に話をする彼女が、ここまで蕩けている。それはそれで可愛いのだけれど、今は、愛羽さんにどこをどうして欲しいのか、言わせたいのだ。

 じりじりと進めていた指の動きを止めて、私はすこしだけ顔を愛羽さんへと傾けた。
 そうすると、乱れた髪の間から耳朶が覗いて見える。
 もうすこし、顔を寄せれば、そこに唇を触れさせることも出来そうだ。

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 指の進行が一旦止まると、愛羽さんは乱れていた呼吸を整えながら、私の首に回していた腕の力を弱めてくれた。
 余裕ができると力を弱めてくれるということは、やはり、無意識にしがみついていたのだ。

 ひとにしがみ付かなくては快感を処理できないだなんて、可愛いにも程がある。

 呼吸が落ち着いた愛羽さんの耳に、ふぅと息を吹きかけてみると、可愛らしい悲鳴があがる。
 まったくどうして、このひとはこんなにも愛らしいのか。

「ほんとに可愛いんだから」
「…っ、るさい、言わなくて、いいから…」
「照れなくてもいいのに」
「照、れてない」

 こんな状態でも、やっぱり否定するんだ。
 可愛いと感じる私の感性までは、誰も、否定できないはずだ。

 陳腐な言い回しだけど、世界中の皆が愛羽さんを可愛くないと言っても、私は愛羽さんを可愛いと言い続ける自信がある。

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「す、ずめちゃん、下向いて」
「なんで?」
「い、き……かかる」

 さっきから私が喋る度に首を竦めていると思っていたけれど、やっぱりそういう事か。
 首や耳が弱い愛羽さんは、私の吐息が触れて、くすぐったいのか、もしくは感じてしまうのか。どちらかの理由で反応していたのだ。それはもしかしたら、両方の理由かもしれないが。

「愛羽さんは本当に分かってないなぁ」
「ん、……なに…が…?」
「こんな状態で言ったら、逆効果だって、まだ分からないんですか?」

 首に回されたままの腕がヒクンと震えた。その一瞬後に、私はわざと、彼女の首めがけて、ふうと強めに息を吹きかけた。

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