※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ ひねもす 15 ~
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見えてる……これおっぱい見えてるけどいいのこんなの載せて……!?
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いわゆるコスプレというやつだが、さすがに布が少なすぎるえっち専用コスチューム。写真に写るおねーさんの中の数人はバッチリ胸のピンク色のところまで見えてる。
「ふーん? 恋人の隣でそういうの見ちゃうんだ?」
「え!? ぅぐっ」
待て待てさっきまで身体に力入らなくてくたっとしてたのはドコの誰だと言いたい。
いつの間に体を起こして覗いていたのか分からないけれど、強烈なラリアットを食らって、私はベッドに逆戻りした。
私は仰向けで、愛羽さんはこちらを向いた横向きで。
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ぐ、ぅぅ、苦しい。
喉の上には柔らかい腕が乗っかっているけれど、なかなかに力を込めて乗せられたそれは息苦しさを与えてくる。
「まったく。ちょっと目を離した隙にそういうことするんだから」
溜め息とともに喉の上の腕が退けられて、肩のところの服を摘まれた。
「雀ちゃん」
え? と思った瞬間には、愛羽さんの顔が迫ってきて、思わず目を閉じると、耳に温かいものが触れた。
唇? と思ったが、れろりと耳たぶが掬われる感触に、触れたのは彼女の舌だと理解した。その直後、ガチと上下の歯に挟まれた耳たぶはまるで歯ぎしりするみたいに、ギリギリと強く擦り上げられた。
「いででで」
いくら折り曲げても痛くないような部位でも、噛まれた挙句ギリギリされたら流石に痛い。私が抵抗するとぱっと離してくれたけれど、恋人の前でコスプレのおねーさん達の写真を見るのは今後控えようと耳たぶの痛みに誓った。
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「貴女が見ていいのは、わたしだけでしょう?」
囁く声が鼓膜が震わせて、思わず息を詰めた。
そんな呼気を解放させようとするように、愛羽さんの唇が先程噛みついた耳たぶに触れ、挟み、軽く吸って放した。
突然の攻守交替劇にドクドクと急速にスピードをあげた心臓がうるさい。
愛羽さんが顔をゆっくりと離していく気配を感じて、耳たぶに手をやると、濡れた感触。
そのまま横を向けば、したり顔の彼女と目が合う。
「おかえし」
軽くウィンクを飛ばされて、「うぐ」と唸るくらいに、彼女の片目を瞑るそれは、威力がある。
「雀ちゃん、まっか」
「……後で覚えておいてくださいね」
「最近物覚えがちょっと……」
お道化る彼女に言い返してやろうかと口を開きかけた瞬間、パタンとどこかの扉が閉まる音がした。
微かに耳に届いたその音に私達が動きをとめたその直後、ピーンポーン! と随分と大きい音のチャイムが鳴り響く。
「あ、ご飯きた」
「そうなんですか?」
「うん。きっとあのテーブルに置いてあるはず」
ベッドから下りた愛羽さんはスカートの乱れを直して、ててて、と歩いてゆく。
ほんと、ついさっき、くったりしてて可愛いかった彼女はどこへ消えたのか。
……いやまぁ……畳の上小走りで行く彼女も可愛いけどさ。
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日本人らしく”畳の上をスリッパでは……”と考えた私達ふたりは、廊下から全面畳のこの部屋へ入った際にスリッパを脱いでいた。
そのスリッパを履いた愛羽さんが歩いていく音がする。
愛羽さんが廊下に繋がるドアの向こうでスリッパのぱたぱたという足音を立てた頃、やっと起き上がってベッドから下りた私は、部屋を見回す。
この部屋、ソファは大きいのがあるんだけど、テーブルがないんだよな。
だから必然的に、食事をするとなると、あの小さな和室になる。
先に障子を開けておいた方がいいかとそちらへ向かって、片方の障子を開けていると、愛羽さんが両手で大事そうに、定食を乗せたトレーを持って戻ってきた。
「だよね」
「ですよね」
とだけ言葉を交わす。
補足するとすれば、
「食べるならやっぱりそこだよね」
「そうですよね」
という会話だったということ。
彼女が持っていたトレーには唐揚げ定食がのっかっていたので、愛羽さんのハンバーグ定食がまだ向こうに取り残されている。
すれ違って玄関まで足を運んでみれば、そこにはあのテーブルが組み立てられていて、湯気のたつハンバーグ定食が。
片手でトレーを持って戻ると、すでに座椅子に収まっていた愛羽さんが目を輝かせた。
そんなにハンバーグが食べたかったのか、と軽く笑んで、彼女の前にお盆をそっと置く。
「お待たせしました」
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