隣恋Ⅲ~あなたを独占したいんです~ 8話


※ 隣恋Ⅲ~あなたを独占したいんです~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 荒い呼吸が、部屋に響く。

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~ あなたを独占したいんです 8 ~

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「……はっ……はぁっ……」

 愛羽さんが肩で息をしていて、その呼気は私の髪や肌を撫でて消えてゆく。
 小刻みに震えるその手は、きつくきつく私の服を掴んでいて、こんなにも荒っぽい行為を要求している人間に、まだ縋ってきてくれるのかと思うと、心臓が熱くなる。

「愛羽さん、指、一旦、抜きますよ」

 ナカに指を咥えさせたままだと、座る事もできない。
 だから、一言断りをいれたのだけれど。

 愛羽さんから返ってきた言葉に、私は目を見張った。

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「……やだ、そのまま」

 小さく、まだ乱れた呼吸のままだったけれど、告げられたその言葉に、抜きかけていた指の動きが止まる。
 もちろん、胸はキュンとした。
 いや、過去形ではない。キュンとし続けている、現在進行形。持続型のときめきが胸を苛む。

「愛羽、さん……?」

 ドク、ドク、と心臓の音が耳元で聞こえる。彼女の言葉が脳内で反芻されればされる程心音が高まり、興奮してしまう。
 だって、彼女が言った言葉は……。

「気持ちぃ……から、も……っと」

 途切れ途切れでも、小さな声でも、彼女の言いたい事は理解できた。
 やっぱり、そうなんだ。
 求めて、くれているんだ。
 改めて言葉で、耳で、理解させられた上に、愛羽さんは……容赦がない。

 私を見つめてくる。
 上からじっと見下ろしてくる瞳は潤んで、かつ、欲情の炎が宿って、彼女がどうして欲しいのかを教え込んでくる。

 私はゾクンとする背筋に奥歯を噛み、そのまま生唾を飲んでから、問いかけた。

「今、イッたばかりなのに、ですか」

 こんな事尋ねなくても、いいはずなのに。

 潤んだ瞳が可愛い彼女を、私は虐めたくて仕方ない。
 かなりハードに追い込んで絶頂を迎えさせたのに、更に求めてくれたこのひとが、もっと欲しくて仕方ない。

 そして、その行為が許される人間なのだと自分に刻み込みたくて、愛羽さんに問い掛けながら、抜きかけていた指をゆっくりと深い所まで差し込む。

 呼応するように、愛羽さんは「んっ……は、ぁ……っ」と吐息混じりの喘ぎ声を漏らして、脚を震わせた。

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 見上げれば彼女の表情は具に眺められる。好きなだけ、好き放題に、快感に歪む顔を眺められるなんて、幸せが過ぎやしないか?

 根本まで埋め込んだ指は相変わらず一本だ。
 とろとろの内部は熱くて、指一本なんて簡単に溶かしてしまいそうなくらいの温度。

 愛撫をしている側のくせに再び乱れそうになる息を殺して、抑える最中だった。

「いった、ば、っかり、なのに……」

 若干、呂律の回らない舌が甘やかに、呼吸の間を縫い、必死に言う。

「欲しくなる、ようなから、だにしたの……すずめ、ちゃんでしょ」

 拗ねる目がこちらを睨み、責めてくる。
 切なそうに寄せられていた両眉は、ときおりひくひくと快感に圧倒されて形を変えていた。

 私はただ、指を根元まで押し込んだだけ。それだけなのに、息を詰めては零すように吐き、その間に甘声を聞かせ、愛羽さんは揺れる瞳で私を詰るのだ。

 見下ろしてくる彼女に、くらりとする。
 同時に、己の下腹部がきゅっと締まるような快感に襲われ、正直、驚いた。

 ――こ、言葉と雰囲気だけで、感じさせられるだなんて……。

 改めて驚きの内容を確認するが、考えてみれば、当然だ。
 好きな人に、あんな事を言われたらグッとくるに決まってるんだと妙に納得した。

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「愛羽さん」

 ナカの指で最奥をくるりと撫でれば、見上げる先で愛羽さんがきゅっと目を閉じた。
 半開きの口からは、忙しない呼吸。

 キスして、その息すら奪いたいなんて思ってしまいながら、濡れた指を引き抜く。

「ぅぁ、ァ……っ」
「そういう身体にした責任、取りますよ」

 遠慮もなくズルと去る異物感。体内から失うその感触には声を必ず伴うのだろう。愛羽さんはいつも抜くときに可愛い声を上擦らせる。
 それが楽しみでもあった私は、予想通り耳に届いた声ににやとしながら、愛液に濡れた指に2本追加した3本指を入り口にあてがった。

 目視しなくても、押し当てられた太さの感覚で、本数の予測は出来るのだろう。
 はっと理性を取り戻し焦りを滲ませた瞳に、私はゆるく微笑み、大丈夫ですからと告げた。

 性急に事を進めていても、本当に痛いことはしたくない。
 矛盾しているけれどそれは本音で、ゆっくり小さく抜き差ししながら愛液のぬめりを借り、じわりじわりと解して進めていく。

 そうしていると、太い物を一気に押し込む気はないらしいと判断できたのか、愛羽さんが強張らせていた身体から力を抜いた。
 焦りを宿していた瞳は完全に安全を確信してはいないが、とりあえず、私の任せてくれて、行動を見守っている。

 ――まぁ……今日は一本目が一本目だったもんな……。

 そこは申し訳ない。でも、あの時は我慢できなかった。
 今だって、かなり必死に我慢して、最後の矜持を保っているのだ。

 痛いことはしない。
 それが、最後のライン。

 嫌がる事をしないっていうラインは…………ストッキングを破った時点で越えてしまった気がするから……そこは……うん、悪かったとは思ってる。
 でも、ちょっとは彼女も興奮してたみたいだし、いいかなとか思っちゃってるんだけど。

 そんな反省会を脳内で広げながら、私は彼女の身体を解して第二関節まで挿れることに成功。

「う、ぁ……あ、……ふっ」

 とりあえず身を任せてくれていた愛羽さんはこちらの緩い動きの指に安心したようで、太めの異物感を堪えるようにして、はふはふと息を忙しなく零している。

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 一番奥まで指先が辿り着いた時、彼女の声が先程よりも上擦った。

「やっ……大き……っ」

 声をあげた愛羽さんは、切なげにきつく眉を寄せている。
 襲いくる異物感も圧迫感も大きいのだろう。いつもならもっと時間をかけるし、挿れるのは2本だけだったりするから、多分、普段よりきつく感じるんだ。

 ぁ、ぁと短くしか零せない甘声を聞きながら、私は彼女に訊く。

「やめて欲しいですか?」

 このまま続けてくれと言ったのは愛羽さんで、その身体はどうしようもなく欲している、だけど痛みが走る寸前レベルのものを与えておいて、そのうえで問いかけるこの意地悪。
 自分は性格が悪いと本気で思う。

 肩をきつく掴む手が彼女の限界を知らせている。
 奥まで届いてから少しも動かしていない指なのに、喘ぐ声がとまらない。

 その両者が両天秤を揺らしているものの、たぶん、愛羽さんはやめてとは言わない。
 口に出来るのはせいぜい「待って」くらいなものだ。

 ああ。
 ほら。
 ぎこちなく首を横に振った。

 少しの身動ぎでさえ大きな快感を引き起こしてしまいそうだから、ブリキのおもちゃみたいになってるけど、やめて欲しい訳ではないと否定をする愛羽さんに、私の口元は嬉しそうに弧を描く。

「じゃあ、このまま3本入れて続けますよ」

 言わなくていい3本指の事実。けれど、これを口にすることで、愛羽さんが興奮するから。
 なんとなく察している指の本数だけれど、真実を突き付けられ、その本数が自分の中に入っているのだと自覚してそれに羞恥が生じる。

 それがまた、恥じらうような快感につながるのだ。

「い、わなくて……いいっ……」

 ほら、愛羽さんは恥ずかしがるように俯きがちに怒った。
 でも、私の指を締め付ける感覚はさっきよりも、きつい。

 だから、申し訳ないけれど、私はにんまりと笑った。

「言われて、感じやすくなってるの、誰です?」

 ピシャリと言ってやれば、ナカが大きく一度、ひくついた。
 奥の方まで全体的にひくんとしたかと思えば、きゅう、と締まる入り口。
 どちらかと言えば奥よりも、指の根元付近に感じる圧の方が大きい。

「ねぇ愛羽さん」

 呼びかけるだけで、彼女の息が震えた。
 敏感すぎるくらいの反応に、心臓の辺りが熱くなり、もっと、と考えてしまう。

「期待、してない訳じゃあないですよね?」

 はっ……、と口から洩れた興奮の吐息。
 3本指を放すまいと奥へうねるナカ。

 そしてなにより、愛羽さんの表情。

 頬はもちろん耳や首、鎖骨辺りまで肌を真っ赤にしながら、下唇を噛んで、こちらをにらむ。
 それだけならば、私はこんなにサディスティックな言葉は選ばない。

 貴女の瞳が、羞恥の奥へ更なる快感欲求の炎を宿して求めているから。
 だから……こんなふうに言ってしまう。

「そんな欲しがりの顔じゃあ、もっとしてくれって言ってるようなもんですよ」

 語尾をもちあげて言ってやると、愛羽さんは私の指をもう一度、きつく締めあげた。

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 その締め上げに応じるよう、私は指をクンと折り曲げる。

「アッ」

 噛んでいた下唇を解放しながら弾かれたみたいに嬌声を零す愛羽さんが可愛い。
 体勢的に手首をぐっと起こした状態での挿入。愛羽さんのナカはきつく、指を曲げれば手の甲の筋が攣ってしまいそうになるけれど……。

 関係ない。
 私は深い部分をトントンと圧し続けた。

「かわいい」

 ぐちゅと立つ音はスカートの中でくぐもる。だけど、そうやって布で遮られていても聞こえてくるということは……。

「すごい、濡れてる」
「や、だ……っ」

 言うな、と云うよう首を振る愛羽さんの髪が揺れる。
 撫でたいな、と思うけれど、今両手が離せない。
 自分の腕が3本あればいいのに、と馬鹿な事を考えながら、零れ出す愛液の音を本人にもきちんと聞こえるよう響かせる。

「……っ、や、ぁ……はんっ……んんっ」

 私の肩へ縋り、脚を震わせながらも耐える愛羽さんから引き出す快感の声。
 甘美なその響きに、脳の髄が痺れる。息が、あがる。

「……あいはさん……」

 意味もなく呼ぶけれど、柔らかい音の響きのする名前が、大好きだ。
 名前に負けず、優しいひとの脚を私は撫でた。
 それまでずっと、下着を横へずらして右手の補助をしていた左手で、ストッキング越しに、そして破った裂け目から素肌を撫で下ろす。

 しかしそれだけでも愛羽さんにとっては愛撫に違いなく、「だめ」と途切れ途切れに告げながらいっそう、息を乱し、膝立ちの脚を震わせ、甘声を散りばめる。

 ――だめだ……くらくらする……。

 縋る体勢は、前屈み気味。
 結果私の耳元に近付くことになって……堪らない。

 息を吸う音。息を吐く音。そんな微かなものさえも鼓膜へ届くし、嬌声はより大きく感じられる。
 しかも、彼女を膝立ちをしてもらっているからか、包み込むみたいに声が降ってくる。

 ――……やばい……。

 背筋がゾクゾクする。
 感じている声を聞いて、こちらもつられるみたいに感じてしまう。

 こんなんじゃあ駄目だ。
 私も一緒に気持ちよくなっててどうする。

 しっかりしろと言い聞かせ、解決法を探せばやはり挙がるのは相手を追い込むこと。
 やられる前にやる戦法だ。

「愛羽さん、ナカ、すごいとろとろ」

 可愛い声しか出せないのかと言う程可愛い声で喘ぎ続ける彼女へ、濡れ具合を告げる。
 こうすると大抵彼女はきゅうと入り口を締めるように反応をする。そうすることで、より、入っている指を認識して感じやすくなってくれる質らしく、私は結構、濡れ具合について言及してしまう。

「……ぃい、から……っ」

 気持ちいいから? それとも、言わなくていいから?
 どっち? それによって結構、変わってくるぞ私の興奮は。前者ならかなり嬉しいんだが……?

 そんなことを考えていた私の肩に痛みが走った。愛羽さんの爪が食い込んだのだと判るけれど、それには構わず指を動かし続けた。
 溢れる愛液に私の手は濡れた感触がある。

 ナカの具合からしても、愛羽さんはそろそろなのかもしれない。

 私は脚を撫でていた左手をそっとあてがうと、下着越しに彼女の蕾を親指で軽く擦る。

「っひあ……ッア、んぅ……っ」

 強過ぎたか、その刺激に腰を引かれてしまうけれど、「だめですよ」とナカの3本指を使って彼女を引き戻す。

「愛羽さん。ちゃんと、こっち見て」

 一番奥へ指先をくっつけて言えば、嬌声をあげた彼女が薄く瞼を開いた。
 ゆっくり、ゆっくり、徐々に瞳が姿を現わして、快感に蕩けきったそれが私を映す。

「いい子。そのまま、誰にイカされるのか見ていてください」

 告げれば、一瞬その目は見開かれたが、奥の、彼女がすきな所めがけて指を押し付ければ、きゅうときつく瞼を閉じた。

 ――見てて、って言ったのに。

 不満を抱き、口を尖らせたくなる。けれどもまぁ、この状況で目を閉じるなと言うほうが横暴か。

 見つめてもらう事は諦め、ナカの指をぐうと伸ばし奥を突く。が、体勢が違うおかげでいつもより届きやすいのだと知る。
 容易さにすこし感動を覚えつつ少々強めに奥を押せば、喉を反らして愛羽さんが喘ぐ。
 いつにない喘ぎに、思わずにやりとしてしまうが、こちらの表情を見る余裕なんて今の愛羽さんにはない。

「やぁっ、強、すぎ……やっ、やぁっああ……!」
「駄目。このままイッて」

 思い切り奥に当て、そのままぐりぐりぐりと円を描く。その瞬間、やだやだと首を振り縋っていた肩を押し退けるよう遠ざけていた愛羽さんの身体が、弾けるように大きな痙攣を起こし、達したことに気付く。

 強い刺激だからか、いつもよりずっと、達するのが早い。
 びくっ、びく、びく、と何度も収縮するナカ。合わせて跳ねる身体。

 肩にはもう、傷が出来るのではないかと言うほど、食い込んでいる爪。
 正直いたい。
 けどその痛みすら、私は嬉しく感じられて、愛羽さんへの好きが胸に溢れた。

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