※ 隣恋Ⅲ~あなたを独占したいんです~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
ブラジャーの日→
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赤い華が、ふわりと、温かい。
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~ あなたを独占したいんです 12 完 ~
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くた……、と身体から力を抜いた愛羽さんはぼんやりとしていて、情事の激しさを物語るようだった。
けれど、その口元にあてがわれた手はそのままで、意固地な様に少し笑ってしまう。
「指、抜きますね」
一応、一言断ってからゆっくりと愛羽さんのナカから指を抜く。やはりその感覚は我慢できないのか、ふるっと脚が震えて、彼女は鼻から抜くような声で小さく喘いだ。
愛液にまみれた指をティッシュで拭って、彼女の隣にうつ伏せにベッドに横たわる。
愛羽さんを隣から見れば、まだ指を抜いた時の快感を逃がせないでいるのか、閉じた瞼を震わせながら、手の甲を噛んでいた。
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「噛んだら駄目ですよ」
口元を隠しているだけかと思ったら、それを噛んでいたとは。
跡になったらどうするのか。
「だって……余韻がすごいんだもの……」
「余韻?」
手の甲を噛むのは止めたものの、その手で依然顔を隠し続けながら恥ずかしそうに言う彼女。
「雀ちゃんのえっちって、終わったあともなんだかふわふわして気持ちいいんだもの」
後を引く快感……てこと?
ちょっとよく理解できないけれど、私は愛羽さんの髪をそっと撫でた。
気持ちいいのだろうか。軽く目を閉じるようにしてうっとりする愛羽さんは可愛いんだけど、ちょんちょんと彼女の手をつつく。
「イッたら、手、どけて顔見せてくれるんじゃなかったんですか?」
たぶん、自分の顔は今、にんまりしてるんだろうな。なんて思うけれど、恥ずかしそうに顔を隠す愛羽さんを見ている限り、この表情は止められない。
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「……って、はずかしいもん」
視線を彷徨わせて、そんな事を言う。
それだけでも可愛いのに、私に視線をチラと戻して「……ばか」だなんてぼそりと言ってくる。
「可愛い愛羽さん」
「……るさいばか」
あ。
私はいつもと違う最初の返しをした愛羽さんに目を丸くした。
いつもなら、「かわいくない」と即座に言い返してくるのに。
可愛い、ともう一度告げながら、いつもと違う行動の原因に思い当たって、私はふっと口元に笑み浮かべる。
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「そんなに、アレ、恥ずかしかったんですか」
「な。……なにが?」
ひっくり返った一音目のあと、咳払いを挟んだ。明後日の方へ視線を投げた愛羽さんは珍しく白々しい。
でも、とぼけたって無駄だ。
私は彼女のへその下あたりに手を置き、トントンと肌を叩く。
「あそこ、自分で弄ってたでしょう?」
にこにこしている自分とは対照的に、愛羽さんの顔は瞬時に赤く染まって、しまったという表情を浮かべるのが可愛い。
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やっぱり、そうなんだ。
先程の情事の中、終盤。
愛羽さんは焦らされに焦らされた結果、自分で蕾を刺激する……言ってしまえば自慰行為を私の前でしたのだ。
それを、本人は気にしているみたいで、顔を見せられないほどに恥ずかしがっているらしい。
あー……もう……。かわいい。
可愛いすぎて、いじめたくなる。
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セックスが終わって落ち着きかけていたのに、耳まで赤く染めて、視線を泳がせている愛羽さん。
そんな可愛い所を見せられると、やっぱり、好きな子ほどいじめたくなってしまう心理が働いてしまう。
「愛羽さん、イキたくって自分でクリむぐっ!?」
「っ言わなくていいから!」
先程までの身体の弛緩はどこへやら。がばりと起き上がって、私の口を両手で押さえにかかる愛羽さん。
微かに残る行為の色気。それとは別に恥ずかしさからくる肌の火照り。
乱れてふわりと広がった髪。
困ったように、怒ったように寄せられて眉。
照れから潤んだ瞳。
への字になりそうなくらい引き結んだ唇。
その全てが、可愛い。
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「言わなくて、いいから」
念を押してくる愛羽さんに、コクコク頷いてみせるとやっと口が解放された。
口を塞がれて苦しくはなかったけれど、ちょっとびっくりした。愛羽さんめちゃくちゃ機敏に動くんだもんな。あともう1回できたんじゃないのか? とか思わないでもない。
私はベッドに座る愛羽さんの頬に手を伸ばして、そっと触れる。
「大好きですよ、愛羽さん」
目を細めて彼女を見つめると、愛羽さんは恥ずかしそうにしながらも、私の手に手を重ねてくれた。
「わたしも。だいすき」
返される告白が嬉しい。
好きな人に、好きと言える。好きと言ってもらえる。なんて幸せなんだろう。
はにかむ彼女を見上げていると、なんだかたまらなくなって、起き上がって抱き締める。
「どうしたの?」
腕の中で、不思議そうにする愛羽さんの吐息が首に触れてくすぐったい。
「……愛羽さんのこと、誰にも取られたくない。です」
ぽつり言うと、腕の中で小さく笑う気配。
「まだ、そんなこと言ってる」
「だって」
「だってじゃなくて」
私の唇に、人差し指がぴたと押し当てられた。
「ねぇ? わたしの体にこんな痕つけれる人、貴女だけよ?」
胸元に咲く紅い華たちを指して、愛羽さんは静かに言う。
「それに例え誰かに告白されたとしても、わたしが選ぶのは雀ちゃんだけ」
人差し指が退いたそこに訪れたのは、柔らかな唇。
キスをそっと解いて、間近で、まっすぐな瞳が私を捕まえてくる。
「貴女だけ。だから、貴女もわたしのもの」
もう一度、口付けられて、触れるだけのそれにすら、心臓がバクバクと音を立てている。
さっきまで、それ以上のことをしていたのに。
なんで今こんなに……と思うけれど、心臓なんてコントロールできないからどうしようもないし、くっついてて愛羽さんにもドキドキが伝わって知られてしまうのも仕方ない。
「分かった?」
んふふと微笑まれて、私は頷いた。と同時に、肩を押されてベッドに倒れる。身体の上に愛羽さんが覆いかぶさってきて、首に、キスされた。
「い……っ」
止める間すらなく、チクリとした痛みが走り、この感覚は…………きっとキスマーク。
ずるい。自分はいっつも、見えるとこはダメとか言うくせにこんな簡単に付けて。…………いやまぁその、今日私はその言いつけを破って愛羽さんの首に付けちゃったから、何も言えないんだけど。
「雀ちゃんはわたしのものなんだから、貴女こそ、よそに行っちゃだめよ?」
起き上がって肩からこぼれた髪を耳にかけながら、愛羽さんは茶目っ気に片目を瞑ってみせてきた。
まったく、それこそ、無い話だ。
私が、愛羽さんにどれだけ惚れているのか分かっていないのか。
分からせてあげるためにもやっぱりもう1ラウンド必要か? と下心満載な考えが頭をもたげたけれど。
「すき」
と、可愛くはにかまれると……今は、まぁいいか。なんて思えて。
首の紅い華あたりから、ほんわかした気持ちが湧いてきて、起き上がった私は愛羽さんを抱き締めて額に唇を押し当て、囁いた。
「大好きです」
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隣恋Ⅲ~あなたを独占したいんです~ 完
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ブラジャーの日→
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