隣恋Ⅲ~あなたを独占したいんです~ 10話


※ 隣恋Ⅲ~あなたを独占したいんです~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 どうして貴女は……そうも私を煽るのだろう。

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~ あなたを独占したいんです 10 ~

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 ゾクリとするほどの色気を醸す表情に見とれていると、手元に痛みが。
 どうやら、愛羽さんが爪を私の肌にひっかけたみたいで、彼女の爪が肌に食い込んでいるのが見えた。
 快感に支配されまいと必死なのだろう。

「どうして欲しいのか……教えてください」

 意地悪な言葉だ。
 教えてと言うものの、私の声は命じるような響きを帯びていて愛羽さんを襲う。

「……は、ぅ……わ、分かってる、でしょ……!」

 彼女に言わせたがっている言葉が予測できたのだろう。

 羞恥に顔を歪めた愛羽さんは強がって言い返してきた。
 そういう反抗的な態度も可愛いとは思うんだけど、私は即座に「分かりません」と返して、ゆるゆると蕾を撫でていた指の動きを完全に停止させた。

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 それまで緩くも確実に快感を注いでいた刺激が終わったことに、愛羽さんはすぐ気付いた。

「……っ、いじわる……!」

 どう言われようが、構わない。
 睨まれようが、構わない。

 貴女のその口から、淫靡な言葉が聞きたいのだ。

 それが叶えられるなら、今の私は、詰られようが睨まれようが構わないとさえ、思ってしまう。
 そんな私の心境が伝わったのだろうか?

「おねがい……っ」

 さっきまで反抗的な態度をして、その類の台詞を投げつけてきていた彼女がねだり始めた。

 細い腰が淫らに揺れて、ベッドが軋む。
 無機質なその音にすら、興奮をかきたてられた私の背中がゾクとする。

 否、ゾクとしたのは愛羽さんのその表情を瞳に映したからかもしれない。
 焦がれて、求めて、眉を寄せて、潤んだ瞳。
 上気した頬。
 僅かに汗を刷いた額に張り付く乱れた髪。

 その全てから成された表情に、釘付けの目は放心気味に見惚れてしまう。
 私は自分がどのくらい愛羽さんに目を奪われていたのか分からなかったけれど、切なさの籠った爪が、きりと再度、私の腕に食い込んだ事ではっと気を取り戻した。

「さわって……っ」

 我に還り、直後耳に入った指示に私は従う。
 言われるままに、指を蕾にあてがった。が、そこまで。

 ――あぶな……。まだちゃんとお願いされてないのに触るとこだった……。

 マジでこのひとの魅力って魅惑的だよな……。気をしっかり持たないと呑まれそうだ。
 1人反省会を胸中のみで開催し、長引かせず即終了解散。

 意識を彼女とのセックスに注ぎ始めた頃、腰を揺らめかせていた愛羽さんに限界がきたらしい。
 触れているものの動いてくれない指に、がまんと、理性の、限界が。

「……~~っ、もっと強く……っ、……優しくなんか、しなくていいから……!」

 首を横に振り、ぎゅっと目を閉じて。

「……っなか、ぐちゃぐちゃにして…っ……イかせてっ……!」

 鎖骨あたりの肌まで、羞恥で赤く染めあがっていた。
 白い肌と、その赤のコントラストに酔いしれ。

 待ちわびたその厭らしく淫靡な言葉に酔いしれ。

 正気を失った私は思わず、愛羽さんの中に指を一気に根元まで埋め込んだ。

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「ッァアア……!」

 突然与えられた強すぎる快感に、背中を反らして愛羽さんは喘ぐ。
 私が指を埋めたソコは、先程よりも倍近く蜜を湛えていて、指全体を左右に動かせば、簡単に粘着質な水音を立てる。

「やぅっ」

 聞きたくないのか、それとも水音を立てる為の動きですら感じるのか、愛羽さんはいやいやと首を振る。
 その仕草は、無断で私の中に在る好意を膨張させてくるから堪らずゾクンと背は痺れるし、唇を重ねたくなる。

 ナカに入れた指で壁をゆるゆると擦りながら重ねた唇を軽く開くと、応じるように綻ぶ愛羽さんの唇。

 ――かわいい。

 私は迷いも躊躇いもなく、彼女の唇の奥へと舌を伸ばしてその濡れた舌をざらりと舐めた。

「は、ぁぁ……」

 開いた唇から漏れる声が、蕩けきっていて満足する。

 うん。
 そう。
 そうやって、私だけに聞かせてくれる声をたっぷり堪能させてほしいんだ。

 互いの舌を求めるように擦り合わせてくちくちと卑猥な音を鳴らし、荒い息とともに唇を離せば名残惜しげに繋がる銀糸。

 その卑猥な光景に、どんどん、息が乱れていく。

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 興奮の唾液は名残惜しさの表れなのか、すぐに切れず私達を繋ぐ。飽きない光景で見ているのもいいと思うけれど、流石になぁと思い指でそれを千切るため手を上げかけた時だった。

 いつの間にか首に回されていた愛羽さんの腕。それが私を軽く引き寄せるようにして、愛羽さんが頭を浮かせ、顔を寄せてきた。
 またキスをするのか、と思いきや……愛羽さんは銀糸を掬い取るように舌を伸ばして、それごと私の唇を舐め、ぽすんとベッドに頭を預けた。

「……おいし」

 そう言う顔は大人びていて婀娜を湛えていて……私の心臓は掴まれる。

 ――あぁもぅ堪んねぇ……。

 普通に考えて、自分以外の唾液を飲むなんてしない。
 ましてや、おいしい、と言う事などない。

 だけど、私が組み敷いているこのひとは、自ら私の唾液を舐め取ると淫靡に美味だと告げた。
 この情事の中、そんな事を言われて、興奮しない訳がない。

 ましてや、貴女を独占したいと思っているこの私が昂らない訳はないのだ。

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 興奮に負けてコントロールを失った私は、彼女のナカの指をぐいと曲げた。
 瞬間的に上がる愛羽さんの嬌声を塞ぐように唇を重ね、意図的に、唾液を流し込む。
 くぐもった声が一瞬聞こえたけれど、知らない。

 あんな、焚きつけるようなセリフを吐いたのは、愛羽さんだ。

「……飲んで……」

 見下ろし、私の唾液を含んだひとへ告げる。
 愛羽さんの溶けていた瞳は一度大きく揺れ、あろうことか、さらに蕩けた。

 このタイミングで蕩けるなんて……。

「ん」

 このひとは……抱かれることが。人の物になることが好きなんだろう。

 こきゅ、と喉が上下して、愛羽さんが私の注ぎ込んだ唾液を飲み干した。
 示すように空になった口内を開いて恥ずかしそうに小さく見せる愛羽さんに、狂おしいほどの支配欲が満たされる。
 腹の底がカッカと熱いのは……なんだろう。どういう感情がそこにあって、私はこうまで、昂っているんだろうか。息が……乱れて敵わない。

「雀ちゃんの……飲んだら、……ぞくぞくして痺れるの……」

 私と同じく整わない呼吸で途切れ途切れに告げる彼女は、首に回した腕でぎゅっと私を引き寄せて、耳元に唇を添えた。

「すずめちゃんのものになったみたいで、ね? ……くらくら、する」

 それはこちらのセリフだ。
 蕩けた声で報告を受ける身にもなってほしい。

 たまらない。
 可愛いすぎる。

 全身に鳥肌が立つし、こんな事をされて、理性を保てる訳がない。
 

「愛羽さん……っ」

 切羽詰まった声しか出せなくなった私を、愛羽さんは力の入らない腕できゅうぅと抱き締めてくれた。
 柔らかな体が密着するだけでもクラクラする私に、彼女はまだ、性懲りもなく爆弾を投下する。

「もっと、雀ちゃんのものになりたい」

 小さい声だったけれど、私の耳にしっかりと届いたセリフ。

 瞼を閉じていたのに、目の前が白く、スパークした。

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