隣恋Ⅲ~媚薬~ 9話


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 真っ白な頭で彼女の呟きを理解するには難しく、わたしは息を乱した。

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 ~ 媚薬 9 ~

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 真っ白になってしまった頭。割とすぐにその白さは抜けていったけれど、衝撃の事実だった。

 ……まだそんな触られてもないのに……軽くイッちゃった……。

 詰まらせていた息を解放して、弾んだそれと心を落ち着けようとしているのに、わたしの首筋に顔を埋める彼女は容赦がない。

「……エロすぎる……」

 こちらを揶揄する言葉なのか。いや、どちらかと言えば、さっきの「やばい……興奮する」と共に、独り言っぽい。
 どちらでもいいのだけど、その、首筋に息が当たる体勢を解いて欲しい。

 彼女が何か言葉を発する度に、温かな息が若干汗ばんだ肌を通り抜けてゆく。そして、その通り抜け様にこちらの肌体温を奪っていく感じがどうにも……たまらない。

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 それこそこっちは先程軽くだが達した身体。少しの刺激が、多量の快感を生み出すということを雀ちゃんには理解して頂きたいのだけど……。

「……愛羽……」

 台詞通り興奮している様子の雀ちゃんは、うわごとのようにわたしの名前を呼びながら、わずかにその体勢のまま顎を引いて、わたしの鎖骨へと唇を押し当てた。
 その行為が何をしようとしているのは明白で、彼女の首へ回していた腕が強張る。

 だ、だってこっちは今、敏感なんだってば……っ。

 胸中でそう叫びながら、わたしが制止の言葉を吐こうと口を開きかけた時、雀ちゃんは肌に押し当てた唇の間からたっぷりと唾液を帯びた舌を覗かせて鎖骨から耳裏までの首筋を一気に舐め上げた。

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 つい数分前までわたしの唇を何度も愛撫していたその舌が、わたしの汗ばんだ肌をずるりと大胆に滑る。その濡れた肉感的な熱さは、わたしの性感帯を遠慮なく刺激した。
 口を開きかけていた事もあって嬌声を堪え切れず、上擦った声が漏れていく。

「ぃ、あっ……ふ、ぅんん……ッ」

 しがみ付くように彼女の首元の服を握り締める。服に皺が、とかもうそんな事も考えられなくて、敏感になっている身体を一気に襲い来る快感に耐えることだけしか頭になかった。

 わたしが彼女に縋っている間にも、雀ちゃんの興奮は冷める様子もなく、それどころかわたしの嬌声にあてられたようで、耳の穴へ直接声を吹き込んでくる。

「可愛い……どうしよ」

 どうしようはこっちの台詞だ。
 弱い首筋を攻められた挙句、そんな低い声で、昂りも隠さない声色で鼓膜を震わされて。

 感じない筈がない。
 首筋への体感的愛撫と、鼓膜から脳への精神的愛撫を続け様に浴びせられて、心臓は早鐘を打ち続けているし、指先が微かだが震えるくらいに感じさせられていた。

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「待っ、……て」

 辛うじてお願いできたのはそれだけだったけれど、彼女が受け入れてくれるかどうか。
 だって、この間わたしが雀ちゃんをベッドで可愛がったとき「待って」とか「いや」とか言われると、余計燃えてしまった経験があったから。
 逃げられると追いかけたくなるというか、押さえつけたくなるというか。

「……そんな可愛いこと言われるとムリ……」

 ……ほらね。

 雀ちゃんはやっぱり低い声でそう告げると、膝をぐいと押し当ててくる。

「んんっ、……は、ぅ……っ」
「身体は早くちょうだいって言ってるし」

 そうして、無意識にも、彼女の脚へ秘所を押し付けるよう大きく腰をくねらせていた事に気づかされた。 
 さらに、もう一つ。

「見て? 脚」
「……?」

 何を見ろ、というのか。
 促す雀ちゃんは腕で自分の体を持ち上げて、二人の間に空間を空けた。そして、脚の方へ視線を向けるよう仕草でもう一度促す。
 言われた通りに雀ちゃんの脚へと視線を当てて、首を捻る。一体、何を言いたいのだろう?

 理解しかねているわたしに向けて、彼女は言う。

「愛羽が押し付けてたトコ、染みができてる」

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 雀ちゃんの言葉にカァッと頬が羞恥で染まる。
 濡れているのも、腰が若干動くのも、多少の自覚はあった。だけど、雀ちゃんの履いているジーパンに愛液の染みが出来ているだなんて思ってもみなかった。

 指摘されて、見せつけられて。イケナイ、ハズカシイと思えば思う程にそれは興奮材料になってしまったようで、じわりとナカから愛液が更に溢れた。

 熱いその感覚に唇からは声が漏れ、それを彼女に聞かれたかもしれない。
 恐る恐る雀ちゃんの顔へと視線を戻してみると、多分、聞こえたのだろう。瞳が嬉しそうだ。

 それに気を良くしたのか、雀ちゃんはこう続けた。

「舐めていい?」

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