隣恋Ⅲ~宿酔の代償~ 11話


※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ 宿酔の代償 11 ~

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 秘密の抜け穴を通るのも、もう何回目なんだろう。

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 多分1日1往復はしてるからもうかれこれ100回以上は確実にこの抜け穴を通っているんじゃないか。
 そんな事を考えながら、雀ちゃんの家のベランダの扉をコンコンコンと軽く叩いた。

 もう日も暮れて、カーテンを閉めているその扉の向こうで、人影が動く。
 近付いてきたその人の手によって、カーテンと扉が開かれて、わたしはやっと、愛しの恋人と再会した。

 かれこれ10時間ぶりだ。

「どうぞ」

 あ、電話より声が高い。
 やっぱり、電話と生の声だと違うのね。

「お邪魔します」

 愛用のベランダスリッパを脱いで、雀ちゃんのお家に足を踏み入れた。

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 後ろ手に扉とカーテンを閉めていると、今朝よりも随分良くなった顔色の彼女が、わたしを見下ろしてにっこり笑い掛けてくれた。
 その表情はやはり、朝とは比べ物にならない程、朗らかだ。

「おかえりなさい」
「ただいまぁ、雀ちゃん」

 歩数にして2歩の距離を一気に詰めて、彼女に抱き着く。抱き心地を確かめるように、体に回した腕で一度ぎゅっと強く抱きしめてから、彼女の顔を見上げた。

「二日酔い、治った?」
「ええ。もうバッチリです。その節はお世話になりました」

 ちょっと大袈裟に、おどけて言うくらいには、回復しているらしい。
 若いからなのか、回復が早い。
 わたしがあそこまでひどい二日酔いになったら、多分この時間でもまだ唸ってベッドの中だ。

 その若さと回復力への称賛と、お礼の返事も込めて彼女の頭に手を伸ばして撫でる。と、なんとなく髪の毛に湿り気を感じて、わたしは首を傾げた。

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「お風呂入ったの?」
「はい。ご飯作ってから、ちょっと暇だったもんで」
「まだちょっと濡れてるけど」

 特に襟足。と彼女の項あたりに手を回して、水気を含む髪をくしゃりと掴む。
 このまま寝たら絶対寝ぐせが大爆発するやつだ。まぁ、まだ早い時間だから、自然乾燥で、寝るまでには完全に乾くと思うけど。

「ほっとけば乾きますよ」
「もー。風邪ひくよ?」

 雀ちゃんの髪の長さは女性の一般的な長さから言うと、短め。
 だからなのか、いつもドライヤーをかけても完全に乾く前に終わらせて、「自然に乾く」と言い張る。
 確かに乾くことには乾くだろうけれど、髪も痛むし、下手したら風邪ひくのに。

 何度注意しても聞かない子に、唇を尖らせて不満を表現すると、一瞬の間に、その唇に、彼女のそれを重ねられた。

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 驚いて、短くくぐもった声をあげたわたしを、雀ちゃんはすぐに解放してくれたのだけど、自分でもびっくりするくらいに、それが寂しかった。

 ――…一瞬のキスだけじゃ、足りないだなんて……。

 余程、今のわたしは甘えたさんらしい。
 胸の奥に燻るような熱と、喉元の苦しくなるような切なさを感じて、つい、雀ちゃんの項を引き寄せて、再度キスをねだる。

「ね……?」

 驚いて軽く目を見開く彼女の項を、爪の先で撫でる。

「もう一回」

 同じように一瞬のキスで終わらせることなんて許す気はさらさら無いのに、そんな言葉を吐いて。
 重なる唇の柔らかさに瞼を閉じながら、雀ちゃんの胸元にあてた手で、服をくしゃりと握った。

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