※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 23 ~
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健介さんが何分シェイクし続けていたのかは不明だが、蓉子さんのあの厳しい指導の直後、カクテルを作るのは緊張する。
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私より年上の健介さんも緊張するのか、若干動きが固い。
パイナップルジュース、オレンジジュース、レモンジュース、グレナデンシロップをシェイカーに入れてシェイク。
氷を入れたコリンズグラスにそれを注ぎ、ジンジャーエールを満たしてステア。
最後にカクテルピンにレモンとレッドチェリーを刺して飾り付けて、完成。
「お待たせしました。レッド・ソンブレロです」
「ありがとうございます」
見下ろしてくる視線は「このやろうシェイク要るやつ頼みやがって」と軽く凄んでくるけれど、知らんふりをする。
もうひとつ、知らんふりをしてあげている事があるのだが、それを蓉子さんが気付かない訳がない。
「健介。これは雀だからこうしたの?」
あちゃー。と私は心の中で言って、片目を閉じた。
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健介さんの最大のミスは、コリンズグラスにストローを差し忘れていること。これじゃあグラスに直接口をつけて飲まなければならない。
基本的にグラスの中に氷をいれたカクテルにはストローをつける。でないと、飲む為に持ち上げたグラスを傾けたときに奥からガシャッと氷が唇にぶつかってしまうから。
だからこのドリンクにはストローをつけなきゃいけないんだけど……。
それを見咎めた蓉子さんは、スタッフが飲むドリンクだからストローを渡さなかったのかと尋ねているのだが。
「……え、っと?」
解ってない。分かってないよ自分のミスに健介さん!
たぶん、カクテルピンをさしたから、ストローをさす同じような動作で、なんとなく作業手順がトンじゃったんだとは思うけど。
「健介?」
蓉子さんが威嚇するみたいに名前を呼ぶ。
普段は優しくて落ち着いた声なのに、こういう時は鋭くなる声。
隣の隣で聞いていてゾワワと背筋が落ち着かない感じになる。
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なんとなく私も居住まいを正していると、隣からクン、と袖を引かれた。
見れば、愛羽さんが口元に片手で覆いをして、内緒話を持ち掛けるために体を寄せてきた。
私の耳に近付いた愛羽さんが、手の衝立の裏で囁く。
「何がいけないの?」
どうやら、一足先に正解を知りたかったようだ。
まぁ店長はあのカオからしてとっくにストローが無いことを見つけているし、この場で正解が分からないのは愛羽さんと健介さんだけ。
しかも彼女は素人で分からないのも当然だ。
私は愛羽さんの真似をするみたいに彼女の耳に顔を近付ける。
「ストローがないんです」
小声で言ったあと、愛羽さんが納得したように大きく頷く。
それを横目に、健介さんがダラダラと冷や汗をかいている。
正解が分からないときのあの心境はほんと、トラウマになりそうなほどだと、心中をお察しする。
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やはり、緊張というものは、普段出来ていたことも出来なくしてしまう魔力がある。
こわいこわい、と胸中で頭を振っていると、やっと正解が分かった健介さんが、グラスにそれをさしこんでくれた。
「ありがとうございます」
「……申し訳ございません……」
スタッフがスタッフに遣う言葉ではないけれど、まぁ蓉子さんが居るのだし仕方ない。
「まったく健介は今日ダメダメねぇ」
時間も間違えたし、シェイクも指導がたっぷりだったし、ストローまで忘れる。と蓉子さんが指折り数え上げるもんだから、彼が小さくなっている。
うーん、可哀想になってくるなぁ、と思いつつ私はレッド・ソンブレロを持ち上げた。
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「お酒?」
愛羽さんが不思議そうにグラスの中の赤色の液体を見つめる。
一見カクテルに見えるけれど、アルコールは一切入っていない。
ただのジュースだ。
「ノンアルですよ。飲んでみます?」
差し出すと、なんのためらいもなく、私が使ったストローに口を付ける愛羽さん。
うーん、他の人にも同じような事してないといいんだけど。
「ん。おいしい。思ったより甘くなくてスッキリしてるね」
「ジンジャーエールが入ってるんですよ」
「あー。だからかぁ」
最後にちう、とストローで吸い上げてからこちらにグラスを戻す彼女。
ありがと、と微笑まれて、やっぱり可愛いなぁと、蓉子さんの圧力にドキドキしていた心が、ほっこりした。
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