隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 104話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 夜から朝は短かった。

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 ~ 湯にのぼせて 104 ~

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「あーあ。明日にはもう帰らなきゃいけないんだねぇ…」

 しみじみ。
 そんな感じで言うのは、私の腕の中に居る恋人、愛羽さん。

 行為の後の気だるげな感じを隠しもせずに、体を拭って浴衣を着て、先程ぽてりと私の腕の中に飛び込んで抱き着いてきたのだ。
 可愛すぎる。

「そうですねぇ…もっと泊まっていたいですけど、そうもいきませんし」

 大学生の私は学校が。社会人の愛羽さんは会社が待っている。
 嫌だけれど、こればっかりはどうしようもない。

 溜め息をつく彼女の頭を、そっと撫でた。

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「愛羽さん。ここに連れてきてくれて、本当にありがとうございました」

 恋人とのゆったりした温泉旅行。人生で初めてだったし、本当に楽しかった。
 改めて感謝を伝えると、彼女はびっくりしたような目でこちらを見てくる。

「なに、いきなり。これが最後、みたいな言い方しちゃいやよ」
「あ、いやそんなつもりじゃなくて。ほんと、楽しかったなぁと思ってですね」

 まぁ確かに、唐突に言われたら、お別れの言葉みたいな感じになってしまっている感は否めない。
 否定するように手を振ってみせながら弁解する私に、愛羽さんはおかしそうに笑った。

「こういう思い出、これからも作っていこうね」

 次は確か、雀ちゃんが計画たててくれるんだったよね? と悪戯っぽく目を細める彼女。
 もちろんですと頷くと、お礼のつもりなのか軽いキスが送られてきた。

「大好きよ、雀ちゃん」
「私も愛羽さんが大好きです」

 口付けを交わして、言葉を交わして、私達は幸せな眠りについた。

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 翌朝。多分眠ったのは結構遅い時間だったはずなのに、目が覚めたのは5時過ぎ。
 時間を確認するために手に取った携帯電話を枕元に戻して、妙にスッキリとした目覚めだなぁと胸中で呟く。

 隣、というか腕の中で眠っていたはずの愛羽さんはいつの間にか私の腕枕でなく、旅館の枕で気持ちよさそうに眠っている。
 腕枕は結構肩がこるというのは、本当なのかもしれない。

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 しばらくその寝顔を眺めて幸せな気分に浸っていたのだけれど、ふと思い立つ。
 朝は確か、5時半くらいからここの大浴場は解放されていたはず。

 いわゆる朝風呂。

 昨日晩のお風呂が最後かと思っていたけれど、思わぬ入浴チャンス。

 これは神の思し召しなのだろう、と信仰心もたいしてないくせに、そう決めつけて、私はそろりと布団から体を起こした。

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 せっかくあんなにも気持ちよさそうに寝ているのに、起こしては可哀想だ。
 お風呂の準備をするのに、物凄くゆっくり静かに動いて、かなりの時間を要した。
 いきなり何の書置きもなく消えると驚かせてしまうかと思って、置手紙をしようかと思ったけれど、ここにはメモ帳もペンもない。

 仕方なく彼女の携帯電話にメッセージを入れることにしたけれど、その音で起きてしまわないかとヒヤヒヤしながら愛羽さんを見守った。
 ピン、と短く甲高い音が、メールの着信音。その音が部屋に広がったけれど、愛羽さんの寝息は静かなままだった。

 ほっと胸を撫で下ろして、小声で「いってきます」と眠る愛羽さんに言って、部屋を出る。
 外からカチャンと鍵を閉め終る時も、なんだか緊張してしまった。

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