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本当に、困る。
……いや、直接的危害はないにしても、これは困ったものだ。ホント。
右隣の部屋に向かうように配置してある勉強机についたまま、私は腕を組んで唸った。
「……ぁっ…………んぁぁっ……あ……だめ、だからっ…………」
いやいや。
徐々に声大きくなってるんだけど。
心の中でツッコんで、溜め息をつく。
私は絶対に、火曜日の夜は人を部屋に招かない。
隣の部屋から、ギシアンが聞こえるからだ。
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聞きたい訳ではないが、耳に入るギシアン。
ちなみに、ギシアンとは、ベッドぎしぎし&声アンアンの略である。
まぁつまり、私の部屋の右隣の住人は、只今セックス真っ最中なのである。
このセックスは、毎週火曜日が恒例となっていて、どうやら、社会人の彼氏さんの休みが毎週水曜日らしいと判明している。
私は組んでいた腕を解いて、かしかし頭を掻いた。
隣からの声はまだ続いている。
まったく羨ましいことだ。私には彼氏がいない。
いや……彼氏は作るつもりないからいいんだけど、彼女は欲しい。
ちなみに、私は女性である。
つまり、世に言うレズビアンである。
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いつまでもこの声を聞いていても、どうせ勉強に集中できないし、風呂にでも入ろうか。
思い立ち、着替えを持ってリビングから廊下へ出て風呂場へ向かう。
脱衣場で全部服を脱ぐと、下着に微かな染みができていた。
隣からのギシアンの直接的迷惑を挙げるとすれば、勉強の妨害と私の性欲が煽られて困る、といったところか。
なにしろもう、聞こえてくる彼女の声は半端なく、いいのだ。
可愛いし、私の好み。
だめ、とか言っててもたまに、気持ちいいとかもっと、とねだっている上擦った甘い声はイイ。
結構本気で、抱いてみたい。
たまに見かける彼女の容姿も私のストライクゾーンなんだから、問題はない。
でも、ノンケで彼氏持ちは、レズビアンにとってとてつもなく高いハードルなのである。
私は頭から冷たいシャワーを浴びて、深く深く溜め息をついた。
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