隣恋Ⅲ~夕立騒ぎ~ 11話 完


※ 隣恋Ⅲ~夕立騒ぎ~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 愛羽さんが何度も何度も、荒い息を繰り返し、ようやく落ち着いた頃。
 私はゆっくりと彼女から指を引き抜いた。

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~ 夕立騒ぎ 11 完 ~

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「ン、ぅ、は……っ」

 抜く時には毎度声をあげる彼女。
 どんな顔をしているんだろうと見遣れば、「しかたないでしょ」と云わんばかりに睨まれた。

 潤んだ目で睨んできても、単に可愛いだけなんだけど。

 でも愛羽さんがこっちを睨んできている時に「かわいい」と口にしてしまったら、きっと怒る。
 るさい、かわいくない。だけではとどまらず、なんならデコピンか何かも飛んできそう。

 だから私は黙ったまますぃと視線を逸らしたのだけど、不意に名を呼ばれた。

「雀ちゃん」

 ――既にお怒りだったりするのか?

「はい?」

 若干冷や汗をかきつつもいつもの調子で返事をしてみると、愛羽さんはにこっと笑った。
 かわいい。
 そして、反応が予想と違う。

 彼女がどういった心境なのか予測できずにただ黙って見つめ返していると、「戻ってる」だそうだ。

「?」

 戻ってるって……一体何が? 私のことか?

 考えてみてもよく理解できなくて首を捻ってみると、彼女はふふと笑みを零す。

「さっき、すごいSだったでしょ」

 ――あー……。

 言われてみれば、そうかもしれない。
 思い返せば随分、乱暴に抱いてしまったかもしれない。

「ご、ごめんなさい。痛い所とかないですか?」

 あまりに興奮しすぎて、そのあたりの配慮が欠けていた。
 いつもは痛くないように、確実に慎重にするのに、今日はもう気が逸って仕方がなかった。

「んーん、大丈夫。きもちよかった」

 慌てて尋ねたものの、ふわりとした笑顔で、とろりと返してくる彼女。
 その可愛さにドキリと心臓が跳ねる一方で、頬が緩むのを止められなかった。

「よかった」

 余韻に浸るように、愛羽さんがこちらに手を伸ばしてきて、キスをせがむ。
 私は応えながら、彼女の気だるげな動きに少しだけ心配が過ぎった。

「ほんとに、痛いところないですか?」
「心配屋」

 彼女は私の胸を人差し指で突いてきた。
 その力加減も……あんまり強くなくて心配になるんだけど……。

「だいじょーぶ」
「……ほんとに?」

 繰り返し聞く私に、愛羽さんはクスリと目を細めた。

「ばか」
「え?」
「今日だけで何回イッたと思ってるのー? 流石にわたしも眠たいの」

 言わせないでよ、とまた私の胸を突く。

 た、たしかに、言われてみれば、もう何回イかせたかもわからないくらいだ。
 そりゃあ愛羽さんも、疲れもすれば、気怠くもなるだろう。

 自分のデリカシーの無さに焦っていると、うなじに回り込んできた手で引き寄せられ唇を奪われた。

「そういうとこも好きよ、雀ちゃん」

 至近距離にある優しい目に、ばくばくと心臓が鳴りだし、顔が赤くなる。
 つんと鼻同士を触れさせ口付けを催促する愛羽さんに応えれば、優しい目は、更にふわりと微笑んだ。

「私も、愛羽さんの事が大好きです」

 ばくばくしてる心臓が、いたいくらいに、大好きです。

 それから二人でシャワーを浴びて、ベッドに入った。
 あっという間に寝入ってしまった愛羽さんを眺めながら、流石にやりすぎたとひとり反省会を開く。
 今後は気を付けよう。

 しかし……。
 どうも今日は、二人とも「ソウイウ気分」が重なったのだろう。
 今までに類を見ない日だった。
 思い出すだけで……こう、グッとくる場面はいくつもあって……。

 そんなことを愛羽さんの寝顔を見ながら考えていたら、私もいつの間にか寝入ってしまっていた。

 それから何時間経った時かは分からない。
 ふと目が覚めた時には、柔らかく手が繋がれていて、寝ぼけ眼で微笑んだ。

「だいすきです、愛羽さん」

 絡んでいた指を繋ぎ直して、私はそっと、目を閉じた。

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隣恋Ⅲ~夕立騒ぎ~ 完

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