※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 69 ~
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「だめ。もっと」
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冷たく言い放つ私に、ついに、愛羽さんが異議申し立てをした。
「な、なんでいつもみたいにしてくれないの……っ」
うん。そう言われると思っていた。
だって私は彼女の内太腿に手は添えているけれど、添えているだけなのだ。
いつもは押し開くように力を加えて、愛羽さんが恥ずかしいけれど仕方なく脚を開く、という形を作っているのだが、今日はそれをしていない。
あくまでも、彼女が自ら脚を開くという恥ずかしさ満点のシチュエーションだ。
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「いつもって?」
「だ、だから、脚を……」
「脚を?」
愛羽さんはどのくらい、夜目が利くのだろうか?
あの位置から、私の顔が見えているのか?
だったらきっとさぞ、意地悪な顔付きの私をみているんだろう。
ニヤニヤしている私の質問に答えかけて、あまりに恥ずかしい台詞を言わされそうになった愛羽さんは一旦言葉を切ってから、
「なん、で……そんな事……っ」
と、羞恥に塗れた声音で怒った。
――あぁどうしよう、可愛い。
心臓の奥の所がきゅんとなる。可愛い。
愛羽さんは苛められて恥ずかしさが増してくると、怒り始める。そしてさらにそのまま辱めを受けると、泣き出す。
一度、あまりに苛め過ぎて泣かせそうになった時には、本当に焦ったものだが、その時覚えた限度というものは重宝してものさしとして利用させてもらっている。
「自分だけじゃあ、無理?」
「む、むり……っ」
言いきった彼女にちょっとだけ笑って、私はさらりと内太腿を撫でた。
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びくっ、と跳ねた脚をさらに撫でながら、闇の中、甘く誘う。
「でも、舐めて欲しいでしょ?」
「それは…………ぅ、……ぅん……」
避けたな。
と、私は心の中で呟いた。
先程の流れなら、「それは舐めて欲しいけど、自分で脚を開くのは恥ずかしい」そう文脈は続くはずだ。
なのに彼女は、「それは、うん」と不自然に言い換えた。
私が言わせたがっている言葉だと理解して避けたのではなくて、きっと、単純に「舐めて欲しい」と言うのが恥ずかしくて、避けたのだろうけれど。
そんなふうに避けられると、余計、言わせたくなってしまうじゃないか。
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低く、甘くした声で、私は彼女に要求した。
「じゃあ、手伝ってあげる代わりに、”舐めてほしい”って、言って?」
「なっ……、なんで、よ……」
カッと顔を赤らめる愛羽さんの表情が目に浮かぶ。
あぁ、この闇がなかったら、あの可愛い表情を見られるのに。
口惜しく思いながらも、内太腿の肌を指先でねっとりと撫でる。まるで、舐められているのかと錯覚させるくらいに、ねっとりと熱っぽく、指を這わせた。
「聞きたいから。……愛羽の声で、舐めてほしいって言われたいから」
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「言ってくれたら、ちゃんといつもみたいに手伝うから。だから……言って?」
声を低くしようとしすぎて、若干掠れた。が、まぁいいか。そういうのも味だろう。
私は引き続きねっとりと肌に指を這わせながら、目を細めて、闇のなか、愛羽さんの顔がありそうな辺りを見つめた。
しかしどれだけ目を凝らしても見えず、ドライアイになるばかりだ。
仕方なしに瞼を閉じたとき、やっと、愛羽さんの羞恥を纏った声が、私の鼓膜を優しく、甘やかに、震わせた。
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