※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 48 ~
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重ねた唇の向こうで、甘い声が零れた。
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おなじことをしてと言われて、ただただ同じように真似したって仕方ない。された時よりももっと気持ちいい事を返さなくては。
そう考えた私は、愛羽さんの唇を数度軽く啄んでから、舌を僅かにだけ伸ばして、彼女の唇を湿らせるように舐めた。
「……は……」
ほんの少しだけぬるりと触れて、濡れた筋を残してゆく舌の動きに感じたのか、彼女は緩く後頭部の髪を握り始めた。
唇全体を左右にゆっくりと撫でたあと、再び啄み、彼女の唇が薄く開いたところで、舌を軽く挿し込む。
そのあとは愛羽さんの真似をそっくりそのままして、一旦、キスを終わらせた。
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照明を完全に落とされて真っ暗な部屋の中、二人の呼吸音だけが辺りを支配していた。そんな中に、愛羽さんが軽く身動ぎして、シーツの擦れる音が転がり込んだ。
「雀ちゃんのキスって……すぐに頭がふわふわしてきちゃう」
……ふわふわ……って、それは……良い評価、なんだよね? たぶん……。
「ふわふわ、ですか?」
彼女の表情が見えないので、声音だけでは少し判断がし辛い。よろこんでいるのか、はたまた、困っているのか。
怒ってはいないみたいだけど、……今彼女がどういう心境なのか分からなくて、私は問い返した。
「最初はわたしも、雀ちゃんの事気持ち良くしたいなって思いながらキスするんだけど、そのうち受け身になってて、最後はもうぽーっとしてなにも考えられなくなっちゃう」
――……この、ひとは……。
きっと、何も考えずにこういう発言をしているんだろうな。いつもの事だし。
でも、そのセリフ、裏を返せば「キスされると何も考えられなくなるくらい気持ちいい」と告白しているようなものじゃないか。
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「じゃあ……もっと……キス、したいとか…思いますか?」
「……思う、よ? なぁにその恥ずかしい質問」
やめてよ、と言いながらもちゃんと答えてくれて、照れたみたいに胸を小突かれる。
だけど、満更でもないようで、彼女は私の顔をまた引き寄せながら、甘えた声で言った。
「もっと、してくれるの?」
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私が唇を重ねると、後頭部の髪を握る手が開いて、くしゃりと髪をかき回すように撫で始めた。
――もしかしてちょっと……興奮してる……?
いつもならば、もっとキスが激しくなった頃にされるのだけれど、と私は記憶を思い起こしながらも彼女の口内へと舌を挿し込んだ。
すぐに絡んでくる彼女の熱いそれを宥めるようにゆっくりと撫でるけれど、焦らされているとでも感じたのだろうか?
「んぅ」
と不満げな甘声を漏らして愛羽さん自ら顔を傾けてキスを深くする。
愛羽さんと私では舌の長さが全然違う。……いや、私が短い訳ではなくて、彼女が平均よりも長いというだけだ。……たぶん。
だから、彼女が本気を出せば一発で私のほうが蕩けさせられてしまうので、ここまで彼女が昂っているときは気を付けなければいけない。
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私は彼女の舌先をにゅるりと舐めてから舌を引いて唇を離した。
一瞬、呼吸の間をとり再度唇を重ねるけれど、こちらからは舌を伸ばさない。
「ん、ん……」
誘うように唇の力を抜いたまま、幾度も唇を啄んでいると、思惑通り、痺れを切らした愛羽さんの舌が姿を現し、私の唇をぬるりと舐めた。
まるで”どうして深くキスしてくれないの”と言われているみたいだ。
拗ねているのか、なかなかこちらの口内へとは入ってきてくれない。唇をぬるぬると舐める舌に、こちらは唇を擦り付けるみたいに顔を左右に僅かに揺らす。
「はぁ……ん」
濡れた唇の感触が気持ち良かったのか、婀娜っぽく声を漏らした愛羽さんが催促するみたいに、私の髪をきゅっと握った。
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