※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 43 ~
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猟銃で心臓を撃ち抜かれたのかと思うくらいだった。
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求められたキスで薄れたとはいえ、先程彼女を攻めたて過ぎたという気持ちはまだ残っている。
そんなときに限って、愛羽さんが、照れ隠しをふんだんに含んだ口調で可愛い事を言ってくるだなんて。一体なんの拷問だ。
ぞくぞくと得体の知れない興奮がせりあがってくるのを感じながら、果たしてもう、襲ってもいいのか、いけないのかを懸命に考える。
だって、さっき愛羽さんはイッたばかりだし、私は私で「さすがにやり過ぎたな」と思って反省しているところだし、……でも彼女はこんな可愛い事を言ってくるし、その前もなんとなく誘っているような言葉を言ってきた。
――つまり……襲ってもいいってこと……なんだろうか?
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――わからない……。
こちらの気持ちとしてはもう、たまらなく襲いたい。
キスをして蕩けた瞳に笑い掛けて、紅華の咲き散る首筋へさらなる華を咲かせてしまいたい。明日はもう家に帰るんだからそろそろもうキスマークは付けちゃ駄目だと言われてしまうだろうか?
だったら、見えない胸や腹、太ももにはもっと付けたい。
この貴重な体験をさせてもらっている現在は、さすがに写真に残せるようなものではないから、少しでも印象を深くしたい。家に帰ってから、身体に刻まれた印を見つけてはここでのセックスを思い出して欲しい。
キスマークだって、どれだけ濃くつけたとしても、もって4日か5日くらいのものだ。形として残せる写真に比べると随分と儚い。
そんな儚いものに縋ってでも、彼女に、私と過ごした時間を忘れにくくさせたかった。
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そんなことをつらつらと考えていると、もう、我慢の限界だった。
やり過ぎだと怒られるのならば、あとでしっかり怒られよう。
今は、愛羽さんを抱きたい。
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抱き着いている彼女からそっと身体を離せば、彼女は小さく「ん」と声を漏らしながら潤んだ瞳をこちらへ向けた。
少し乱れた前髪が目にかかっている。
私はそれを指先で払ってやると、頬を撫でた。
「もっと、愛羽さんが欲しい」
「え……」
彼女の動きが、固まった。
それでも構わず、私は続けて訴えた。
「愛羽さんをもっと抱きたい」
ストレート過ぎるだとか、他の言い方がもっとあるだろうとか色々言われてしまいそうだけど、その言葉しか思いつかなかったし、こういう飾り気のない言葉の方が彼女にしっかりと伝わるのではないか。
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「あ、の……」
私を見つめたまま固まっていた愛羽さんが二文字分だけ、たどたどしく発音したかと思ったら、途端に、頬が赤くなった。それはもう、若干照明をおとしている部屋の中でもはっきりと分かるくらいに、みるみる赤くなったのだ。
そして潤んた瞳は私から逃げるように視線を逸らすと、忙しなくきょろきょろと動きまわる。
あからさまに”動揺”を体現する愛羽さんに、「……なにか悪い事を言ってしまったのだろうか……?」と内心呟いた。
だって、よかれと思ってストレートな物言いをしたのに、こんなにも狼狽えられるだなんて。
もしかしなくても、駄目だったのだろうか。
「もう嫌……でしたか……?」
ホテルに来てから累計愛羽さんは何回絶頂を迎えたのだろう。数えていなかったから分からないけれど、私の感覚的にはもう10回に到達してしまいそうだと思っている。
2日足らずでそんな回数をこなすとしたら、確かにもう限界むりと言われてもおかしくはない。
朝から「体も腰もだるい」と言われていたし……ここで断られてもなんら不思議ではない。
愛羽さんは優しいから、私を傷付けないように、どう断りを言おうか、思慮深く考えている所なのかもしれない。
それはなんだか、彼女に申し訳ないことをしてしまった。
言い難い事を言わなければならない状況を作りあげた事を後悔と反省して、私はそっと、愛羽さんの上から退けた。
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