隣恋Ⅲ~のたりかな~ 38話


※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたりかな 38 ~

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 振動音が鳴り止んだ数秒後、彼女の荒い呼吸が、再開された。

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 嬌声を止める為と、快感を堪える為に、自らの呼吸を止めてしまうとは。

 ――あんまり攻め過ぎるのもよくないか……。

 震える脚と強張ったままの大きく上下する背中を見つめながら、私は軽く鼻から息を抜いた。
 仰向けの状態でならば、枕に顔を埋める呼吸停止法が使えないから、完全に呼吸を止めることはないのだが……この体勢だと、息をするのも止めるのも、彼女の自由になってしまうからよくない。

 さて。どうしたものか。

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 彼女の休憩をとる間、私の両手は暇を持て余している。
 それまで通り臀部を撫で回すのもいいけれど……チラと視線を脚へと流して、私は腰をあげた。

 力なく伸ばされた脚の間に僅かばかり顔を出しているローターの部品。
 まるで誘うような光景に舌なめずりをしながら、うつ伏せの彼女の脚の間に右膝を割り入れた。

 ギシ、とベッドを軋ませながらさらに、左手を愛羽さんの胸の横辺りへと着く。
 そこまでくると、愛羽さんはやっと私が覆いかぶさってきていることに気が付いたようで、軽く首を巡らせて私を横目で一瞥した。
 その流し目の色っぽさといったら、ない。

 ゾク……と項の産毛が粟立つ感覚を味わいながら、彼女に体重を預け過ぎないようにして覆いかぶさり、顔を近付けた。

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「…ん…、ぅ」

 まだ呼吸も整いきっていない彼女の唇を奪えば、やけに熱い。キスの合間にかかる吐息もそれと同じく温度は高い。
 そんなにも、先程の愛撫は良かったのだろうか。
 考えていても始まらない。そんなもの、聞けばいいのだ。

 舌が触れ合いそうで触れ合わない甘ったるいキスを数瞬だけ解いて、私は目を閉じたまま、囁いた。

「良かったですか?」
「な……っ」

 短い声には、よもやそんな質問を受けるだなんて思っていなかった、という感情が含まれていて、とりあえず、愛羽さんの口を塞ぐ。
 ちゅ、ちゅう、と普段以上にリップ音を響かせて、彼女の驚きが身体に馴染むまで間を稼ぐ。

 なんというか、こうして、いつもと違う角度からキスするのも、悪くない。

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「……ん、ふ……」

 気を抜くとすぐに、キスに没頭してしまう。
 私は質問をした途中だったというのに。

 互いの舌先を舐め合い始めたキスをやんわりと途切れさせて、今度は瞼を開く。

「さっきの、良かったですか?」

 私よりも数秒遅れて瞼を開いていた途中に投げかけた質問に、彼女はぴくんと反応を示した。
 それでも吐息を溢しながら瞼を開けきって、蕩けた瞳を覗かせた愛羽さんは、こくんと頷いた。

 その可愛いさにゾクゾクゾクと背中を快感が這い上がり、さらに腹の底からは温度の高い加虐心がせりあがってくる。

 私は彼女の濡れた唇に舌先を一度這わせて、伏し目がちの愛羽さんに囁いた。

「ちゃんと、口で言って? どうだった?」

 またひくんと反応をする彼女が素直すぎて可愛い。
 愛羽さんは私の事を、「素直」だとかしきりに言うけれど、こういう時誰よりも何よりも貴女が素直に従っていることに、気付いていない。

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 羞恥心から彼女の唇が震えているのを見つけて、私は幾度かそれを啄んでやる。そして、深いキスに移るときのように薄く唇を開いて素振りを見せた。

 当然のように愛羽さんもそうしてこちらに舌を伸ばそうとした瞬間に、つれなく顔を引いてやると、彼女は蕩けかけた表情に僅かに落胆を混ぜた。

「ちゃんと言えたら、ご褒美、あげる」

 だから、言って?

 と、甘く催促しながら、私は彼女の乱れた髪を梳くようにして撫でた。

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