※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 35 ~
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「大好きです、じゃないわよこの……」
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ぐりん、と首を巡らせてこちらを向いた彼女が、私の想像通りの顔に怒りを少しプラスして見下ろしてくる。
「ばか……っ!」
――あ。やばい……可愛い過ぎる。
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好きな人の「ばか」はどうしてこうも破壊力があるのか謎だ。
衝動に突き動かされて、転がっているローターに右手を伸ばしかけたところを捕獲されてしまう。
「だめ! もう、あれ、だめっ」
「あんなに気持ち良さそうだったのに?」
「っ……るっさい……!」
ぎゅい、と手を抓られて、痛みに眉を寄せる。だけど、私の瞳は彼女の可愛い顔をずっと注視していて、愛羽さんからしてみれば異様だろう。
「こっちみないで…っ」
「さっき、わたしの事みててって言われたので」
「撤回するから見ちゃダメ……!」
終いには、手で両目を塞がれてしまった。
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「ぁぁぁなんであんなに気持ちいいのよ……っ」
「愛羽さん心の声が漏れてますけど」
「聞かないで……っ!」
そんな無茶な。
口にしておいてそれを聞くなだなんて無理すぎる。だけどそんな無茶苦茶な要求を取り乱したまま言ってくる愛羽さんも可愛い。
さすがに、ローターが熱暴走を起こしそうなくらいまで使用し続けたのはやり過ぎたかもしれない。ちょっとだけ反省しなくては。ちょっとだけ。
両目を覆われているのであまり大きな動きはできないが、彼女を抱き締めるくらいは可能だ。
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「……ご機嫌取り?」
まだ少し怒ったような拗ねたような声色だけど、抱き締められるのは嬉しいらしい。
「違いますよ。単純に、愛羽さんが好きだから抱き締めてるだけです」
「……さっきといい、今といい。良いタイミングでそういう事するよね、雀ちゃんて」
「いけませんか?」
「いけなくは……ないけど」
なんか、掌で転がされてる感じがする。年上なのに。
と言う愛羽さんが、私の顔の上から手を退けた。
彼女の言葉に対して私の意見を言わせてもらうとすれば、「随分心外ですよ」と告げてやりたいくらいだ。
だって、元々私が押し倒したはずの愛羽さんに、すんなりと立場を逆転させられているのだ。流れるような仕草で、自然に。
あのテクニックは見習いたいところだが、どこをどうやってあの瞬間、ひっくり返されたのかも分からない。
印象的な事は何一つとされていないのに、場の攻守がひっくり返った。それはかなり、驚異的なのだ。
だって、何か前兆のような動作があれば、こちらとしても予防策が立てられるけれど、それが出来ないのだ。
つまり、愛羽さんが攻めに転じようと思ったときにタイミングが合えば、私はコロッと”抱かれる立場”になってしまうということだ。
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「絶対、いつか、アレ、雀ちゃんに使うからね」
「お、お手柔らかにお願いします……」
宣言をされてしまった。
だけど、いつか、という事は今日はもう、愛羽さんは自分があのローターを使用する事は諦めたみたいだ。
「……まだ腰に力が入らない」
絶頂を迎えてはいないものの、確かに、愛羽さんの身体はくったりしていて、未だに私に体重を預けている。
――かわいい。
「愛羽さん、横、降りられますか?」
「んー……」
理想としては、元々私が押し倒していた体勢に戻りたいが、……力が入らなくて無理なようなら、手伝おうか。
そういうつもりで尋ねたのだけど、愛羽さんはまるでほふく前進するみたいにズリッとうつ伏せのまま横へずれて、私の隣に腹ばいで寝転がった。
――これは……背中から苛めていいってことかな……。
丁度良く、バスローブは腰紐が解けているし、できなくもない。
私はゆっくりと片肘を着いて、身体を起こした。
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