※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 31 ~
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耳たぶだから、痛くはない。
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だけど、明らかに、「目を逸らすな」と言われているのは理解できる。
逸らしかけた視線を愛羽さんの瞳へと戻せば、耳たぶを摘む指はその力を緩めて、耳全体を優しく撫でてくれるようになった。
「駄目でしょ? そんな事しちゃ」
可愛い言葉遣いで諫められるけれど、貴女が要求しているのは結構、なんというか、精神的にくるやつですよ。と言ってやりたい。
だけど言えない理由がひとつある。
「わたしに同じ事させたんだから、雀ちゃんも目、逸らしちゃだぁめ」
そう。
そうなのだ。
させた記憶があるから、困っている。
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喉奥で唸るようにぐうぅ、と不承不承に返事とも言えない声をあげる。
そんな私に返ってくるのは、にんまりと弧を描く瞳だ。
口付けを再開されながら、このままではいけないと心の中で呟いた。
「ん……」
耳に甘く届く彼女の声が可愛い。可愛いんだけど、このままじゃいけない。
どうにかして、主導権を取り戻し、この体勢をひっくり返さなければ。
――体勢……体勢を……ひっくり……返さなくても、いい……か?
ふと思いついた作戦は、なかなかいい案だ。
早速、とばかりに私は唯一自由な左手を愛羽さんのバスローブの腰紐に伸ばした。
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浴衣の腰紐よりは抵抗感の強いそれをなんとか解いた瞬間、笑んでいた愛羽さんの瞳が一瞬だけ、揺れた。
だけど、問題はここからなのだ。
愛羽さんはぴったりと私に体をくっつけているから、バスローブの前が自然と開けるなんて上手いように事は運ばない。
それを理解しているから愛羽さんの動揺も少なく、舐めるキスから、文字通り噛みつくキスに移行しただけだった。
唇に噛みつかれながら、さてこれからどうしようかと考えるが、上手い案が浮かばない。
仕方なく左手のみでいつものように、愛羽さんの身体のラインをするすると撫でてみる。
肩、二の腕、脇腹、腰、お尻。
バスローブの上からだから、いつもよりも一回り大きいサイズの身体のラインを辿るのも、なかなか楽しい。
彼女の女性らしい体付きを改めて好きだなぁなんて思っていると、私に与えられるキスが、なんとなく、震えてきた。
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――え?
まさか、身体を撫でただけで?
こんな事で愛羽さんが動揺して、主導権を渡すはずもないと思っていただけに、私は彼女の瞳を下からよくよく覗き込んだ。
すると、怯んだように、愛羽さんは私から視線を逸らしたのだ。
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――存外、上手くいくもんだな。
胸中で呟いて、私はさらに、愛羽さんの身体を撫で続けた。
やはり、腰やお尻は一段と感じてしまうようで、私の左手がそちらへ及ぶと、愛羽さんはキスの最中でも甘声をきかせてくれた。
だけどそれは、主導権を握っていたい彼女にとっては不本意なもので、愛羽さんは怒ったように私の唇を一噛みしてから、ぐいと舌を挿し込んできた。
「ん、ぅ」
咄嗟にあげてしまった声に、満足気な視線が寄越されて、私は眉をくっと寄せる。
そして仕返しかのように、愛羽さんの腰骨をくりくりと指で強めに押してやった。バスローブの上からではあまり効果はないかもしれないが、やらないよりはマシだろう。
布越しの事を考えて、素肌にするときよりも強く、けれど、くすぐるようなタッチで甘く。
彼女の性感帯の一つであるこの場所をうまく利用できればいいとは思っていた。だけど、あっさり愛羽さんが私から逃げ出すとは予想外だった。
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