※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 29 ~
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どちらにイニシアチブがあるのか、わからなかった。
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私が上だし、舌を挿し込んでいる。
愛羽さんは下だし、深々と挿し込まれた舌に苦しそうに喘いでいる。
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私が左右の手首を握って、ベッドに押し付けて、はりつけにしている。
愛羽さんは握った拳を時折持ち上げては、抵抗が叶わぬものと知ってパタリと力なく緊張を解いている。
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だけど、どうしてだか、愛羽さんに主導権が握られている気がしてならない。
要求されて始めたキスだから?
――いや、そんな事くらいで主導権を取られるか。
だったら、なんで。
繰り返す問いに、うっすらと浮かんでくる答え。
足。
そう。
足だ。
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啄んでも、舌を挿し込んでも、何をしても常に、私の足先を撫で回す愛羽さんの足の親指。
よく、それだけ器用に動かせるし、攣ったりしないんだなと思うけれど、そんな感心さえ飛ばしてしまうくらいに、なんというか……気持ちいい……のだ。
フェザータッチと呼んでいいくらいの軽さで触れてきて、思いもしない場所を不意に撫でられる。びくんと跳ねてしまうくらいに、愛羽さんは上手に私を玩ぶ。
だからキスに、集中できない。
彼女の感じるポイントを舐めようとした寸前に、遮るみたいに足から快感を与えられる。
だから、愛羽さんの感じる所からズレてしまう。
ぐじゅりと口内に唾液が溜まってしまうくらい長くキスしていても、私の息ばかり、あがってしまう。
こんなにも、上手くいかないキスが、今まであっただろうか。なんて独り言ちても、愛羽さんからの快感は止まないし、私が彼女に与える快感が増える訳でもなかった。
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堪らなくなって、舌を引き抜いて、唇同士を離した。
「…………あら。もう、気が済んだの?」
嫣然と笑む彼女を見下ろす私の顔はきっと赤い。そして、上手く事が進まない事に焦れているけれど、与えられる快感に抗えないでいる。
睨みたい訳ではないのだが、私の邪魔をしてくる彼女をみる眼は険しくなってしまう。
そんな私の心中は手に取るように理解できるのだろう。愛羽さんはくすくすとちょっと意地悪の混ざる笑みを零して、右腕を軽く上げた。
当然、手首を押さえつけている私によってその腕の動きは一旦阻まれるのだけれど、彼女の手の動きがあまりにも流れるように自然すぎて、私は右腕を解放してしまった。
それが何よりも間違いだった。
「じれったそうにしてる雀ちゃん、可愛い」
「そん――」
な事言ってないで、ちゃんとしてくださいよ。と言いたかった私の口を、急に頭を起こして迫ってきた愛羽さんが塞いだ。
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軽く目を見張る私の視界には、瞼を閉じて口付けてくる愛羽さんの姿。
そんなにキスしたかったのかなぁ、可愛いなぁ。なんて呑気な事を考えてる間に、愛羽さんの右手が私の右肩を斜めに押し上げてきて、バランスを崩し、どさりと横へ倒れ込んだ。
「な……?」
一体、何が起きたのか。
背中にはふかふかなベッドの感触。右手にはまだ掴んだままだった愛羽さんの手首の感触。そして隣には、にんまり顔の愛羽さん。
つまり私は、愛羽さんの上に居た状態から横へ、コロンとひっくり返されてしまったらしい。
――やばい。
思った瞬間にはもう遅くて、体を起こした愛羽さんが私の下腹辺りに跨っていた。
「広いベッドだからこういう事も出来ちゃうのよね」
思惑通りだと言わんばかりの愛羽さんの笑み。上機嫌なそれを見上げた私の背中に、何故だかゾクリとしたものが這い上がった。
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