※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたりかな 14 ~
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唇を通じて、くぐもった声が聞こえる。
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唇を塞がれても愛羽さんの抵抗はまだ続いていて、自由な両手が私の胸を押し返している。
さすがにひっくり返されてはたまらないので、両腕で横へ流していた体重を遠慮なく彼女へかけて、愛羽さんの動きを封じた。
「往生際が悪いですね」
「よっ、予定外の事するからでしょ……!?」
鼻と鼻がくっつく距離で言い合う。
焦ってる愛羽さんが可愛い。
「ちょっとだけですよ、ちょっとだけ」
「ぜ、絶対嘘。このまましたらご飯届いても雀ちゃん続行しそうだしそれよりなんでこの体勢になってるのよ」
「なんでって……愛羽さんが可愛いから」
「かわいくないっ」
あーこれこれ。
やっぱりこの台詞は私じゃなくて愛羽さんが言わなきゃしっくりこない。
「何嬉しそうな顔してるの、どいてよ…っ」
「嫌ですよ」
愛羽さんの曲げた両腕が、私達の体の間にあって、必死に私を退けようと力を込めるけれど、力を抜いてほとんどの体重をわざと彼女にかけているので、ビクともしない。
まるで小さな子どもがもがいているみたいで可愛いんだけど、力み過ぎて顔とか耳が真っ赤になってきている。そろそろ、やめさせなければ。
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すぐ傍にあった唇にキスしてから、彼女の首筋に顔を埋めた。それだけの行為で、愛羽さんの腕がピクリと跳ねるのだから可愛いくて仕方ない。
「雀ちゃん……」
「黙って」
囁きながら告げて、紅華の咲き乱れた首筋にさらにもう一つ、紅華を咲かせた。
「っ、ふ…ァッ」
チクリと刺すような痛みに声をあげた愛羽さんは、私のTシャツをきゅっと掴んだ。
服を引かれる感覚が可愛くて、表情を和ませながら、咲かせた紅華をぺろりと舐めて顔をあげる。
力みとはまた別の理由で赤くなった顔がそこにあって、こちらを潤んだふたつの瞳が見上げてくる。
半ば蕩け気味の瞳に笑い掛けると、彼女はなんだか悔しそうに睨んできた。
「何でそんな元気なの」
「さぁ?」
「ちゃんと飲ませたはずなのに。普通、飲んだ人がトロトロになるものじゃないの?」
「まぁ普通はそうですよね。でもトロトロになってるのは愛羽さんですけどね」
「っさいなぁ……!」
否定しないところがまた可愛い。
もしかして、もう、濡れてたりするんだろうか。
確かめたい気持ちがむくむくと大きくなってきた瞬間、カチャン、と遠くで音がした。
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玄関の扉が開いた音だ。
どうやら、食事が運ばれてきたみたいだ。
愛羽さんもそのことには気が付いたようで、私の体の下でほっと胸を撫で下ろしている。
「今、安心しました?」
「え、や、べ、別に……」
「キス、もっとしませんか」
「あ、後にしよう?」
「嫌だって言ったら?」
「ほら、ご飯来てるし」
「まだピンポン鳴ってないですよ」
「もうすぐ鳴るから」
「でもまだ私抱き足りてませんし」
「やっぱりまだ足りてなかったの!?」
「やっぱり……?」
「あ、ううん、なんでも」
ピーンポーン。
とやたらと大きな音で鳴ったチャイムに口を噤んだ愛羽さん。
だけど、その前に口走った事が妙に引っ掛かった。
やっぱり、って。私が抱き足りていない事をまるで知っていたみたいな言い方。
まさかあの時本当は目を覚ましていたんじゃ…………?
「ほらほらご飯ご飯。お酒もきっともう来てるよ!」
パシパシパシパシと胸を軽く叩かれて、もう雰囲気もなにもなくなってしまったので私は嘆息をついて、彼女に顔をぐっと寄せた。
「じゃあ最後にキスしてください。そしたら退けます」
「な、なんで……」
「単純にキスしたいから」
まだ何かされるんじゃないかと警戒心をバリバリに張っていた愛羽さんが、私の台詞に肩の力を抜いた。
それからちょっと柔らかい笑みを浮かべる。
「雀ちゃんって、キス、そんなに好きだったの?」
「キスも好きだし、愛羽さんも好きですよ?」
「も?」
片眉をクイとあげて、私の言葉の一部を聞き返す愛羽さんにちょっと笑って、言い直す。
「愛羽さん、が、大好きです」
「ふふ、よろしい」
100点をあげます、だなんてお道化て言いながら、愛羽さんは私にキスをした。
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