隣恋Ⅲ~のたりかな~ 7話


※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたりかな 7 ~

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 なんとなくベッドに戻り辛い。

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 ちらちらとベッドを視界に入れながら、タオルで体を拭いて髪を拭いて、ドライヤーは使うとうるさくて彼女を起こしてしまいそうだから止めておく。

 余談だが、愛羽さんとセックスすると、私が抱いているのにも関わらず濡れてきてしまうから下着に染みができるのが、地味に困る。
 されてもないのに、替えなければいけないから。

 ……まぁそれを見越していくつか替えの下着は多めに持ってきてたからいいけど。

 ソファに近付いて、鞄の中から取り出した下着にいそいそと履き替え、またベッドに視線を伸ばす。
 あそこに今、浴衣あるんだよなぁ。取りに行くのもなんだし……まぁ、いいか。と荷物の中から、もってきていた大き目のTシャツを頭から被って着た。

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 着るものを着たらやっと人心地ついて、なんだか喉が渇いてきた。
 抜き足差し足でベッドの傍のサイドテーブルにあるミネラルウォーターを手にとり、また抜き足差し足でソファまで戻る。

 潜めていた息をはぁと吐き出して、よっこらせと座る。
 水を一口飲んでから、開けっ放しだった鞄を閉めようと手を掛けた瞬間、目に入るその小瓶。

「……」

 持ってきたはいいけど、ねぇ。
 茶色い瓶を持ち上げて目の前で揺らしてみる。中を満たす液体は媚薬だとまーさんに教えられているし、私がバラしたせいで、愛羽さんもそれを承知だ。

 あの恥ずかしがり屋な彼女が、媚薬だと理解していてこれを飲むはずもない。

 ――そりゃあ……飲んだ愛羽さんがどうなるかは一度見た事があるから……飲ませたい気持ちはあるけど。

 脳裏に過ぎる過去の記憶を掻き消して、私は瓶をソファに転がして、水を飲んだ。

 ――流石にあんな事しておいて、媚薬飲ませるとかできないや。

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 お風呂も入ってさっぱりしたお蔭か、自己嫌悪はそこまでひどくない。
 しかしまだベッドに戻る気にはなれなくて、そのままソファでぼーっとしていると、眠気が忍び寄ってきた。

 うつらうつら、閉じる瞼をなんとか開けては、また瞼が落ちてゆく。
 そんなことを繰り返しているうちに、いつしか私は眠ってしまっていた。

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 …………なんとなく、夢を見た。

 ソファに座った状態から横へ倒れて眠る私の前に、彼女がやってくる。
 浴衣をきちんと着ていて、片手に浴衣を握っている彼女は、その顔に小さく苦笑を乗せるのだ。

 私の手からペットボトルを抜き取り、浴衣をタオルケットかのようにふわりと体に掛けてくれた彼女は、畳にぺたりと座り込んで、私の頭を撫でる。

 ――夢……なのか……?

 なんだかリアルすぎて夢じゃない気がしてきたけれど、眠すぎて、夢かそうでないのか確かめる術がない。

 頭を撫でる手が気持ちいいのもよくない。だって、余計、眠たくなるのだから。

「人に風邪ひく風邪ひくって言う割に、自分には無頓着なんだから」

 囁く声が耳に心地良いけれど、頭を撫でてくれていた手が頬を摘んだのはいやだ。
 もっと撫でて欲しい。
 不満を示すために眉を寄せると、頬をつまむ手が離れて、眉間に柔らかいものが触れて離れた。

「よしよし」

 どうやらやっぱりこれは夢らしい。
 私の要求通りに彼女の手が頭を撫で始めたし、撫でながら「よしよし」なんて声に出すひとは意外と少ないことを私は知っている。

 しかもその声の優しさと甘さは極上のもので、聞いているこちらの表情まで和んできそうだった。

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 都合の良い夢に登場した彼女はしばらく頭を撫でてくれていたのだけど、ふと、その手が離れた。

 ――あぁ……もっと撫でて欲しいのに。

 なんて思いながら、触れてくる気配がなくなった夢の中で、自分の意識がずぶずぶとどこか深い所へ沈んでいくのが分かる。

 レム睡眠とノンレム睡眠の境目的な時なのか? と考えるけれど、カチカチッと何かの音が耳に飛び込んできて、私の意識が少しだけ浮上した。

 ――なんの、おと?

 私の疑問に答えてくれる声はない。けれど代わりに、何かが近付いてくる気配がした。

 唇に触れたのはさっき眉間に触れたものと柔らかさが同じだったけれど、何か、匂いが違う。オレンジのような、リンゴのようななんかフルーティな匂いが鼻に迷い込んでくる。

 さすが夢。なんでもありな設定だ。
 なんて思っていると、唇を割って熱い何かが侵入してきた。

 ――えろい夢見るなぁ……。

 我ながら、ほんとに。眠ってる愛羽さんにあんな事するくらい性欲が有り余っているからこそ、こんな夢を見れるのか、と納得して、口内に入ってきた舌にこちらからも舌を絡めるべく、伸ばす。
 と、同時に、サラリと流れ込んできた少量の何かが二人の舌を伝い、喉奥に溜まる。咄嗟にごくっと飲み込むけれど、あれは唾液ではない。

 舌全体がキュッと締まるような酸っぱさというか渋さというか妙な味がするし、オレンジのようなリンゴのような匂いは強くなっている。

 液体を流し込んだ喉も、なんだかキュッとなる変な感じだ。

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 ――なんでイキナリ毒みたいなもん盛られる夢に……。

 と文句を言えば、唇から離れたあの柔らかい感触が、私の眉間に触れて、ゆっくり離れた。

「上手よ。もっと飲んで?」

 思い通りに出来る夢の便利さににんまりして、私は頷いた。
 それからすぐに、先程と同じように謎の液体を飲まされること数回。
 ゆっくりと時間をかけて、どのくらい飲まされたのだろうか。明確な量は分からないけれど、頭を撫でたり、額や眉間にキスをされたり、甘い囁きを耳に与えられたりと、休憩を挟みつつのことだったので、特に苦しいとも思わなかった。

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