隣恋Ⅲ~のたりかな~ 5話


※ 隣恋Ⅲ~のたりかな~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたりかな 5 ~

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 とりあえず愛羽さんの近くに居る訳にいかない……っ。

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 そう思って出て来ちゃったんだけど……。なんかバタバタしちゃったし……起きたりしてなければいいけど……。

「いやいや」

 露天風呂のある外と繋がるドアをくぐりながら首を振る。
 私が反省すべき点は、今そこじゃない。

 寝てる彼女に不埒を働いてしまった事を今最大に、反省すべきなのである。

「……やってしまった……」

 ぺた、ぺた、ぺた、と力無く足を前に出して飛び石を渡り、下着を脱いで、シャワーの前までやってきたわたしは、壁に片手を着き、片手でシャワーコックを捻った。
 こちらを向いていたシャワーノズルから勢いよくお湯になりきれていない水が噴射されて、心臓がキュッとなる冷たさを味わうけれど、奥歯を噛みしめて微動だにせず耐える。
 こんな程度の事で「ひぇ冷たい!」と叫んで水を止めていいような人物ではないのだ私は。

 散々に抱いて疲れ果てた恋人が眠ったのをいいことに、彼女の身体を蹂躙したのだ。

「……じゅーりん……」

 お湯に変わってきたシャワーをざばざばと頭の上から被りながら呟く。
 私の脳裏に浮かんでくるのは、横たわる愛羽さんの豊満な胸。その触り心地。ピンクの丘のなんともいえない舌の舐め心地。谷間の柔らかさ。腰や下腹のふにふにとして、吸い付くような手触り。熱と湿気の篭った茂み。

「あああ……!」

 ゴン! と壁に額を打ちつけた。

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 頭の中に浮かんだエロさ満点の記憶を追い出すために、ごりっごりっと壁で額を擦る。
 だけど手にも戻ってきたというか消えていないあの柔らかな感触と温もりはシャワーでも、ゴツゴツした壁でも掻き消すことが出来ない。

「どうかしてる……!」

 寝込みを襲うだなんて!
 意識の無い人相手に何してんだ!
 これが他人なら犯罪だぞ!

 たに、…………他人?

 ……あ…………愛羽さんは恋人なんだから……いいの、か……?

 額を擦るのをピタリと止めて、壁に手をついて離れる。
 じゃばー、とシャワーが脳天から降り注ぐ中で、ふと浮かんだ考えにどこか希望を見出せそうな気配がして、考えを続けた。

 こ、恋人なら、抱いたり抱かれたりがオーケーって事、だよな?
 てことは、さっきのもあり……?
 ありなのか? セーフ?

「いや合意じゃなきゃ駄目だろっ」

 だん! と壁に拳を叩き込むけれど、超痛い。
 なんかこう、漫画のキャラみたいに拳の皮剥けるまで打ち込み続けるとか絶対無理だ……。痛すぎる。

 引いた拳を擦って、痛みでとりあえず冷静に戻れたので、身体を洗うことにした。

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 髪はさっき洗ったばかりだし、いいか。と思っていたのに、体に染み付いた習慣とは恐ろしいもので、迷うことなくシャンプーのポンプを押してしまったので、もったいないし結局、一通り全部洗うことにした。

 まぁ、その方が愛羽さんの居るあの部屋に戻るのが遅くなっていいし、と言い訳を並べつつ、普段の3倍くらいの時間をかけた。
 それが全部済むと、お湯を抜かずにそのままだった露天風呂へドボンと飛び込む。

 半身浴もできそうにない程のぬるま湯になったそれに震えが走り、いそいそと四隅の蛇口を捻って回る。
 ざっぶ、ざっぶとぬるま湯を蹴って歩き回るのは結構な運動で、よく、市営プールの一番端のレーンでおばちゃんがずーっと歩いていたのは案外すごい事なんだなと知った。

「……プールか」

 一度扉の方を確認して、ぬるま湯に体を浮かべてみる。
 流石に、浅すぎてクロールなんかは出来ないけれど、平泳ぎはなんとかできるかもしれない。

「……ほっ、ほっ、よっ」

 体が沈み込む前に手足でぬるま湯をかく必要があるのだけど、水深があまりないおかげで動きにくい。
 しかしなんとかジタバタしているうちに、端から端くらいまでは泳ぎ切ることができた。が。

「……なにやってんだ自分……」

 と、更なる自己嫌悪に陥るのだった。

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