※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 81 ~
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強く瞑り過ぎていたのか、瞼を開けても霞む視界に、わたしは数度、ゆっくりと瞬きを繰り返した。
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ようやく明瞭に見えてきた視界に居たのはもちろん、愛しの彼女。とは言っても今さっきまで散々わたしを玩んだばかりなので、にらみたい気持ちでいっぱいだ。
だけども。
だけども、彼女の表情を見た瞬間に、そんな気持ちはスッとどこかへ消えてしまったので、大好きな人、というポジションに据えられた彼女はわたしにとっては無敵状態で倒せない敵なのでは? と疑問さえ過ぎった。
まぁつまりは、彼女に散々意地悪をされたって、悲しそうな心配そうなカオを見せられると怒りなんてどこへやらで、「え? 雀ちゃんどうしたの? 大丈夫?」と思ってしまうと言う事なのだ。
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「嫌、だった?」
さっきまでの意地悪顔で低く囁いていたあのイケボはどこへ行ったのか。
心配そうにこちらを覗き込んでいる雀ちゃんの、不安そうに尋ねる声。
しかしどうして突然、豹変して大人しくなってしまったのか。
こちらとしては、あの絶妙に気持ちいいけどイケないレベルの愛撫を受け続けるのは無理だったので、豹変してくれて助かったのだけど……一体どうして? と疑問は大きくなるばかり。
「いやじゃ、ないけど、どうして?」
まだ整いきらない息を吐きながら、質問を返せば、雀ちゃんは見つめていたわたしの目からすすすと横へ視線をずらして、顔を寄せてきた。
「泣いたから」
瞼と、目尻と、耳の上。順番に唇を触れさせた雀ちゃんの行動を見守りながら、なんとなく記憶に残るその瞬間を思い出す。
攻められすぎて、喘ぎ過ぎて、快感を持て余し過ぎて、目尻から零れた涙。
――……まぁ……確かに、泣いてはいたけど……。
なんていうか、あれは生理的な涙だ。欠伸したら涙が出た、みたいなあれと同じ。
だから気にしなくてもいいのに、雀ちゃんは申し訳なさそうにまた、瞼にキスをしてくれる。
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まぁ自分以外には、生理的な涙なのか、精神的な涙なのか、区別がつかないのも理解できる。
だけどああまで意地悪を極めていた人物が、涙を見た瞬間にピタッと止められるのがすごい。こちらの方が上手く切り替えができていなくて、呼吸が整ってきた今、下腹にある手には、秘所へと戻って頂きたいくらいなのに。
わたしはキスを受けた瞼をそっと持ち上げて、彼女を見つめた。
「へーき。あの涙は欠伸みたいなものだから、たまたまよ、たまたま」
「……本当に?」
「嘘も我慢もしない約束よ?」
「……じゃあ、信じる」
あ。意外とあっさり引き下がった。と、いうことは……。
「触って、いい?」
結構、雀ちゃんも、無理して立ち止まってくれていたみたいだった。
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優しさの成せる無理だったわけね。と心の中で呟いたわたしは、雀ちゃんの手に手を重ね、下へ押し出すように誘導した。
「もう焦らすのは、なしよね?」
キスをねだるように顔を近付けながら問うと、雀ちゃんは少しだけ苦笑した。
「ここでまた焦らし始めたらそれは鬼畜だ」
さすがにそこまでじゃないよ。と否定してから口付けをくれた雀ちゃんは、瞳の中にとろりと炎を宿して、指を入り口にあてがった。
「あ……」
思わず漏れた声に、雀ちゃんの目元が緩む。
「いれるよ?」
今日一番に、甘い声色だった。
耳が溶けてなくなりそう、なんてばかな事を思いながら、わたしは小さく、頷いた。
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