隣恋Ⅲ~のたり~ 65話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 65 ~

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 それから何度、口付けを交わしただろうか。

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 浅く、深く。数え切れないほどに。

 丁寧に、乱暴に、切なさより甘さが勝るように。

「は、む……ん、んぅ……」

 甘える女の声だと自分でも分かるくらいに、婀娜っぽく、いやらしい声。鼻にかかったその声で、雀ちゃんとのキスが長引けばいいと、わざと、いつもより、声をあげた。

 はしたない。

 頭の隅の冷静な自分が窘めるけれど、でも……止められない。

 雀ちゃんの熱い唇も、舌も、わたしだけのものだとこの身体に覚えさせて、刻んで欲しい。

 息苦しささえ、心地良くて、わたしは我慢できずに、雀ちゃんの頭をかき抱いた。

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「好き」
「好きだよ」

 キスの合間に何度囁き合ったか。
 雀ちゃんはもう我慢できないと言った通り、まるで発情期の獣のようで荒々しい。だけど、その瞳の熱っぽさがわたしには、媚薬のように思えてならない。

 あの目で見つめられるだけで、身体が火照って、震えが走るのだ。

「好きだ」

 キスが唇から逸れて、頬から耳へと移動した。
 べろりと遠慮もなく舐められたかと思えば、すぐに、孔へと舌を捻じ込まれた。
 ぐちゅ、と鼓膜を抜けて、脳を揺らすような音が響いて、思わず、身体を捩る。項あたりからゾクゾクと鳥肌が後頭部へと広がり、枕と頭の間に妙な膜でも張ったような感覚にふるえた。

「あっ、や、ぁ……っ」
「逃がさない」

 顔を横にむけて、彼女の舌を孔からむりやり引き抜くけれど、雀ちゃんの手がわたしの顔を仰向けに戻す。そしてなぜか、舐めている耳と反対のそれの孔に、指を入れた。まるで耳栓だ。

「片方塞がれたら、音が頭の中で反響するって、本当かな」

 濡れた耳に囁いて、逃げたお仕置きだと言わんばかりのその行為。
 雀ちゃんはもちろん、耳が弱いということは知っているし、音に敏感だということも知っている。

 その弱点を知っていてなお、そういうことをする目的は……。

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 ぐじゅ、と先程よりも深めに入ってきた舌。その熱くて濡れた感触もさることながら、彼女がどこから仕入れた情報なのかは知らないが、”片耳を塞がれると音が頭で反響する”というのは、真実だったと、わたしは実体験をもって、証明させられた。

「やっぁ、あっ、はぁんっ」

 熱い息をわたしの耳に吐き掛けながら、雀ちゃんが舌を蠢かす。ぐずぐずと奥まったところで鳴るその音が、首の肌をも粟立たせた。

「……やっ、はっ……ぁ、ぁ、ん」

 ――腰が、あつ、い。

 一気に上昇した体温がそこに集中したかのように熱い。
 身体を重ねているせいで、わたしが腰を動かせば、きっと雀ちゃんはそれを察知する。だけど、動かさずには、いられない。

 引くように、押してあげるように、くねらせる腰が、余計、熱い。
 それは羞恥心もあるのだろうが、なにがどの心境だとか、今は、判断さえ、できない。

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「はぁ、はっ……ま、って……んぅっ」

 息なのか、声なのか、混じり過ぎて分からないくらいの声の大きさしか出せない。
 頭が、雀ちゃんの立てる音でいっぱいになって、訳が分からなくなる。

 かき抱いていた彼女の頭から手を退けて、肩に掛けて、押し返す。だけど、わたしの手にはほとんど力が入っていないらしくて、彼女の肌を白ませる事もできない。

「泣く以外は止めないってば」
「は、ん、く…っ、んぁ、ぁっ、っああ……!」

 敏感を極めた耳元で、急に、囁かないで欲しい。
 わたしは雀ちゃんの声だって、好きなのだ。なのに、そんな声で囁かれたら、腰が余計に疼いて仕方ない。

 ゾクゾクゾクと快感が跳ねまわる身体をどうしようもなくて、溺れてしまいそうになる。

 肩にかけた手で縋ろうにも、きちんと指に力が入らず、まるで猫の爪とぎのようにぎぎぎと彼女の腕をずり落ちる。

「アッ、ぁ、も……やぁっ……す、めちゃ……」

 頭も耳も身体も腰も、全部熱い。
 ベッドに沈み込んでいってしまいそうに蕩けたわたしの身体を、どうにか出来るのは、この目の前の人だけ。

 息も絶え絶えに彼女の名を呼べば、聞き取ってくれたようで、やっと、耳から舌を離して、わたしの顔の正面に雀ちゃんはやってきてくれた。

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