※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 64 ~
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「雀ちゃんは謝る必要、ないもの」
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重ねた言葉に、雀ちゃんは首を横に振った。
「でも雀ちゃん」
「違うんです。ほんと、謝らなきゃ駄目なんです」
わたしの台詞を遮って、彼女はどこか口早に言う。切羽詰まったような、忙しないその言葉運びに、眉をハの字にしたわたしは、彼女の頬に手を添えた。
「雀ちゃん……?」
目を伏せ、すり、とわたしの手に顔を寄せる雀ちゃんは、ゆっくりと、瞼を押し上げた。そのスローモーションな動きの向こうから姿を現した瞳を目にしたとき、わたしの動きが、思考が、一瞬、停止した。
猛禽類のような鋭い瞳と眼光。
一瞬前までの雰囲気とは違う、彼女。
わたしを抱き締める腕が緩んで、解放された身体をベッドに預けて、雀ちゃんは身体を起こすと自分の浴衣の腰紐を解いた。
そちらへ目もくれず、解いた紐を放ると、文字通り浴衣を脱ぎ捨てる。
その一部始終を固まったまま見つめていたわたしの上に、再び彼女が覆いかぶさってきたとき、やっと、呪縛が解けたかのように、宙に浮いたままだった手がぴくんと動いた。
だけど、……もう、遅い。
獰猛な眼をした獣が、すぐ傍に迫っていた。
「もう、限界」
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さっきまで、泣いてたくせに。
そんな考えが一瞬だけ過ぎるけれど、そんなものは一瞬で。
雀ちゃんの唇がわたしの宙に浮かんだ手に触れた。
「気持ちいいからだめって言うなら、もっと、だめって言わせたい」
指に吐息をかけるような距離で囁き、彼女の片手がその手首を掴んだ。
まるで痺れ薬でも、彼女の唇には塗ってあるかのように、触れられた場所からじりじりとした波が広がってゆく。
「だめって言っても、いやって言っても、止めたくない」
「……は……っ」
静かに、熱く告げられる言葉が、たまらない。
ねめつけるように見下ろしてくる瞳の鋭さに、声混じりの息さえ、零れる。
親指から始まり、順番に小指までを唇で辿った雀ちゃんの唇が薄く開いて、赤い舌が覗く。
指の一本一本、爪、さらには手のひらの皺まで辿る彼女の舌が、触れれば触れるほど、呼応するようわたしから嬌声が零れてゆく。
最後に、ちゅぷ……と親指の先を咥えて、丁寧に舐め解放されたときには、腰が、震えた。
「本当に嫌だったら、泣いてください。そしたら、止めるから。でも、それ以外は止めない」
掴んでいた手首をぐっとベッドに押し付けた雀ちゃんは、ハァッと荒く息を吐いて、呟いた。
「もう我慢できない」
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背筋に震えが走る。
声と、目だけで、こんなにも感じる事があっただろうか。いや、ない。絶対、ない。
見下ろされて、低く囁かれた。それだけ。
なのに、ナカが締まった。
それまで散々、雀ちゃんに可愛がられていたわたしの中には愛液がたっぷりとあったのだろう。膣の締まりによってじゅんと熱いものが体外へと溢れたあの感覚に、脚までふるっと揺らしたわたしは、彼女に組み敷かれた。
肌同士が触れ合う域を増やすと、ため息が漏れる。
温かいというよりは、熱いくらいの雀ちゃんの身体はどれほどの我慢をしてきたのだろう。
この熱でしか、彼女の我慢は測れないけれど、それはわたしの為の我慢だと思うと、申し訳なさと嬉しさが込み上げる。
大切にされているのだなと分かるその行為が嬉しくて、わたしは雀ちゃんの昂りに震える息を奪うように、首を持ち上げ、彼女の唇を塞いだ。
「んっ」
まさか、わたしの方からキスをしてくるとは予想もしていなかったのだろう。
短く声をあげた雀ちゃんの頭が後ろへ一瞬退いた。
当然、唇同士が離れてしまう。
「ぁ…だめ……」
それが寂しくて、わたしは自由な手で彼女の後頭部をこちらに引き寄せた。唇が重なる寸前に、「はなれないで」と囁けば、口を塞がれた彼女が目を見開いた。
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