隣恋Ⅲ~のたり~ 60話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 60 ~

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「好きです」

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 引き寄せられたわたしは、正座の雀ちゃんにしな垂れかかるように抱き着く形になった。
 傍から見ればすごく腰が引けていてへっぴり腰で抱き着いている姿なんだけど……雀ちゃんががっしりとわたしの肩を抱き締めてくれているし、まぁ、他の誰に見られている訳でもないのだからいいか、とわたしは目を閉じた。

 裸の肌に、彼女の腕の温もりが優しい。

「唐突な、告白ね?」

 わたしも好きだけど。と温かな腕の中で笑う。

「色々思う事ひっくるめて、好きなんです」

 愛羽さんが好きです。と熱の篭った声で繰り返す雀ちゃんの息が、一瞬、震えた気がして、わたしは閉じていた目を見開いた。

 ――もしかして……泣きそう?

 肩口にふれる息は随分と熱い。だけどその顔を窺うにはこの体勢では難しい。
 わたしはその真実を突き止める事は諦めて、雀ちゃんの背中に手をまわした。

 ゆっくり、ゆっくり上から下へと撫でていると、雀ちゃんの息の震えが、落ち着いてくる。

 安堵して、そのまま背中を撫でること数回後、急に、大きく息を吸った雀ちゃんが、わたしを抱き締める腕をさらにぎゅっと強めた。

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「な、なになになにどうしたの」
「すきです」

 予想以上の力でぎゅうぎゅうと抱き締められた身体が、ちょっと痛いと悲鳴を上げる。
 だけど、なにか、感極まっている雀ちゃんはさらに力を加えてぎゅうぎゅうと抱き締めてくるので、その悲鳴は強まるばかりだった。

「す、雀ちゃん、ちょっと落ち着いて」
「だって好きなんですもん、これが落ち着いていられますか?」
「落ち着こう? おねがいだから落ち着こうね?」

 ふすーと鼻息も荒い彼女の背中をとんとんと叩いていると、腕の力がふっと弱まった。と思ったら、わたしの肩口に伏せるようにしていた顔を彼女があげる。

 間近に寄せられた顔は、鼻も目もちょっと赤くて、明らかに泣きそうだったんだと分かる。

 わたしは「見ないで」と言って隠した泣き顔も、雀ちゃんはこんなふうにさらけ出して見せてくれるんだと思うと、その素直さが愛しい。

 まだ少し潤んでいる瞳を見つめていると、その奥からじわぁっと湧き水のように滲み出してくる涙が、目の縁にこんもりと溜まる。

 ――そうとう、琴線に触れたみたいね。……かわいい。

 なんて思って見つめていると、雀ちゃんが鼻を啜った。

「すきです」
「わたしも好きよ。雀ちゃん」

 わたしも情緒不安定だったけど、雀ちゃんももしかしたらそうなんじゃないの? なんて思いながら、わたしは溢れんばかりの涙を湛えた目尻に唇を寄せた。

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 わたしの唇が触れる一瞬前に目を閉じた雀ちゃん。そこからポロリと涙が零れて、彼女の頬を濡らした。
 濡れた筋を辿るように唇をおろして、そのまま横へずれて、唇を塞ぐ。

「む」

 と小さく声をあげた雀ちゃんに小さく笑って、彼女の唇を解放した。

「見ない方がいい?」
「へ? 何をです?」
「んー…泣いてるとこ」

 わたしが「見ないで」と言って隠したので、彼女も格好悪いからとか思って隠したいなら目を瞑るべきかと思って聞いてみたのだけど。今更。

 雀ちゃんは軽く笑って首を振る。

「年上にこういう所で恰好付けても、決まらないですから」

 なんだかわたしよりも大人びた台詞。
 身の丈を弁えているというかなんというか。雀ちゃんらしい。

 正座をしている彼女の首に腕をかけたまま「おいで」と、寝転がる。

「わ、わっ」

 無理矢理、前傾姿勢にされた雀ちゃんは、仰向けに寝転がったわたしの胸にダイブする。
 彼女の首に腕を回したままなので、胸を寄せる結果になって自然とできた谷間に、雀ちゃんが溺れた。

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