※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 57 ~
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「だいぶ、慣れてきたみたいですね」
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そう告げられて、捲られた浴衣。
「や…っ」
「だめですよ」
「ね、ねぇ今更なんだけど明るいっ」
今更とは言うけれど、それなりにずっと気にしていた電気。
雀ちゃんに訴えても多分かえってくる返事は……。
「今更、ですね」
という笑顔のみ。
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結局、消したり、灯りを絞ったりしてはくれなかったので仕方なく、わたしは浴衣を開けられた胸を、自由な方の腕で隠した。
ローターを手にしてはいない雀ちゃんが、隠された胸をまるで蛇みたいな目付きで見下ろしている。その横顔が、なんとも言えず、背中がぞくぞくしてくる。
「そういう風に隠されると、ムラムラしてくるんですが、いいんですか?」
「……っか、隠さなかったらどうなのよ」
「ムラムラしますけど」
どっちも一緒じゃないの! と言い返したいけれど、その蛇みたいな目をした雀ちゃんに文句を言ったらどうなるか、目に見えているから止めておく。
「……」
にらむだけに留めたわたしにちょっとだけ笑顔を見せた雀ちゃんは、胸を隠す腕にキスを落として、軽く覗かせた舌でつーーっと腕をなぞった。
軽く、ほんの軽く気持ち良さが込み上げるけれど、ふぅと息を吐いて、自分を落ち着かせる。
「素直じゃないなぁ」
なんて、こぼすように呟いた雀ちゃんをまたキッと睨むけれど、わたしの視界にはもう、彼女の髪しか映っていない。
俯いた雀ちゃんの唇がちぅと腕の肌を吸ったり、熱い舌がれろりと撫でる。
なんとか、声を我慢できたのは皮膚が厚く感覚の鈍い腕くらいなもので、雀ちゃんの舌が手首や手の甲をなぞり始めた頃には、息が上がり始めた。
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「だ、め……」
「ぁにが?」
――舐めながら、喋らないで。
手首の飛び出た骨に舌が絡まる感覚を浴びながら、問い掛けられて、まずそう思うけれど、だめと言ったのはそのことじゃない。
それ以上、手を舐められたら、気持ち良くなってしまうと思ったから……だめなのだ。
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「何? 愛羽さん」
優しさなのか、焦らすためなのか。わざわざ顔をあげた雀ちゃんがわたしの表情を確認して、ゆるく目尻を下げた。
それからずっとホールドしていたわたしの左腕を解放して、その手で自分の体重を支えながらこちらへ顔を寄せてくる。
「ん」
触れるだけのキスを一度落とした雀ちゃんが、甘く瞳を蕩けさせながら、わたしを覗き込んで微笑む。
「手、舐められたら気持ちいい?」
間近で、囁く声はひどく甘い。
砂糖菓子みたいな甘ったるさは後を引いて、わたしの胸をきゅうきゅうと締め付けてくる。
「だから、だめなの?」
綿菓子みたいにふわりと優しい声で、わたしが「だめ」と告げた事は何かを突き止めた雀ちゃんは、もう一度キスをくれる。
はふと咥えるように唇で挟んだわたしの唇を丁寧に丁寧に舌でなぞってゆく。
だけどもその舌は、こちらに入ってくる前に姿を隠して、雀ちゃんはわたしから顔を少し、離した。
そして、わたしの返事を促すみたいに、「ん?」と首を傾げるのだ。
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――な、に、その……優しい誘導尋問……っ。
苦しい。
心臓の奥がキュンキュンして、苦しい。切ない。
雀ちゃんが好きすぎて、彼女の仕草が優し過ぎて、胸がつぶれそうだった。
胸がいっぱいで、言葉を詰まらせているわたしの額や頬に、ゆったりとキスを落としてくる雀ちゃんが、いつもと違って、戸惑う。
いつもだったら絶対、あの蛇みたいな目を継続させながら、もしくはさらに、獲物を目の前にした虎かライオンかのように獰猛な目付きをしながら、「なんで駄目なんです?」とか意地悪極まりない声音で言う。
だけど、なぜか、今日の雀ちゃんは甘すぎる程に甘く、わたしから答えを引き出そうとする。
さっきまで愛用の武器として携えていたローターだって、ベッドに転がしたままで、それを用いて攻め立てれば、わたしの口を割ることなんて簡単だろうに、そうしない。
――ギャップを使った戦法なの? なんの心境の変化なの? なに? なに?
若干のパニックだけど、その一方で、雀ちゃんの優しさに悩殺されそうだ。
「ね、愛羽さん」
まるで内緒話をするかのように、潜められた声が、耳の傍で囁かれる。
びくっと熱い吐息に震えたわたしを落ち着かせるように、宥めるキスをそこに押し当てたあと、彼女はわたしの唇に自分の耳をそっと寄せてきて、甘く囁いた。
「教えて?」
と。
甘く、甘く。
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