隣恋Ⅲ~のたり~ 56話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 56 ~

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 その条件は、破格のものだったかもしれない。

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 そう気が付いたのは、雀ちゃんのロータータイムが3回目を迎えた頃だった。

「待って、待ってまだ、ッく、ぁっ、あっ」
「インターバル置きましたもん」

 インターバルについても、きちんと時間指定をするべきだった……!
 雀ちゃんは熱に浮かされた瞳で、喘ぐわたしを嬉しそうに覗き込んで、顔を寄せてくる。

「は、んっ、んあっ、む」

 予想通り、喘ぐ声も食べるように口を塞がれて、くぐもった声をあげつつも、入り込んできた雀ちゃんの舌に誘われると、わたしは抵抗もできず、蜜に群がる蝶のように吸い寄せられた。

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 口内で絡み合う舌同士が、卑猥で粘着質な水音を立てて、互いの唾液を交換する。
 しかし、息苦しいほど深く交わされる口付けに、甘く酔い痴れるわたしには、穏やかな快感のみの時間など、与えられない。

「ん、んん、ぐ、ぅ」

 1分間という時間制限を設けると、それまでよりも攻める手は強さと忙しなさを増して、わたしに快感を与えるように変化していた。
 そんなつもりはなかったのに、と言ってもどうしようもない。

 ただ安易に、我を失った雀ちゃんに延々とローターを使って攻め立てられては身が持たない。そう危機を感じて、ローターの継続使用は1分間。そのあとに必ずインターバルを設けることを条件づけたのだ。
 その条件が甘かったし、細部を気に掛けていなかったのも事実。

 そのわたしの詰めの甘さに雀ちゃんが付け込んで、これでもかという程に、わたしの身体を快感で蕩けさせにかかっているのも、事実だろうけれど。

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「んぐ……っハァッ、はぁっん、あっやぁ……ッ!」

 ローターと同時のキスはさすがに息の心配もあったのだろうか。
 雀ちゃんの唇から早々に解放されたわたしは大きく息を吸った。

 しかし、胸のローターは鳴り止まないし、わたしの突起を浴衣越しに擦り続けている。上下に、左右に、はたまた、円を描くように。
 時折、胸の中心を押し込むようにローターで上から突起を押さえつけられると、なんとも言えない感覚にいやいやと首を振った。

 正確に時間をタイマーで計っている訳ではないので、1分を計るのは、体感時間の時計だ。
 散々喘がされると、早めにインターバルを迎えるときもあるし、逆にジリジリとした攻めのときには長く感じることもある。

 相変わらずわたしの左腕は固定されているし、動くと思っていた下半身もどういったわけか、固定されているのだ。
 横に寄り添っている雀ちゃんがわたしの右足の上に脚を乗せ、ご丁寧にさらに絡めるようにひっかけている。
 そうされたら、もう動かせるのは片手と顔、腰くらいなもので、いよいよ、あぶない。

 この状態で雀ちゃんが我を失ってしまったら、わたしは泣くまで喘がされるのではないかと思ってしまう。

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「すずめ、ちゃ……っ」

 不意に押し寄せた不安に名を呼ぶと、彼女は心得たようにローターのスイッチを切った。

「そろそろ、1分ですね」

 激しく攻め立てたあとの雀ちゃんの声は、それまでの攻め立てとは別人のように甘くて優しい。
 ローターから離した手で、わたしの髪を撫で、顔を撫で、汗を拭って、張り付いていた髪を払ってくれる。

 この瞬間のギャップにきゅうんときて、わたしはさっきから何度も飴と鞭を繰り返して受けているのだ。

「……すき」
「なんでちょっと躊躇いがちなんです?」

 柔らかい口付けを軽くしてもらったあとに告げると、笑われた。
 唇を尖らせるわたしの頬を、彼女が優しく摘まむ。

「だってアレ使ってる間はいじわるなんだもの」
「うーん、否定はしません」
「もう……!」

 と言いつつも、キスをねだるあたり、本当にバカップルだと思う。

 ちゅぅと吸い付いて離れる唇を追いかけて再び、キスするくらいには好きなんだもの。しょうがないじゃない。

 ――でも、……ひとつだけ言わせてもらえるなら……もう、下の方がぐっしょりなんだけど、って、言いたい。恥ずかしくて、言えないけど。

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