※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 54 ~
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ごん、ごん、と額をぶつけるのは彼女の胸。
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丁度、胸の膨らみと、鎖骨の間あたりにぶつけているから、結構いたいとは思う。
もちろん、手加減はしているので青アザになるとかそんな事はないだろうけれど、それでも、だ。
なのに雀ちゃんは「可愛いなぁもう」とか言いながらへらりへらりと笑っていて、鼻の下を伸ばしっぱなし。
わたしはというと、ラブグッズ処女喪失の恥ずかしさに身悶えするばかり。
「でも良かった」
「……なにが?」
愛羽さんの可愛い所を見れて。とか言ったら、本気で頭突きしてやろう。そんな心積もりで問い掛けたわたしは、聞こえてきた雀ちゃんの声音にぴたりと動きを止めた。
「愛羽さんに嫌な思いさせなくてよかったです」
「……」
この子は、ほんとに。
優し過ぎる。
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”人に嫌われること”を怖がって、ラブグッズひとつ使うことも躊躇っていたのだから、何がよかったって問われればまず「嫌われなくて」と答えるだろう、一般的には。
なのにその口から出たのは、わたしに嫌な思いをさせなくて、ときた。
本当に、人の皮を被った天使なのかと思うほどの優しさ。
心臓の奥がきゅうと締まり、喉が苦しいような切なさを覚えて、雀ちゃんの胸から顔を上げる。
視界に現れたのは、やはり、優しい表情。
先程よりも実感が増したのだろうか、どこか安堵の色も混ざってきていて、見ているこちらも落ち着いてきてしまう。
軽く伸びをするように彼女の唇を、掠めるようにして奪って、枕へ頭を預けた。
「好き」
口に出して、言葉にするだけでも、さらに貴女を好きになる。
甘くて、切ない感情が胸に広がって、息苦しささえ覚えてしまう。そのくらい、貴女が好き。
「私も、愛羽さんが大好きです」
鼓膜を震わせるその声が好き。
わたしに愛を伝えてくれるその言葉が好き。
透き通るような瞳に優しさをいっぱいに湛えて見つめてくれる目が好き。
「好き、雀ちゃん」
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何がスイッチだったのか、わたし達は好きだと言い合って、唇を重ねると、箍が外れたかのようにお互いを求めた。
唇を重ね合い、吸い合い、舌を擦り合い、絡め合う。
どちらのものかも分からない唾液も飲んだし、飲まれた。
息が上がって、心臓がばくばくと爆音で鳴るのも構わず、相手を求めた。
だけど、突如、そんなわたし達に割って入ったのは、お腹あたりから発生した音だった。
雀ちゃんのお腹の音ではなく、もちろんわたしのお腹でもない。
ブィィという振動音だった。
くんずほぐれつと重なり合っているうちに、どうにかしてスイッチを入れてしまったらしい。
突如鳴り始めた振動音と、身体に触れた振動に二人ともビクンと動きを止めた。
一足先に我に還った雀ちゃんがそのローターを手にとって、片手で器用にその強さを調整したかと思ったら、わたしの胸の膨らみに押し当てた。
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「やっ、ぁ…っ」
「まだ慣れてないでしょうから、服の上からしますね」
まだ落ち着いていない呼吸でそう言いながら、わたしをいとも簡単に仰向けに転がす。
横を向いて、雀ちゃんと抱き合っている状態から無防備な仰向けにされて焦るも、すでに押し当てられたローターの振動に上手く動きが取れないまま、振動が胸の頂きに急接近した。
わたしを見下ろす彼女の浴衣に縋ろうとした瞬間に、その腕が捉えられて、何故か、ばんざいをさせられた。
え? と思った瞬間にわたしの左腕は、肘を90度に曲げさせられて頭の上を通り、手を握られてホールドされた。
まるでラジオ体操の一場面か、シェーのポーズだ。
しかし案外これは馬鹿には出来ない。腕が、動かないのだ。
「ちょ……ぁっ、ん、んン……!」
ブィィと胸の中心に振動を捻じ込まれると逃げたくなるような快感が生まれるものの、左腕が固められるとどういう原理だか身体も逃げられない。
動く所と言えば、腰から下の下半身くらいなもので、わたしは文字通り身悶えた。
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