※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 48 ~
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「注文、多いですね」
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吐息混じりのその台詞を耳に受けながら、見上げた雀ちゃんの瞳が一層、溶けたのを目撃してしまったわたしは、彼女が撫で回す腰のその奥をジンと痺れさせた。
明らかに不満を述べる言葉なのに、その声がひどく甘い事も、わたしが痺れてしまう原因の一つだ。
「だ、って」
握っていた肩あたりの浴衣を更に引き寄せて、口付けをねだる。
疼く腰が、刺激を与えられてたまらない。
それに加えて、”やれやれ困った人だ”なんて瞳を向けられて、甘く見つめられると、もう、キスに逃げるしか、わたしは術を知らない。
「なにが、だって、なんです?」
本当に冷静さを取り戻したのか、それともまだ揶揄いたくて敬語でいるのか。
どちらか判断が付かないままで、与えられた口付けに酔う。
――だって雀ちゃんのその手で、……もっとやらしい事して欲しいとか……言えないもの……。
絡む舌を他所に、そんな考えを巡らせるけれど、そこではたと気が付いた。
ああそうだ、素直になるんだった、と。
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やっぱりいきなり完璧に素直になるのは難しい。
それまでの癖というか、習性というか、性格というか。そういうものが障害になって、わたしの少ない素直さを、さらに覆い隠してしまっているのだ。
口内に挿し込まれた雀ちゃんの舌を丹念に舐ると、満足したようにその舌は出てゆく。舐めとった唾液をこくんと飲み下せば、背中のざわつくあの悪寒にも似た快感が。
「ぁ…、ふ……」
彼女のものを体内に入れるその行為は何回しても、慣れない。
ざわざわするし、ぞくぞくするし、じんじんする。
その余韻を引く感覚を味わっていると、腰元に、妙な感触を受けた。
引っ張られている? と頭をもちあげ、下へ視線をやろうとした瞬間、「あぁもう可愛いすぎ」と低めの掠れ声が耳の傍で呟いて、びくんと動きを止めた。
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シュル、と衣擦れの音を立てて、腰紐が解かれた。
先程感じた腰元の妙な感覚は、この紐を解かれる感覚だったみたいだ。
雀ちゃんの手は私の腰紐を完全に解くと、布団は邪魔だと言わんばかりに跳ね除ける。
そうすると当然、今まで腰辺りまでを覆い隠していたものが無くなって、若干開けた裾や脚が晒された。
紐をどこかへ放った雀ちゃんは、躊躇うこともなく、わたしの浴衣の合わせから手を差し込んで、直に肌に触れた。
「んぅ…っ」
鼻にかかった甘えるような声が漏れて、まるでわざと煽っているみたいだと我ながら思う。だけど、そんなつもりはなくて、雀ちゃんの手が、腰骨を掠めたから思わず声が漏れたのだ。
なのに雀ちゃんは、
「可愛い。ほんと、そんな声で色仕掛けじゃないって言っても通用しないですよ」
ほんと。ともう一度言って、わたしの肩へと噛みついた。
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浴衣越しだとは言え、歯は歯だ。
それなりに痛みが走るけれど、腰骨を同時に撫でられた甘い波が、それを相殺しにかかる。身体の中で痛みと快感が鍔迫り合いを始めるけれど、雀ちゃんが意外とあっさり歯を外したせいで、快感がその勝負を制してわたしの口からやはり声が漏れた。
「はっ、……ん、くぅ…っ」
「可愛い過ぎて食べたくなってくる……」
腰を撫で撫で、肩を噛み噛み。
もうすでに食べかけられているわたしは、さらに彼女の噛み付きにあって、身体を捩った。
だけど、雀ちゃんの上半身が被さっているのもあるし、腰はしっかりと撫でられつつも抱えられていて、逃げられない。
「待、って」
息も絶え絶えに言うわたしの肩口から歯を離した雀ちゃんは、べろりと首筋を舐めて言った。
「注文、多いですね」
と。
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