隣恋Ⅲ~のたり~ 44話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 44 ~

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 零れる嬌声を堪えるために、喉を締めてもそれは無駄な抵抗だった。

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「ぅく…っ、ひ、ぅっ」

 もうこれで、何回目の痛みだろうか。
 針で刺すような鋭い痛み。その後に、熱いくらいの舌が痛みの余韻を払うようにその場所を舐める。

 繰り返されるその行為に、わたしはいつしか、腰を浮かせて甘い疼きに翻弄され始めていた。

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 ハァッ、と荒く首に息を吹きかける雀ちゃん。
 きっと彼女は”息をかけてやろう”と思ってしているのではなくて、キスマークを付ける際停止させている呼吸を、ただ再開させただけなのだろうけれど。

 強めに吹き付ける熱風に、その意図の有無はあまり関係ない。

 彼女の熱い呼気が肌を舐めるように過ぎ去る。
 その事実が、わたしの性感帯をくすぐって、快感を増幅させているだけなのだ。

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 いつの間にか握り締めていた手に爪を立てている。
 はっとその事に気付いたときは、なんとか意識して爪を引っ込めるのだけれど、彼女が動く度、快感が与えられる度、気付けばわたしは爪を立てていた。

 多分……というか絶対、痛い。
 わたしも爪は短く切って整えているのだけれど、それでも指を握り込めば柔らかな手の甲にはくっきりと痕が残るくらいには突き立つものだ。

 それなのに雀ちゃんは、わたしの手を振り解こうとはしない。
 その気になったら、彼女の腕力をもってすれば手を解き、最初のように手首を押さえつけることなんて容易いのに。

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「……あー……やば……」

 肌から唇を離した雀ちゃんが呟いた。
 その声はやはり低く掠れて、まるで深夜に喉が渇いて目を覚ましたときの声のようだった。

「はぁっ、ぁ、ん、…はぁっ…」

 速く浅い呼吸の合間に、快感の余韻に喘ぐ声が混じる。
 声を止めようにも止められないし、呼吸はそう簡単に落ち着くものではない。
 自分自身の呼吸音にも負けないくらい耳を占領しているのは、心臓の音。
 ドック、ドック、と全身に熱い血を送って酸素を運んでいるのだ。

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「愛羽さん……」
「は、んっ、んんん…ッ」

 返事ごと呑み込まれるようにして重ねられた唇。まだ息も整っていないのにそんな事をされたら……っ。

「ふっ、っぅ、んんっ」

 抑え気味にしたものの、鼻で息をするはめになって、雀ちゃんの顔をわたしの荒れた鼻息が撫でたことだろう。
 穏やかなキスならば、ゆーっくりと吸って吐いてを鼻からすればそれほど、相手も嫌な気はしないだろうけれど、今のわたしのように荒れた呼吸をすると、さすがにわたしの事を常々可愛いと言ってくれる雀ちゃんでも、いい気はしないだろう。

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 わたしがくぐもった声で抵抗するのにも関わらず、雀ちゃんはそれでもキスを解かない。
 むしろ、深める事を目的として、わたしの唇を割って、舌が捻じ込まれてきた。

「はっ、ぁ……っ」

 そういう事ならわたしにだって、遣り様がある。
 はしたないとは思うものの、背に腹は代えられないし、と、わたしは自ら、舌を伸ばした。

 こちらの口内へ半ば侵入していた舌を押し返すように、雀ちゃんの口内を目指す。
 まずぶつかった舌をぬるりと舐めて、絡めたまま押す。

 体の位置関係もあって、雀ちゃんがわたしの中へ舌を挿れるのが妥当だけれども、あえてそれには従わずに、軽く頭を持ち上げてでも、彼女の口内へ舌を伸ばした。

 どうしてこうも必死になって、攻めのディープキスをしようとしているのか。
 それは呼吸のためだ。

 相手の口内に舌を入れるために伸ばせば、当然、口を開けることになる。
 まぁお互いに唇を開かなければディープキスはできないのだが、受け側になると、若干息がし辛い。舌を受け入れる必要があるからだろうか?

 まぁ、理由はどうでもいい。

 今は、雀ちゃんの中へ舌を入れて、呼吸を確保する事が最優先なのだから。

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