※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 42 ~
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「いっぱい、つけて欲しいんですよね?」
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砂糖菓子みたいだと思った雀ちゃんの声色が、どろっどろの蜂蜜みたいに変わって、わたしの耳に入り込んできて犯す。
ぞくぞくぞくと腰の深部に響いてゆく快感が、体を強張らせる。
そんなわたしを宥めるためか、捕らえていた手首を雀ちゃんの指が撫でた。昂っていても、そういう気遣いも忘れない彼女に胸が疼くような甘さが広がる。
「可愛い。ほんと」
首筋へ戻ってきた雀ちゃんの唇が囁くと、熱い呼気も同時に肌を撫でる。
「ンッ、ん……っ」
いっそ、ガブリと噛みついてくれた方が、こんな淡く焦らされるよりは楽だなんて思ってしまう。
だけど、”トンデマシタ”と彼女が言い表した状況から意識を引き戻したのはわたし。そして、焚き付けたのもわたし。
少しだけ冷静さを取り戻している雀ちゃんはきっと、すぐには噛みつかないだろう。
それこそ猫が鼠を玩ぶように、じわじわと攻めてくる。
だからこそさっきから、彼女の舌がわたしの肌に、触れていないのだ。
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いつもなら……耐える。このまま。
わたしの耐久精度よりも、雀ちゃんの我慢できる時間の方が少ないから、しばらく耐えていたら彼女は焦らすのを止めて、次の行動を始めるからだ。
だけど今日は……。
「ね、ぇ…っ。はや、く……」
はふはふと啄むように肌を舐めていた唇が、わたしの上擦る声に一瞬動きを止めた。そして、一拍留めた息をまとめて吐き出しながら、「ほんとに色仕掛けじゃないところが……もう……」と呟く。
その掠れ気味の独り言にさえ、じわりと疼いてしまうわたしはやっぱり、スキモノなのだろうか。
「もっと焦らしてから、とか思ってたんですけど」
やっぱり……。
彼女の目論見はやはりそうだったのかと頭の隅で考える。けれど、次の瞬間、濡れた舌がぺとりと首に触れて、どこに印を付けようかと探し始めたことで、思考能力がまたひとつ奪われて、わたしは嬌声を零しつつ、ベッドに押し付けられた腕を強張らせた。
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「そんな可愛く誘われたら……ねぇ」
れろ、と雀ちゃんの舌が舐めたそこは、男性で言う喉仏のある位置の少し横。
そこに赤い痣があったならば、随分と人の目を引きそうな、その位置。
「やっぱり最初は、一番よく見える位置につけないと」
湿った息がかかった直後、雀ちゃんの柔らかい唇がピトリと、隙間なく押し付けられる。
じゅッ、と湿った音を合図に肌が引っ張られる感覚が始まる。
焦らしてから、と言っていたのもあって、随分と、あの鋭い痛みになるまで時間をかけて肌を吸引していくつもりらしい。
「はっ、んんっ」
無意識に肺から出される息。同時につられたように零れる声。
手首を押さえつける雀ちゃんを押し返そうとしても、びくともしない。
じきに、肌に痛みが増してきて、今まさにあの赤い痣が作られているのかと思うだけで、甘声が自然と漏れた。
「や、あっ……は、ぁん…ッ」
普段より長く吸われると当然痛みも増して、身を捩る。
その拍子にちゅぷっと音をたてて彼女の唇が外れて、わたしはその痛みからやっと解放された。
一部分だけ唾液に濡れた首が外気に触れて、妙な感覚を覚える。そこだけ熱いようで揮発による涼しさ覚えるという、相反する感覚もあって肌が粟立った。
息を整えるわたしの首元から離れようとしない雀ちゃんは、咲いたのであろうその紅華に一つキスを落として、さも嬉しそうにする。
「あーあ、つけちゃった」
悪い事をしてしまった。という言い方だけど、その愉しげな声の響きは嬉しさをも隠せていない。
彼女の征服欲を僅かでも満たせたことがなんだか嬉しくて、わたしの胸がきゅっと締まった。
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