隣恋Ⅲ~のたり~ 32話


※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ のたり 32 ~

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 何度もキスをしていると、いつの間にか鼻詰まりが治っていた。

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 ふと、そのことに気が付いたわたしはこれ幸いとばかりに、雀ちゃんの優しさに溢れたキスを捕まえた。

「む」

 突然、しっかりとしたキスをされた彼女は小さく声をあげて固まったけれど、わたしがとろりと唇を舐めてみせると、待っていたと言わんばかりに熱い舌を口内へと押し込んできた。

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 雀ちゃんの背中に回していた腕でさらに、きゅうと抱き着きながら、熱く交わす吐息の中で舌を絡ませる。

「ん…ふっ……」

 舐めて、絡めて、擦り合わせて。
 甘やかされ、甘やかし、溶かし、溶かされる。

 わたしに覆いかぶさる雀ちゃんの舌を伝って、時折唾液が流れこんでくる。
 まるで甘い蜜のようにわたしを蕩けさせるそれをコクンと飲み、痺れるような感覚を味わいながら、飽くことなく、雀ちゃんを求めた。

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 どれくらいそうしてキスをしていたのだろう。
 頭はぼんやりするし、息は浅く速い。

 口付けを解いたあと、しばらく、甘い余韻に痺れながら、お互い、呼吸を整えた。

 下半身はベッドに預けて、上半身だけやんわりとわたしに覆いかぶさっている雀ちゃんは、驚いたことに目を開けない。
 多分、わたしが「顔を見ないで」とお願いしたときから、彼女はずっと目を閉じている。

 お願いをしたわたし自身ですらキスに夢中になりすぎていて、”あれ、なんで目を開けないんだろう?”と一瞬不思議に彼女を見上げてしまったくらいだ。
 なのに彼女は、長い長いキスのあと、自然と目をあけてしまいそうなものなのに、瞼をしっかり閉じたまま息を整えている。

 ――……惚れ直すわ…ほんと。

 至近距離にあるその閉じた瞼に愛しさを募らせて、わたしは彼女をぎゅっと抱き締めた。

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 両肘をわたしの横について自分の体重を横に流していた雀ちゃんが、ゆっくりとこちらに体を預けてくる。

「重くないですか?」
「んーん。へいき」

 ほっとしたように、少しだけ重みが増えた。
 きっとまだ、完全に脱力しきってない彼女は、わたしが重くないようにどちらかの腕で、軽く体を浮かせている。

 気にせず、全部預けてくれてもいいのに。

 だけどそれはそれで、彼女が気を遣ってしまうんだろうかと抱き着く腕の力をそっと緩めて、わたしは雀ちゃんの首筋に顔を埋めた。
 彼女の肌の匂いを嗅ぐと、ほっとする一方で、胸がざわつく。
 ときめくと言うのとは少し違った胸の揺るぎは、きっと身体が覚えた快感がこの後の事を期待しているざわつきだと、わたしは勝手に思っている。

 そのざわつきをじわじわと感じながら、雀ちゃんの首筋に囁く。

「あのね、雀ちゃん」

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「酔ってるの、わたし」

 彼女はすでに知っているその事実。
 やっと認めたのか、と小さく笑う息が、わたしの髪を揺らした。

「だから……。その、酔ってるから、言えるんだけど、……ね?」

 その、と言い淀むわたしを、急かすこともなく、彼女は「うん」とだけ優しく言う。
 声の甘さに、そして未だきっと閉じられている瞼を思い浮かべて、わたしは意を決した。

「えっちしたい、雀ちゃんと」

 息を呑む音が、耳の傍でたつ。
 熱くなる身体と、顔を感じながら、更に、続ける。

「よ、酔ってるから、白状できるんだけど……」
「うん?」

 まだ、何かあるの? と言いたげに相槌の語尾があがった。

「鏡前のキスの時から、抱いて欲しくて……こっち来てから、ぁ、の……い、色仕掛けして、誘ってたの……ごめんなさい」
「い…っ、お……あ……っ」

 息を呑むどころではない。
 衝撃的な告白に驚いた雀ちゃんは意味を成さない言葉を零して、体をピキンと固まらせた。

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