※ 隣恋Ⅲ~のたり~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ のたり 30 ~
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「……やだ……」
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ぇ、と小さく口が動いて、雀ちゃんが声を漏らした。
けれどそんなことはお構いなしに、わたしは彼女の腕枕から頭を起こして、雀ちゃんの肩を押した。
さっきまでの体勢は、どちらかと言えば彼女が上になっていたのを、反転させるよう肩をベッドに向けて押して、半分ほど上体を起こしたわたしがその上から覆いかぶさる。
「え、ちょ、あい」
彼女の右肩をベッドに押し付け、頭の左側に肘をついたわたしの唇が彼女の言葉を奪うのに、そう時間はかからなかった。
ふっと吐き出される鼻からの呼気さえも奪ってしまいたい。
そんな凶悪な考えも過ぎるわたしが、何を「やだ」と言ったのか。
思わず漏れてしまった声は無意識だったので気恥ずかしいものもあるが、雀ちゃんの瞳から理性によって情火が消えてしまったそのことが、思わず彼女を押し倒して唇を奪う行動を起こす程、嫌だったのだ。
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塞いだ口の中で、彼女がくぐもった声で何かを言った。
流石に、押し倒すのはやり過ぎたかしらと思っていたところなので、その言葉を聞き取るためにもすぐに解放した。
「っは、ぁいはさん……」
軽く息を乱した雀ちゃんが咎めるように目を眇め、こちらを見上げた。
「1回って言ったでしょう?」
……言われた。確かに。
ここで、きちんと約束を交わした覚えはないと言い張ることもできるんだけど、今し方我を忘れて強引に押し倒してしまった手前、開き直れない。
冷静さを欠いた自分の負けということか。
内心、嘆息をついて、諦めモードに移行する。
まぁ……時間はまだあるし、お酒が抜けるのを待つしかないのか、と自己省察の結果を抱いて、押し倒した彼女の上からすごすごと退く。
「……ごめんなさい」
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きっと、自覚がなかっただけで酔ってはいたのだ。
それを「酔ってない」と言い張っていただけで、彼女の目からみれば酔っ払いの戯言。ていうか、誰の目から見ても、わたしのあの発言は酔っ払いの戯言だったのだ。
――ここに来て、舞い上がってるのかしら……わたし。
柄にもなく羽目を外してしまったのかもしれない。
反省しないと。
年上なんだし、落ち着いた行動して、雀ちゃんに介抱とかさせてちゃだめよね。
その上、きちんと自制心と理性を持った彼女を誘惑してえっちしてもらおうだなんて……悪人の鏡じゃないの。ほんと。
自己嫌悪の嵐だ。
よくよく考えてみれば、本当、すごくわるいことばっかりしてる。猛省しないといけないレベルよね、これって……。
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ぽすんと枕に頭を預けて大人しく横になったわたしを、片肘を着いて上体を軽く起こした雀ちゃんが目を丸くして、見下ろした。
「ど、どうしたんです、そんな大人しくなって……」
「……大人としてダメダメすぎる自分に自己嫌悪して猛省してるところなの」
さらに、目をまん丸にされた。
横向きで枕に頭を預けて転がっているわたしは、年下で、しっかりして、相手を困らせることなんて滅多にしない彼女に、「ごめんね、ほんとに」と告げる。
謝ればきっとこの子はなんでも許してくれそうだから、謝ったあとに、自分の中で自分をボコボコにするくらいの反省をしないと、釣り合わない。
「や、そんな謝らなくても大丈夫ですけど……」
どこか思案顔で、雀ちゃんが斜め上に目をやった。
何かを思い出すように数秒間、そのままで固まった彼女は、「もしかして」と言いながらわたしに視線を下ろしてくる。
「愛羽さん、生理前じゃないですか?」
「へ?」
「なんか、情緒不安定だから」
前回の生理からもうじきひと月じゃないですか? と指を折り始めた彼女。
言われて初めて気づいたけれど、確かに、そうかもしれない。スケジュール帳にはきちんと記録してあるから、あれを見ればハッキリするんだけど、今の時点では記憶だけが頼り。
で、その頼りを辿ってみると確かに……。
「そうかも……」
「あーだから体調がいつもと違ったんじゃないですか? 昨日やり過ぎたってのもあるし」
「やり……」
そうあからさまな言葉を用いないで頂きたい。
さっと赤らんだ顔を雀ちゃんは笑うけれど、こちらとしては、生理周期もバレている上に情事を思い出すような言い方を受けて、笑いごとではない。
恥ずかしさのあまり、雀ちゃんの顔を見ていられなくてゴロンと仰向けになる。
そんなわたしの耳にくすりと笑みを零す気配が届き、優しく頭に添えられた手の感触が伝わる。
「一時的にアルコールに弱くなってた上に、血流が良い状態で飲んで、たまたま酔っただけです。プラスで、えっちなスイッチも入ったってだけで、そんな大した失敗なんてしてないですから」
頭を撫でながら前髪をかき上げた雀ちゃんが、わたしの額にキスを落とす。
「気にすることないですよ」
落ち着いた声で諭されて、わたしは不覚にも泣きそうになって、鼻の奥がツンとした。
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